彼女の双子の姉の生態


彼女の双子の姉の生態

“強欲とは”

「強欲と言うものをすこし考えてみてはどうだろう」

彼女ががポツリと呟いた一言から始まった
ここ、最近、恒例となったのだが彼女の呟きを俺達と三人で考える
そもそも外に出ないなら、と
アイツがすぐ下ネタに走っていたのが原因だけど
彼女が嫌がるそぶりは見せないけど
事態を見ていると二対一、圧倒的に彼女が不利になるのが当たり前である
俺自身は好きと堂々言える程では無いが
もっと別の事をしても良いと思う
すぐに思いつかないのはアレだけど
”ゴウヨク”を改めて考えてみてパッと浮かぶのは
単純に欲張り
誰よりも欲しがりで
際限が無くて
そんな感じ
アイツは考えている様子は見せているけど本当は何も考えて無いと思う
むしろ、眠そう
今にも寝そうなのに、一応付き合う気力があるのだから
その辺りは誠意なんだろう
俺は思い付いたものを全部口にしてみた
彼女は意外な顔をしていた

「そんなオブラートで包んだ表現が出たから」

実際は大分悪どい方らしいが、一般的に出回っている言葉の意味合いを教えてもらっている最中にアイツは眠ってしまった
後で、聞くなりするんだろう
どこまでも、まだ手にしていないものまで欲しがる言葉に
彼女が強欲になったら
何を欲しがり、どこまで食らい続けるんだろう、とふと思った
生活面で最低限のルールを守り、
質素なようで時に大胆で自分の魅力には皆無
それを全て壊して強欲に身を固めたら
そしたらダメ元で俺だけを好きでいてほしい
無理なのは解ってる
でも、想像の世界で夢を見ることができるなら
俺だけを見て、俺だけに言葉を向けて、
手を繋いで歩いていられたらどんなに幸せだろう
ただ、どうしても夢の中での彼女は何もない空に視線を向けたまま
あぁ、やっぱり、と
どこかで安心している俺がいる
きっと願っても
叶わないんじゃなくて
俺自身も
今の関係が幸せなんだと思ったんだ

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