彼女の生態


彼女の生態

“かわいそう、でも好き?”

「かわいそう」
「俺が?」
「うん」

突然の彼女の言葉は決まって理解不明

「彼女って言われて、そのまま彼氏になってカワイソウ」

良い人をバカにしてんのか?
怒るぞ俺でも、と思ったけど表情に違和感があった
突然の意味不明な発言より、どっか魂が抜けてるような顔の方が大分怖く感じる
人の事、言ってるくせになんでお前がそんな顔をすんだよ
どっちかっていうと

「お前の方が“カワイソウ”な顔してる」
「?」
「あのな、かわいそう、なんて俺は欠片も思ってないからな」

いきなり彼女だと言われた日
飯をアホみたいに食ってる時
些細な事で泣いたり、怒ったり
現金使えないくせに大量に持ってたり

「お前が、彼女。俺の彼女」

何の仕事してるか知らない
家族は両親と双子の姉がいるくらい知ってる
友人とか知らない
実はスゴイ奴かもって思ってる
不釣り合いかもって思ってる

「全部、ひっくるめて、いつか好きになれたら良い。今は目の前のお前が好き」
「うん」
「だから“かわいそう”とか言うな。自分にも言うな。そもそも俺の彼女でいるの嫌になった?」
「違う!!」
「だったら良いじゃんか、今はそれで」

全部を全部知るのはこれからでも良い
俺達はまだ彼氏彼女になったばっかじゃん

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