彼女の生態の裏側


彼女の生態の裏側で


“彷徨った日から数日後”


君が消えた日から
結構、大変だったよ
血眼になって探し続ける家人(仮)
何故か事故死扱いになった君の両親
本当は生きてるみたいだ
僕自身、人生のちょっとした娯楽だったから
寂しくない、と言ったら
嘘になるね
でも君が願って行動したのだから今更だ
見つけても止めないよ
きっと止められない
無駄は僕の最も嫌いなものだ
だから街中で楽しそうな君を見ても
知らない誰かが隣にいても
それで良い、良いんだ
いつまでも続くことを
柄にもなく願ってみるよ
君の幸せが続きますように
僕の知らない世界
僕の知らない君
健闘を祈るよ


「本当に似合わないな、こんな手紙(もの)」

突然、姿を消した彼女
いつも通り、依頼をしようとして家人を名乗る誰かが媚び諂うような顔をして代理を提案してきた
どうやら僕は上客だったらしい
《彼女はそんな特別感は微塵も見せなかったけど》
上客を手放したくない家人、もういない彼女
どうするかなんて一目瞭然だった
仕事は別の人間に委託したが
どうしても精神面が安定しない
だから、今日もこうしてらしくも無く手紙を書いている
宛先も書けないのに
毎日、行き場のない手紙が増えていく
君が知ったらどんな顔をするんだろう


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