彼女の生態


彼女の生態


“その名は大家さん”ー1


「君が新しく入って来た子かい?」
「そ、そうです。よろしくお願いします」

笑って話しかけてくるのは彼女曰く大家さん
が、しかしこのやり取りは出会ってから毎日、繰り返されていた。
どうやら記憶が長持ちしないらしい。
毎朝、そんなやり取りをしながら“若いうちはガンバらんとねー″なんて言いながら飴を渡される。
テキトーに礼を言いながら飴を放り込んで出社した。

「最近ずっとアメ食ってね?」

同僚に言われてやりとりを軽く説明すると哀れみを含んだ表情と共に肩を叩かれた。
そこまで古くも無いアパートでそこそこの立地で生活していた奴が突然高級そうな立地の高級マンションに引っ越したから色々聞かれた

“博打の成功”
“ちょっとした資産運用の成功”
etc...

中でも厄介だったのが

「「結婚か!!!!」」

いつかの待ち伏せの時以降その手のイジリは容赦ない。
とりあえず、結婚は否定してお付き合いの都合上、『彼女の両親が心配して』と言う事にしておいた。
無難だし、何より波風が立たない。
ひとまず納得してくれたものの時々イジリが入る。
悪意は多分無い。

「ま、住めば都てことだろ」
「ま、まぁな」

居住者100%ヤバイ人、てと事さえ無ければ、な
言いたい放題、ぬかしていく同僚達。
つか、結婚できんのか?
状況的に...


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