彼女の生態の裏側


彼女の生態の裏側で


“最後の夜明けと最初の夜明け”

アナタの元へやってきて1年経って
大分、嘘が露骨に下手になってきた
笑いながら苦しいものを飲み込んだり
泣きながら笑いをこらえたり
なんでこんな事になったのか知ってる
解りきっているのにまだシラヲ切ろうとする

ズルい自分、嫌な自分、バカな自分、哀れな自分

だから何度も消えようと思って消そうと思って
だから何度も今みたいに首筋をなぞるのに

「・・・んー」

平和そうに眠ってる
睡眠導入剤の類を入れてないのに
仕事で何か大きく動いている様子も無かった
なら、なんで?
一緒にいるから?
やっぱり消えた方がよかった?

「ゴメンネ」

どっちにしても死ねない自分がいる
どっちにしても殺せない自分がいる

この家の中にあるハズの無い刃をしまって
涙っぽいものもしまっていつも通り
もうしばらく付き合ってね
でも飽きたら捨ててね

「おはよ、どうした?」
「なにが?」
「怖い夢でも見た?」

朝食を向かい合わせで頬張る
全部消したはずなのになんでか気づかれた

「そんな気がしただけ。てかプリン買ってやるから、な」

彼はいつかの食物の悪夢に辿り着いたのか
好物で気を紛らわせてくれた
アナタの気をそらせるならそれで充分

「大きいカップの食べたいなー♪」
「ヘイヘイ」

ほら、いつも通り
でも、殺せばよかった、
どっかで思ってる
16/21ページ
スキ