彼女の双子の姉の生態


彼女の双子の姉の生態


“口の中の火傷は解りずらい”


「甘じょっぱい」
「何、食ってんの?」
「うまい?」

唐突な発言に反応するのが当たり前な二人
少し加減を誤った場合は大抵気を付けていたのに
ついつい食べてしまう
寒い時は熱いものに限る、と
最近になって冷凍食品のたい焼きやお好み焼き、たこ焼き
他にもオヤツ感覚で食べられるものを知り、食べ始めたのは良いが

「あー、これやってる、スゲー真っ赤」
「うぇー、大丈夫か?」
「特には」

口の中を火傷するようになった
腕や足と違って口の中は本人が自覚しなければ他人が知りようがない
そして自分の場合、火傷は口の中で《甘じょっぱい》と言う感覚に至った
厳密に言うと血の味に近い
うっかり言葉にしたら二人が鬼の形相で病院に連れて行こうとしたので止めてもらった
舌で触るとザラザラ、ヒリヒリする
白湯を持たされて飲もうとすると火傷のところが何か触った感触を残す
ゆっくり飲み込んで微妙な満腹感からくる眠気にどうしようか迷っていると

「また、後で、な」
「レンチンすれば大丈夫だろ」

これ以上の火傷か何かを増やさないために下げられた
少し悔しいと思いながら舌で火傷の跡を何度も触る
ヒリヒリする
眠いのに痛みが存在する不思議
そのうち眠気が勝って目を閉じてしまった

夢を見た
口の中で血の味が妙に強いと思って
何かを吐き出した
タベタ覚えのないものが出てきた

自分の指と
彼の指と
彼の指と

真っ赤な池にソレが転がる

あぁ、やっぱり、やめられない

止められるはずが無い

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