彼女の生態
彼女の生態
“地味にイタイ傷”
「おー、おー、盛大にやったなー」
「ゴメーン♪」
床に突然出没した池
洗剤と言う名の池は今も拡大している
詰め替えようとして手を滑らせたようだ
ボトルも倒れている
「こないだ、風呂場でもやってなかったか?」
「うーん」
こら、都合よく忘れるな
考えているようで忘れる癖だって何気に気付いてるよ
二人で片付ける最中に見つけた、右の中指の第一関節あたり
こんなん、あったっけ?
視線に気付いたのか、途中から見えずらくなったけど
時々、思い出したように見ると覚えている限りでも
3、4日はソレはあった
「ゴメンね」
「何が?」
「いろいろ」
突然言われた謝罪は
《中指の切り傷らしきもの》が
彼女の指から完全に消えて俺自身も完全に忘れた頃だった
今は何も言えなくて《ごめんなさい》