彼女の生態


彼女の生態


“が、しかし、はまかり通らない-2”


後日談
新品のスマホを開くがやっぱりしっくりこない
最新モデルのあるあるだろうけど
データもバックアップがクソがつくほど昔の事過ぎて
最近のデータに電話帳的なもの
他にも色々無いモノだらけで正直再設定の時点で心が折れそうになる
休憩と自分に言い聞かせながら
ソファで横になってしまった

ゴトン、と嫌な予感をさせる音を聞いた気がする

「マジですか?」

デジャヴ感満載
ローテーブルの上に置かれたスマホ
まるで正座するかの様にきちんと置かれたソレ
引きつりながらスマホを持ってみると液晶はバリバリになっていない
電源ボタンに触れると画面からロックを解くのか聞いてくる
恐る恐るロックを解くと通常通りの起動
さっきまで触っていた設定の部分を見ても普段通り使える

《と、言うより気のせいか、使いやすい?》

最初の頃よりかなり使い勝手がよくなった気がする
彼女が洗濯ものを抱えて帰ってきた

「落ちてたよー♪」
「悪ぃ」
「拾ったよー♪」
「ありがと」
「掃除機で事故って無いよー♪」
「エライ、エライ」

大破した当初、結構キレていた俺
ショップで会話らしい会話を一度もしなかった
とりあえず二度目が無い(多分)彼女に感謝しながら
何かが引っかかる感覚がするまま、スマホを眺めること数分
使いやすいに越したことはない、と
新調したスマホを持って、彼女と夕飯の買い出しに出かけた


が、しかしはまかり通らない-1
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