彼女の姉の生態


“クリスマスの前準備”

一人になってはダメな時
二人がいない時
そんな二人が代わりに、と考えたのが
クマのぬいぐるみ
頭上に疑問符を浮かべる自分と正反対に
二人共、引きつり笑いでそれぞれがぬいぐるみを突き出した

「「俺の居ない時用」」

セリフが丸被りの状態で
お互い睨み合いながら喧嘩に発展してしまったので
とりあえず落ちたぬいぐるみを抱き上げて
二人をその場に残してリビングに向かった
ぬいぐるみは出所が異なるらしいが二体とも“クマ”
自分が無意識に見ていたのに気づいていた二人
見つめられれば逃げる癖を知ってか故意に視線を向けたりしない
だから居心地が良かった
その代わりに無意識を故意に見られていたのかと思うと複雑だ
反応できる自信があったのだがそれでも隙ができていたのだから見られていたんだろう
ぬいぐるみを抱きしめてまだ喧嘩を続ける二人をぼんやり眺める
そのうち見られている事に気付いた二人がやってくる

「二つとも大事、好きなものだから」

目を閉じてぬいぐるみを抱きしめる自分に二人はひとまず落ち着いたようで
それ以上に何も言わなくなった
それから久しぶりに外へ出かけることとなった
ぬいぐるみの代わりに二人の手をつないで
二人の居ない時にぬいぐるみが居るけど
やっぱり三人で過ごす状況が嬉しい


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