彼女の生態


彼女の生態

“おやつって”


一つのものに対する
それは執念なのか
こだわりなのか
もう解らない

某スーパーの帰り道
閉店間際に行くと人の数も大分違っていたりする訳で
俺は買い物メモを片手にいわゆる《おつかい》中
彼女が料理に更なる極みを作り出そうとしている
冷蔵庫の中身を見て全部書き出し始めた
ただの残り物チェックかと思いきや

「明日からの《こんだて》です!」

献立って
(しかも、字、書けてない)

一人暮らし時代は食料をダメにする事はよくある事で
結局、レトルトやカップ、惣菜弁当に依存した
彼女と生活し始めてからその辺りが一気に変わった
冷蔵庫も新しく買い替えて
肉、野菜、魚が出入りし始めた
実家にいた時のような冷蔵庫の稼働状況に心底驚いた
そして今現在、彼女の謎の多い料理スキルは新世界を目指しているらしい
朝は時短、昼は残り物、夜は豪華に
これでもスゲーと思っていたのに、一体何に目覚めたんだろうか

「主食でデザート食べた感を出したい!」

ゴメン、訳、解らない

なんでも残り物食材でおやつが作れるとの事で
それを取り入れたい、と
今となってはキッチンの主導権は《彼女のもの》なので
この際、好きにさせておこう

翌日
朝食はいつも通りに食べ終えて
そして事件は会社で起きた
弁当と一緒に入っていたドーナツ
そういう事ですか
(てか、ドーナツて主食じゃなくね?)
そもそも別にコーヒーを飲む事はあっても間食する事って無いんだけどな
とりあえず一口

「・・・・え、何、これ」

ほぼ同時にLINEが入る

『ココア、入れるの忘れちゃった♪』

無味のドーナツてどうやって作んの!?


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