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冒険者珍道中

「クロ……?そこにいるのはクロなのね……?」
「はい」
「よかった……最後にアナタと……話ができて……」
「…………」
「私は、もうダメみたいだから……後のことは全部お願いね」
「はい」
「いいこと……?どれだけ偉くなっても、どれだけの人間がアナタを慕おうとも……アナタは紳士なんだから、決して傲慢な態度はとらず、この家の当主として相応しい振る舞いをするのよ……?女の子にも優しくしなさい……」
「もちろんです」
「大丈夫、アナタはやればできる子なんだから……心配しないで、自分を信じて、胸を張って生きない……だから……」
「……大丈夫ですよ、お母様。私は貴女が望む立派な紳士、立派な医者になります。貴女がやってきた事は決して間違いではなかったと、他の人達に思い知らせてやりますよ」
「……期待して……いいのね……?」
「はい……」





ヤテベオとは一体……疑問を抱きつつも一行はB19Fまでやってきた

エリマキトカゲはEN投げを使った!ナギットに189ダメージ!

ナギット「痛ぇ!」
キキョウ「ナギットさんが150を超えるダメージを喰らっただと!?」
アオニ「いつもは料理効果もあって30以上のダメージを負うなんてなかったのに!」
ナギット「うげ……金の力ヤベェ……メディカⅡ使うぞ」
アオニ「ネズミのアイテム投げとは違った脅威があるね」
クロ「挑発していないのに狙われるとは運がないといいますか、私の方に飛んでこなくてよかったといいますか」
キキョウ「クロか俺だときっと即死だもんな」
クロ「ねえ?」
アオニ「などと供述しており……」

アオニは魔物召喚の罠を踏んだ!周囲に魔物が集まってきた!

アオニ「あ」
キキョウ「ヤッベー!どうすんのこれ!」
クロ「動きを止めるしかありませんよ」

クロは天雷の大印術を使った!
部屋にいる魔物は全て麻痺になった!

クロ「危なかったですねぇ」
ナギット「おお……」
キキョウ「やっぱりチートみたいなスキルだわ」
アオニ「チートはともかく、攻撃を止められるのはラッキーだよ。これで落ち着いて1匹ずつ倒していける」
クロ「ではまずこの目玉に氷槍の印術でも」

クロは氷槍の印術を使った!虚空を視る邪眼はダメージを受けた!
邪眼が怪しく輝き、投射物を反射した!クロにダメージ!

アオニ「!?」
クロ「ぐはっ」
ナギット「い、今何が起こったんだ!?」
キキョウ「氷が跳ね返った!」
クロ「ま、まさかカウンターを喰らうとは……夢にも思っていませんでした」
キキョウ「アイツ、異様に回避率が高くて混乱と麻痺同時にかける技持っててオマケに遠距離攻撃反射するのかよ」
ナギット「害悪じゃねぇか」
アオニ「ナギット、挑発しといて。たぶんだけどあれ正面から攻撃したら発動するっぽいもん」
クロ「だって今までそんなことなかったんですもん」
キキョウ「拗ねんなよ」

トカゲにお金を盗まれたり投げられたりしながらも一行はダンジョンを進み、とうとう最下層のB26Fまで到達した。

アオニ「とうとうここまできたけど……アントニカはいなかったね」
キキョウ「つまーり!ここにアントニカがいるって事なんだろ?わかるわかる」
ナギット「ホントに分かってんのかよお前」
アオニ「キキョウの勘はともかく、クロはどう思う?」
クロ「私の紳士の勘が正しければ、この先に美の気配を感じます。もちろん女性の美ですが」
ナギット「紳士って何だっけ」
キキョウ「女が絡んだ時のクロの勘は信じろってアオニが言ってたし、言葉のチョイスはともかく信じていいよな?」
アオニ「もち」
クロ「暴言を吐かれている気分にしかならないのは気のせいでしょうかね」
「パレッテか……パレッテなのか」
ナギット「この声は……!」
アオニ「アントニカ!」
ナディカ「ア……アントニカさん……!無事だったの!?」
アントニカ「ああ……なんとかな……」
ナギット「お怪我はありませんか!?メディカは多めに持ってきていますし治療を……」
アントニカ「いや、手当はいい。それより、よく来てくれた。ここが第6迷宮の最深部だ」
キキョウ「うえっ?マジで?じゃあもうアントニカは第6迷宮を踏破したって事なのか?すげーなー!」
アオニ「あーあー先越されちゃったかー。でもまあ仕方がないか、ライバルも素直に祝福するのが礼儀ってもんだよ」
アントニカ「まあな、積もる話もあるだろうし、もっとこっちへ……」

「離れろっ!パレッテっ!そいつがヤテベオだ!」

アオニ「ふえ?」
クロ「はっ!美の気配の根元が現れましたよ!」
キキョウ「根元ってな……ギャー!アントニカがもう1人いるー!?」
アオニ「もうひとり!?トラオレとヨボ同様双子だったの!?ここに来て新キャラ!?」
ナギット「いやいやいや待ってください!さっきあのアントニカさんがヤテベオって……!」
アオニ「ま、まさか……!こっちのアントニカは!?」
アントニカ?「ガガガガガガガ……っ!!ギャーーーっ!!」
キキョウ「わーお!変身したぁ!」
ナギット「あっちのアントニカは魔物だったって事かよ!」
アオニ「そうか!だから最初のアントニカが現れた時、クロは反応しなかったんだ!偽物だから!」
クロ「いやあ自分でもビックリですよ!心のどこかでおかしいなぁとは感じていたのですが!まさか魔物だったとは!」
キキョウ「侮れないな紳士」
ナギット「紳士じゃねぇと思うけどな」
アントニカ「そいつは幻影樹ヤテベオ!敵に幻影を見せて油断させ襲ってくる!そして、倒すとその戦った記憶を消し去ってしまうんだ!」
アオニ「き、記憶を消し去る!?」
クロ「道理で凄腕のアントニカさんが第6迷宮で苦戦していたワケですね!」
キキョウ「記憶がなくなったから、ギルドへの報告もできなかったってワケか!」
ナギット「なんつー対策しずらい魔物だよ!反則くせぇな!」
アントニカ「来るそっ!パレッテ!気をつけろ!」

幻影樹ヤテベオが現れた!

アオニ「汚いアルルーナ……」
ナギット「あるる……なんです?」
アオニ「え?アタシ今なにか言った?」
クロ「ボス戦なんですからしっかりしないとダメですよフカ子」
アオニ「うーん……今、確かに何かを受信したような気がするんだけどなーうーむ」
キキョウ「てかさー今までのボスって大体初手で攻撃受ける→麻痺等々の状態異常をかける→ディバイドとかではめる→ボコボコにぼこって倒す。って流れだったじゃん?そろそろ別の流れ作らないとヤバくね?」
アオニ「生死をかけた戦いに流れどうとかは関係ないんだよ。てかそんなの気にしてる暇ないから、とにかくアタシはスロウ軟膏投げて鈍足にしておくからバフよろしく」

幻影樹ヤテベオは昆虫召喚を使った!猛毒アゲハがいっぱい出て来た!

キキョウ「わあお大量!」
クロ「召喚系の魔物なんて久しぶりに見た気がしますね」
アオニ「どんな時でも落ち着いて対処してこそ一流冒険者!巻物使うなりクロの天雷の大印術で麻痺にさせるなりして動きを封じれば怖くないさ!」
クロ「お任せあれ」
キキョウ「ナギットさんナギットさん、アゲハに混じって第1迷宮で見かけたテントウムシがいるんスけど。何でアイツいるんスかね」
ナギット「自分をアゲハだと思い込んでるんじゃねーの」
キキョウ「想像力豊かッスね!」
アオニ「あ、ヤバイ鈍足切れた。だけどアタシにはパイレーツのスキル“トラブルメーカー”がある!これで何かの状態異常にしてやるのさーざまあみろー!」

アオニはトラブルメーカーを使った!幻影樹ヤテベオはリジュネになった!

アオニ「あ」
クロ「え?」
ナギット「は?」
キキョウ「おお?」
アオニ「…………」
キキョウ「ナギットさーんここはあ行で攻めないとダメッスよー?」
ナギット「知らねーよ!」
アオニ「ごめん……」
クロ「まあまあ、相手がリジュネ技を持っていたって事にしておけばいいんですから、フカ子は悪くありませんよ」
アオニ「クロ優しい……」
クロ「私はいつでも優しいですよ」
キキョウ「とか言いながらヤテベオの葉の舞でダメージ喰らってるのを俺は見逃さなかった」
クロ「だって遠いからディバイドの恩恵受けれれないんですもの!」
ナギット「ちょっとずつでいいんで距離を詰めていきましょう。幸い虫たちは動かないんですし急がなくても……」

幻影樹ヤテベオは回復の胞子を使った!虫達は全員リジュネになった!

キキョウ「本当に持ってたぞリジュネ技!!
アオニ「クロすごい!」
クロ「自分の才能がちょっと恐ろしくなってきました……!印術師がダメなら預言者もありかもしれません!」
ナギット「絶対詐欺師みたいな生き方しかできないと思うのでやめてくださいね」
クロ「しゅん」

幻影樹ヤテベオは水の舞を使った!ナギットはアオニとキキョウを庇った!クロに氷属性のダメージ!

クロ「ぎゃあ」
キキョウ「わーおクロ死にそう!」
アオニ「ルンマスは死に行くものだよ」
ナギット「さっきの高評価なんだったんですか」
クロ「は、早く合流しますね……ぜえぜえ」
ナギット「無理しない程度でいいですよ。まだ世界樹の葉もありますから」
クロ「ナギット優しい……」

幻影樹ヤテベオは闇の舞を使った!
アオニは催眠になった!キキョウは混乱になった!クロは倒れた!

ナギット「ヤベッ!ディバイド切れてた!?」
クロ「いいえ、ディバイド貫通攻撃だったようですね。私は世界樹の葉があるので大丈夫ですし。フカ子達の状態異常もコヌアさんが作ってくれたカニカニ弁当で回復できます」
ナギット「そうでした……よかった……」
クロ「しかし、なんですか催眠って……なんですか催眠って!!」
ナギット「はい?」
クロ「催眠というコトは相手の意のままに操れてしまうということ!すなわち今のフカ子はどんな命令でも聞いてしまう操り人形のような状態!嗚呼……可哀想なフカ子……望んでもいない事を無理矢理されてしまって身も心のボロボロに……紳士として許してはならない状況だというのに、何故でしょう……この胸が覚えているのは怒りではなくときめき……私は、日常生活の中では決して見る事のできないフカ子の姿にほんのり期待を寄せているという事なのでしょうか……?そんなの!紳士として許されないというのに!収まってください私のときめきと期待!今のフカ子は必死に戦っているというのに期待してはなりません!ああ!私のワガママさん!」
ナギット「(親父より先にアイツを始末した方がいい気がしてきた)」
アオニ「クーロー?さっきから何を喋っているのかなー?アタシにもわかりやすーく説明してくれなーい?」
クロ「あれフカ子?もう催眠が解けて」



しばらくお待ちください



キキョウ「カニカニ弁当使うの早かったッスね」
ナギット「このままアイツの新しい性癖の扉を開いちまうと、アオニが可哀想になっちまうと思ってな……」
キキョウ「さすがナギットさんッス」

かくして、第6迷宮を踏破したパレッテ一行は、怪我をしたアントニカを連れてオーベルフェへと戻ったのであった。
そして、その翌日……

ナディカ「あっ!おはよう!コヌアさん!パレッテさん!」
コヌア「おはようございます!パレッテさん!ナディカちゃん!聞きましたよ!昨日第6迷宮を踏破したんですってね!すごい!」
アオニ「いやーそれほどでも〜」
クロ「美女に祝福されるとは……苦労した甲斐があったというものです」
コヌア「こんなにボロボロになるまで頑張ったんですね……ご苦労様でした」
ナギット「クロのこの怪我はどちらかと言えばアオニ……」
アオニ「んー?」すちゃ
ナギット「ああいやなんでもありません」
キキョウ「怒りの乙女こえー」

すると、エミルとネッドの2人組が現れた。

エミル「やあみなさんお揃いで♪おはよう♪しっかしすごいねー僕達なんか第6迷宮でフラフラしてるだけだったのにもう突破しちゃうなんて♪」
アオニ「実はボス戦前ぐらいで乱入してまたうっかり踏破扱いされる流れになって第7迷宮までついてくるってずっと思ってた」
クロ「上に同じ」
エミル「だから言ったじゃ〜ん?あんまり興味ないから好きにやらせてもらってるって♪そんな策士みたいなめんどくさいコト、僕が進んでやると本気で思ってるの?」
アオニ「いやあ……」
クロ「どちらかと言えばやっぱり……」
ナギット「根っからの悪人ってワケじゃないですし……」
キキョウ「暴君っけは強いけど!」
エミル「そうそう。そうやってさりげなーく毒を吐く!パレッテはそうでなくっちゃ♪」
アオニ「褒めてんのそれ」
エミル「もちろん♪」
ナディカ「パレッテが第6迷宮を踏破できたのは、アントニカさんのお陰だよ。アントニカさんがあそこで体を張ってくれたから、倒せたんだよ」
ネッド「幻惑させ、記憶も消してくる敵か……かなり特殊で厄介な魔物だったようだな……」
キキョウ「そういや、記憶を消してくるくだりどうなったの?なかったことにされたの?」
アオニ「もう本体直接叩いて倒したから記憶消されなかったっていう御都合主義的展開なんじゃない?知らないけど」
ナギット「やめてくださいよ棘のあるメタい発言」
ネッド「なんにせよ、第6迷宮を踏破した事実は変わらない……おめでとう……ゲホゲホ……」
ナディカ「へへへっ!ありがと!」
キキョウ「ナディカ何もしてないけどな!」
ナディカ「まあね!」
アオニ「胸張って言わないの」
エミル「それじゃ、僕達は先に出かけるから♪じゃあね♪」
ネッド「では御免……ゲホゲホ……」

エミルとネッドは宿を後にした。

アオニ「さあて、それじゃあアタシ達もそろそろ行動しますか!」
クロ「はい。ギルドへの報告も済ませないといけませんしね」
キキョウ「そうだなー!次はどんな迷宮がー……」
ナギット「キキョウ?」
キキョウ「……」
ナギット「お、おい?どうした?いきなり刀なんて抜いて」
キキョウ「…………」
クロ「キキョウ?目つき怖いですよ?」
アオニ「どしたの?」
キキョウ「……ナディカ。何か気付いたこと、あるか?」
ナディカ「え、気付いたコトって?」
キキョウ「…………ないならいいや!」
ナギット「は?」
キキョウ「うーん、うん!第6迷宮踏破して浮かれて油断してる隙に妖魔とか来たら危ないなーって思っただけだから!心配しなくていいぞ!」
ナディカ「なあんだ」
アオニ「確かに、あれ以来全然姿を見せなくなったし、ぶっちゃけちょっと忘れてるトコあったしこういう時こそ気を緩めないようにしなきゃね」
クロ「(殺意を秘めた鋭い視線が、一瞬で子供のようなあどけない笑顔になった時点で充分不安なんですがねぇ……)」

宿から出ると、街はすでに第6迷宮踏破の話題で賑わっていた。

「未踏の地を新人達が突破したらしいぞ!」
「しばらく停滞していた世界樹への道がここでまた一歩前進したってコトか!すげーな!」
アオニ「いやーどうもどうも」
キキョウ「あっという間にナンバー1ギルドになっちまったな!大人気が止まらないぜ!」
ナギット「あのなあ、浮かれて油断すんなって言った矢先にお前……」
クロ「え?サインですか?もちろん喜んで。美しい貴女のためなら私が喜んで一筆捧げますよ。ここで出会ったのも何かの縁、我々の冒険談をもっと詳しくお話しま……ぐふっ」
アオニ「もう首輪繋いでた方がいいかもね」
キキョウ「アオニの腹パンヤベーわ」
ナギット「さすが前衛職……」
ナディカ「わあ!パレッテさんすごいね!すっかり有名人だよ!」
アオニ「ふふーん♪人気者っていうのはいいモンだね!すっかり期待されちゃってプレッシャーだなぁ〜」
ナギット「微塵もそう感じてなさそうですが」
キキョウ「皆が夢物語だって言ってた世界樹到達が現実味を帯びて来たからな、期待しないワケがないって」
クロ「世界樹到達すれば、麓に何があるか分かるのですね……オーベルフェ観光ガイドブック〜アーマービースト級〜に載ってある様々な推測が見納めになってしまうのも時間の問題でしょうね」
アオニ「いつも思うんだけどそれ、どこで買ってるの」
クロ「秘密ですって」

街の住人達の期待、希望、羨望を一身に受け、一行は冒険者ギルドへ足を運ぶ。

トラオレ「おっ、来たな有名人。本当によくやってくれた、これが第6迷宮踏破の報酬だ」

4000エン、加速の印石、猛き戦いの巻物を受け取った!

ナディカ「そう言えば、アントニカさんの怪我の具合はどうなの?」
クロ「心配ですね……私が診てあげたかったのですが、生憎ヤテベオ戦の後は体が全く動かなかったので結局何もできなかったんですよね」
キキョウ「いやーあれはクロの自業自得だから」
アオニ「うん」
ナギット「はい」
クロ「わあ手厳しい」
トラオレ「アントニカなら大丈夫だ。冒険はしばらく控えた方がいいみたいだが、あのガタイだしな……」
キキョウ「でっかいもんな。そりゃ丈夫か」
トラオレ「だから、お前達にも大丈夫なことを伝えて欲しいと言っていた」
ナディカ「そっか、よかった〜」
アオニ「それなら心配しなくてもよさそうだね。本当によかったよー」
トラオレ「それより。いよいよ第7迷宮だな。ここからはもう誰も知らない未知の領域だ。当たり前だが砦もない」
キキョウ「自腹で砦を建てるのは慣れたからそこは問題ないよな」
クロ「だからなかなかお金が貯まらないんですけどね。採集スキル切りましたから」
アオニ「ソウダネー」
ナギット「何故片言に」
トラオレ「相当困難な冒険になるのは間違いないさ。が……世界樹までの距離を考えると、きっとこれが最後のダンジョンになるだろうな」
キキョウ「ふお!?」
アオニ「つまり第7迷宮をクリアすれば!アタシの長年の夢が叶うってこと!?」
クロ「おお!ますます気が抜けませんね!」
ナギット「本音を言うと、ここまで来れるだなんて微塵も思っていませんでした。が、来たからには全力でサポートしますよ」
アオニ「サポートも頑張ってほしいけど、アタシとしてはタメ口も頑張ってほしいなー」
ナギット「う、そ、それは……」
キキョウ「わくわく」
クロ「?」
トラオレ「何はともあれ第7迷宮、頑張れよ!」
アオニ「もっちろん!」

船着場

ナディカ「いよいよ第7迷宮だね。パレッテさん」
アオニ「うん(後ろ向いた……)」
ナディカ「いよいよあそこへ……あの世界樹まで行けるんだよね」
クロ「ええ(後ろ向いてますね……)」
ナディカ「世界樹の麓には神々の国の入り口がある。私の精霊族としての役目もやっと果たせるんだ」
ナギット「はい(後ろ向きグラフィックなんて珍しい……)」
ナディカ「パレッテさん、ありがとう。パレッテさんのお陰で私もここまで来れた……あと少しのところまで来れたんだよ。本当にありがとう」
キキョウ「お礼を言うのはまだ早いぞ!(俺も後ろ向きグラフィック欲しいな)」
ナディカ「え?」
アオニ「それは、第7迷宮を突破して、世界樹に着いてから言ってもらわなきゃ。まだまだ先は長そうだし!」
クロ「世界樹の一歩手前の迷宮なんて困難極まりないんですし、行き先は短そうに見えて長いハズですよ」
ナギット「ここで終わった気になるのはまだ早いってコトです」
キキョウ「そうそう!」
ナディカ「うん……そうだね、うん!第7迷宮も大変そうだけど、頑張ろうね!最後までよろしくね!」
アオニ「よーし!早速船に乗るよ!」
キキョウ「ヨーソーロー!」
「待てよ」
アオニ「え?」
ナギット「ギルドのみなさん!?」
トラオレ「歴史的な冒険になるかもしれないんだ、見送りぐらいさせてくれよ」
エミル「だいぶ先越されちゃったけど、仕方がないね。これが君達の実力なんだからさ♪頑張って、自分を信じて♪」
キキョウ「アンタはサボってただけじゃん」
エミル「そうとも取れるね♪」
ネッド「未知の場所だ。予想外の事も起こりうる……くれぐれも気を付けて参られよ……」
クロ「あ、最後に倒れるかと思ったらそうでもなかったですね」
ネッド「そう何度も倒れてたまるか……」
アントニカ「私も来ちゃった!」
アオニ「アントニカ!?」
クロ「怪我は大丈夫ななんですか!?」
アントニカ「ああ!大丈夫!しばらくはお休みだが……治ったら私も後から追うから!そん時は抜き直すから覚悟しな!」
クロ「はい!」
キキョウ「うわあいい返事」
アントニカ「まあでも……頑張ってこいよ!アンタ達ならきっとできる!」
アオニ「えへへ、ありがと」
トラオレ「怪我でここには来れないが、イルコフさんからも伝言だ」
キキョウ「生きてたんだ」
ナギット「勝手に殺してんじゃねーよ」
トラオレ「お前達の事は未だに気に入ってないみたいだが……それでも、すごい事だと。お前達の事を認める、だから頑張れ……と言っていた」
キキョウ「唐突にデレられても困る……」
アオニ「ナギットもそうだけど、キキョウも人間の好き嫌い激しくない?」
キキョウ「俺はただ、自分に正直なだけ!」
クロ「うーむ納得……」
ナギット「イラってきたら殴っていいですよ」
キキョウ「ナギットさんは今日も辛辣ッス」
トラオレ「みんなが応援してくれているんだ。だから、パレッテ!頑張れよ!」

みんなが励ましてくれている。
それは、ここに集まった者だけでなく街の人々全ての思いなのかもしれない。

アオニ「街の人達と言えば……最近妖魔族がかなり大人しいよね……」
ナギット「隙を見て襲ってくるのだとばかり思ってましたが、静かすぎて逆に不気味ですよね」
キキョウ「1度ぐらい顔を見ておきたかったんだけどなあ」
クロ「姿形が見えない方々の話はそこまでにして、そろそろ船に乗り込みましょう」
アオニ「うん、そうだね。行こうか」
ナディカ「頑張ろうね!」
『頑張れよー!!』

みんなに見送られながら、一行は船を漕ぎだした。
目指すは第7迷宮も。その向こうに世界樹はある。
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