冒険者珍道中

といういつものノリでDOEに挑んだ一行だったが、全滅してしまった。

ナギット「何がいけなかったんだ……」
クロ「全然状態異常も入らずHPも削りきれずジリ貧になって方針変更で逃げたものの結局DOEや他の魔物に倒されてしまったことでしょうか」
ナギット「うぐ」
ビクトル「突然の路線変更は失敗だったな……あーあ、まーたやり直しかぁ」
クロ「そこまで嘆かなくても得たモノだってありましたよ。1回目の挑戦の倍以上進めたのでパーティとしてのバランスは良かったのではないでしょうか?DOEさえいなければ安定はしていました」
ロウ「って事はDOEさえどうにかできれば踏破できたも同然かー」
ナギット「毒の水葉投げたりアオニのトラブルメーカーでどうにかしてきたが、慣れ親しんだスキルやアイテムがなかったらここまで脅威になるなんて……」
クロ「今までの環境がとても恵まれていたと痛感できましたね」
ビクトル「で?どうすんの?もしかして俺の代わりにネッド呼ぶとか?」
ナギット「呼ばねーよ。下手に喧嘩売っても消耗するだけなんだからDOEは極力無視して先に進むしかない。クロの電撃の印術で麻痺にしてやり過ごす作戦で行く」
クロ「私のTPが切れたらおしまいですけどね」
ナギット「だからTPが切れないように工夫するしかねーよ」
ロウ「つまり行き当たりばったりか!」
ビクトル「マジ帰りたい」

というワケで再挑戦。死霊の騎士もビッグウーズも麻痺にさせてやり過ごしつつ、一行は着実にダンジョンを潜っていく
現在B24F

ロウ「やっぱりDOEがいないとめちゃ安定するなー気にするのは腹減りぐらいか」
クロ「食料が全然拾えないのも困りものですね。お弁当は当然ありませんし」
ナギット「パラディンは鎧重いから腹減りやすいんだよな……でも、俺が前に出ないと一撃喰らったら瀕死になる奴らばっかりだし」
ビクトル「頑張って避けるから許して」
クロ「私はもう諦めてます!」
ロウ「諦めたらそこで試合終了だぞ!」
ナギット「だからその防御と体力に対する絶対的な自信の無さとネガティブさは何なんだよお前」
ビクトル「後衛職だから仕方ないんじゃ……?」
クロ「そうですよ、仕方がないことなのです……おや」
ナギット「どうした?」
クロ「今、DOEが結晶エリアを破壊して凶暴化したというアナウンスが」
ナギット「別に気にしなくてもいいんじゃねーの?マップには2つ上の階にいるって表示されてるし、引き返さない限り出会うことはねーだろ」
ロウ「行き止まりエリアに遭遇しないことを祈るだけか!いっつも祈ってる気がする!」
ビクトル「運ゲーヤダなぁ……」

とか余裕ぶっこいて歩みを進めたB25Fで

樹海の雷王「全力で追いかけてきました」
4人『ワオ!!!!』
クロ「なんというストーキング能力」
ビクトル「感心してる場合か!どうすんだよ!凶暴化したDOEなんて絶対勝ち目ないぞ!」
ナギット「逃げるに決まってんだろ!アイツが諦めるかクロのTPが尽きるまで!」
クロ「根比べといきますか」
ロウ「いっけー麻痺マシーン!」
クロ「その呼び方やめてくださいよ。アナタもスキル封じマンとか呼びますよ」
ロウ「いいぞ!」
クロ「なんと」

麻痺にしてもすぐ解除されてしまうがどうにかしてやり過ごし、B26Fに降りるも樹海の雷王はついて来る

樹海の雷王「逃がさん」
ロウ「うっわまた来た」
ナギット「しつけぇな!」
クロ「執拗に追いかけてきますね……凶暴化しているのも相まってか執念深いDOEになっているのでしょうか」
ビクトル「冒険者絶対殺すマンじゃないかヤダー」
クロ「TPはまだ余裕がありますが、このままDOEに追いかけられながら最深部まで行くとなればさすがに持ちませんよ?」
ロウ「諦めて帰るにしても糸拾ってたっけ?」
ナギット「いや、ねーな……」
ビクトル「アムリタはいくつかあるからいけないことは……ないのか?」
クロ「微妙なところですが……糸がない以上は退くという選択肢はないのですから、追われながらも進むしかありません」
ナギット「めんどくせーが方法がそれしかないんじゃ仕方ねぇか……」
樹海の雷王「…………」
ロウ「ナギットくんナギットくん、DOEがめちゃめちゃこっち睨んでる」
ビクトル「最初に誰を殺るか考えるんじゃないだろうな……?」
クロ「まあ恐ろしい」
ナギット「な、なんだよ……」
樹海の雷王「…………ポッ」
ナギット「!?
ロウ「へ?今の何?どうしてDOEがナギットくん見つめながらちょっと頬赤くしてんの?」
クロ「私はとてもとても嫌な予感がしますよしてます」
ビクトル「気が合うな、俺もしてる」
ナギット「え、おい、何が……」
樹海の雷王「あの、その、実は自分金髪碧眼の子がどストライクで……」
ナギット「へ」
樹海の雷王「結婚を前提に結婚してくれないか



結婚を前提に結婚結婚を前提に結婚結婚を前提に結婚結婚を前提に結婚結婚を前提に結婚



ナギット「??????
ロウ「大変!愛の告白されちゃったな!」
クロ「始めて告白された相手が魔物……しかもDOEとはこれまたいかに」
ビクトル「可哀想すぎて引くわー」
ナギット「なんだよこの空気!てか何!?告白!?そんなもん受け入れられるかボケ!」
樹海の雷王「がーん」
ビクトル「当然と言えば当然の結果なんだよな」
ナギット「魔物は魔物らしく自分と同じ種類の相手と交配してろ!!」
ロウ「ナギットくんどーどー」
ナギット「さっさと逃げるぞ!クロ!電撃の印術!!」
クロ「分かってますとも」
樹海の雷王「嫌だと言うのなら……仕方がない」
ナギット「は?」
樹海の雷王「無理矢理結婚するまで
ナギット「え」

突如、樹海の雷王がナギットに覆い被さってきた!

ビクトル「!?」
クロ「これはマズイですよマウント取られてます」
ロウ「ナギットくーん動物は結婚=交尾って意味だから貞操には気をつけろよー」
ナギット「ギャアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!」
ビクトル「やめたげてよぉ!!
クロ「キキョウが見たらげきおこ案件では済まない事になっていたでしょうねぇ」
ビクトル「冷静に解説している場合か!早く助けてやれよ!俺じゃどうしようもできないだよぉ!!」
クロ「勿論。いくら野郎とはいえ何度も死線を乗り越えてきた仲間を見捨てたりはできませんよ、紳士ですからね」

クロが放った電撃の印術により樹海の雷王は麻痺、その隙にナギットを救出した

ビクトル「大丈夫か!しっかりしろ!」
ロウ「貞操無事?」
ビクトル「おい!」
ナギット「うっ……ぐすっ……ひぐっ」
クロ「誰だってあんな事されたら泣きますよ、よしよし」
ビクトル「もう変なこと言うなよ」
ロウ「うん、猛省した」

泣きじゃくるナギットを慰めつつ、追って来る樹海の雷王を麻痺させながら先へと進み……B28Fに降りた頃には、樹海の雷王は諦めたのか降りて来なくなり、ダンジョンに静寂が戻った。

ナギット「逃げ切れた……逃げ切れたぞ……俺はやったんだ……」
クロ「お疲れ様でした」
ロウ「よーし!あとは駆け抜けるだけだな」
ビクトル「でもこのダンジョン、何階まであるかわからないんだろ?急ぎ過ぎたら足元掬われたりするんじゃね?」
ロウ「それなら問題ないぞ!ここは最下層がB34Fだからもうちょっとだって!」
ナギット「…………え」
クロ「どうしてご存知なんですか!?」
ロウ「だって前に1人で潜ったことあるもん。踏破もした」
ビクトル「!?」
ナギット「それもっと早く言えよ!!」
ロウ「だって聞かなかったじゃ〜ん」
ナギット「そうだけども!!」
クロ「最下層が近いということはダンジョンに巣食っている魔物もより凶暴になるということですかね」
ビクトル「今まで以上に慎重に行ったほうがよさそうだな……例えば、石を投げてくるモグラが2匹いるから階段登ってフロアリセットしちゃうとか」
ナギット「え」

階段を登るとDOEが待ち構えていた

樹海の雷王「あれっ!?戻ってきてくれたのかい!?」
ナギット「バカヤローーーーーーーーーー!!
ビクトル「ホントごめん!マジごめん!これ終わったら晩飯奢るから!」
ロウ「オイラはもつ鍋がいい!」
ビクトル「お前には言ってねー!」
クロ「はいはい電撃の印術を使いますから早く逃げますよー」

2度目の遭遇はあっさり諦めてくれた樹海の雷王だったが、B30Fまで降りると別のDOEと出会ってしまった。

幻惑の飛南瓜「シリーズほぼ皆勤賞の名は伊達じゃないってことを教えてあげよウ」
ナギット「樹海の雷王じゃない!!!
ビクトル「よかったじゃん」
クロ「遠くにあるDOEのアイコンを見た時から確信は得ていましたが、よりによって緑色の南瓜とは厄介な」
ロウ「DOEは総スルーだから何でもいいじゃん。それとも、アイツは小型DOEだから倒す方針?」
クロ「一応、TPにまだ余裕はありますが」
ナギット「喧嘩は売らない。樹海の雷王と同様に麻痺して動き止めて逃げる」
クロ「はいはい。まだTPに問題はなさそうなので心配しなくても大丈夫ですよー。TPブーストとTPカットを真っ先に伸ばしてよかったですよホント」
ロウ「持久戦型ルンマスの完成形だよな、クロって」
ナギット「麻痺の水葉もあるからそれも使って足止めするか……相変わらずAIがゴミな味方の誘導に苦労するけど」
クロ「お手数おかけします」
ビクトル「DOEの攻撃がゴミじゃなかったらもうダメだった」
ロウ「でも抜けれたー!後は階段見つけて降りるだけ!」
ビクトル「ここですぐ見つからなかったら今度こそ詰むぞ」
ナギット「あかりの巻物はないから地道に探すしかねぇ……でも、こういう時に限って見つからないパターンだって分かりきって」

コールドネイルの冷凍の爪!クロは倒れた!

クロ「あーれー」
ナギット「!!!??!?!?!
ビクトル「ウッソだろ!?」
ロウ「世界樹の葉もなけりゃネクタルもなーい!どうしよ」
ナギット「と、とにかく今はあの凶暴化したコールドネイルを倒すぞ!俺が引きつけておくからお前らで倒してくれ!」
ロウ「あいあい」
ビクトル「大変申シ上ゲニクイノデスガ、南瓜ノDOEガコチラニ向カッテオリマス」
ナギット「何でこんな時に!!」
ロウ「ぴーんち。でもコールドネイルは倒した!」
ビクトル「ど、どうすんだ?」
ナギット「ここまで来てギブアップできるか!通路におびき寄せて仕留める!」
ロウ「おお〜でも何で通路?」
ナギット「他の魔物の乱入を最低限阻止するためなのと実は逃げようとして通路に追い込まれてどうしようもなくなったからだ」
ビクトル「舞台裏言わなかったらカッコよかったのにな」
ナギット「うっせ」
ロウ「小型DOEなら状態異常1つ付ければ攻撃通るんだろ?俺が封印切連発すんの?」
ナギット「いや……通路の角におびきよせてから、ビクトルがひたすら通常攻撃して頑張って南瓜を混乱させる」
ビクトル「うん?」
ナギット「で、あらかじめコイツを使っておく」
ロウ「お!強肩の巻物!これ使ったらアイテム投げた時のダメージが100固定になるんだよな!」
ナギット「バックパックにはいらない装備品で溢れてるからな、攻撃が通るようになったら南瓜の攻撃が通らない角からアイテムを投げまくってダメージを稼ぐ!通常攻撃よりもダメージは入るだろ」
ロウ「……オイラが草木退治使った方が早くね?」
ナギット「TP温存しときたいんだよ」
ロウ「おお!」
ビクトル「話がまとまりかけてるけどさ?俺がひたすら通常攻撃連発するってことはつまり、ひたすら南瓜の攻撃を受け続けなきゃいけないって事なんじゃ……?」
ナギット「アイツの攻撃力はゴミだしダンサーでも大丈夫だ。扇の舞はスキルマにしてあるからある程度は避けれるだろ?」
ビクトル「ええー……」
ナギット「避けろ
ビクトル「へい!!」
ロウ「ヒュウ!おっかねぇや!」

作戦通りビクトルの攻撃で南瓜を混乱にしながら地道にダメージを与えていく

南瓜「ひたすら装備品投げてくる冒険者コワイヨー」
ナギット「よーしよし、順調にダメージを与えられてるな」
ビクトル「うん……避けるの失敗したり死にそうになったらディバイドしてくれよな?」
ナギット「言われなくてもわかってるっつーの」
ロウ「ナギットくんナギットくん、もう余り物の装備品がちょっとしかない。早く倒し切らないとマズくない?」
ナギット「マズイにしろ何にしろ、今の俺たちにはこの戦法しかないんだからひたすら投げるしかねーの」
ロウ「まーそうなんだけどさー」
南瓜「コワイヨー!」

幻惑の飛南瓜は癒しのまじないを使った!幻惑の飛南瓜のHPが400回復した!

ナギット「ああ゛?」
ビクトル「回復やめて下さい!!地雷なんです!!」
ロウ「ピンチ加速中」
ビクトル「どうすんの!どうすんのぉ!?」
ナギット「投げる!!
ビクトル「はい!!」
ロウ「脳筋だなー」

ワンパターン戦法だったがギリギリ勝てた

南瓜「ヤラレチャッタ」
ナギット「勝ったぞオラァァァァァァ!!
ビクトル「もう二度とこんな戦法したくないぞオラァァァァァン!!
ロウ「おつかれー!後は駆け抜けるだけだな!」
ナギット「TPカツカツだけどな!!」
ロウ「おう」

最凶の難所を突破した3人は、その後ネクタルを拾うことなく進み続け、そして……

B34F
宝物部屋にたどり着いた!

ナギット「うおあああああああああああ終わったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ビクトル「ああああああああああ!!やっと帰れるぅうううぅぅぅうぁあああああああ!!」
ロウ「鍵ないから宝箱取れないけどな!」
ナギット「どーでもいいんだよ宝箱なんて!ホラ!さっさと帰る!!」
ビクトル「2度行くかこんなダンジョン!」
ロウ「あー面白かったー」
ナギット「面白くねーよ!!」

宝箱が回収できなかったことなどほんの些細な問題でしかない。一行は第12迷宮を踏破した!





冒険者ギルド。絶賛お留守番中のアオニとキキョウはここで暇を潰していた。

キキョウ「うがー!また負けたー!どうなってんだよこれー!」
アオニ「どうなってるって……ただのオセロなんだけど」
キキョウ「おかしい、どうにもおかしい……絶対何か裏があるはず……」
アオニ「ないよ。でもアタシ初めてだよ、オセロ10連敗する人を見るの」
キキョウ「この手のボードゲームってどうしても弱いんだよなぁ俺……誰にも勝ったことない」
アオニ「そ、そう……じゃあ今からアタシからの質問返答タイムにしない?まあお喋りなんだけど」
キキョウ「いいぞいいぞ!お喋りは好きだ!」
アオニ「なんでキキョウってナギットのこと大好きなの?」
キキョウ「ふへ?何で今更?」
アオニ「だっていつも俺はナギットさんを次期当主と認めてないーとかご主人様はナギットさんじゃないーとか言ってるけど、何だかんだ言ってナギットのこと溺愛してるじゃん?それって何?天邪鬼?」
キキョウ「天邪鬼じゃあない、かな?」
アオニ「じゃあ何?きっかけって」
キキョウ「きっかけらしいことって言ったら、俺がご主人様に拾われて、お屋敷で介抱されてた時に小さかった頃のナギットさんがずっと看病してたこと……かな?」
アオニ「ふむふむ」
キキョウ「たぶんオリーブさんの真似をしてたんだと思うけど、今よりもっともっと人見知りだったナギットさんはご主人様や屋敷で働いてる使用人以外だと、同年代の子供相手でも怯えて泣きながら逃げてたらしい。でも、俺は初対面でも平気だったみたいでみんなすっごく驚いてたなー。ボロボロだった俺のことをずっと心配してくれたナギットさん見てたらさ、本当に良い子だなーって思ったんだよ」
アオニ「ほうほう」
キキョウ「ご主人様たちに恩返しもしたいし人見知りのナギットさんを守ってあげたたかったから、完治した後にご主人様に仕えることにしたんだ」
アオニ「なるほど、幼少期の思い出が今のキキョウを生み出したってことか」
キキョウ「そうかもしれないしそうじゃないかもしれない」
アオニ「違うの?!ここまで語っておいて!?」
キキョウ「うーん、言われてみたらこれがきっかけだ!って確信できる出来事ってなかったような気がするんだよな、出会った時のことだって想いの起点?みたいな感じ、ナギットさんを守る!って決意を抱くまでのさ」
アオニ「おおう……じゃあキキョウの行動の言動力ってなんなの?」
キキョウ「何なんだろうなー?もしかするとナギットさんと一緒にいた15年間の思い出が蓄積された結果なのかもしれないけど……つまり、よくわからん!!」
アオニ「わかんないんだ……」
キキョウ「おう、びっくりだろ?理由がなかったら不満か?」
アオニ「不満ってコトはないよ。長年の付き合いの結果が今のキキョウの想いなんだったらそれが答えだよ。そもそも人の気持ちなんて正解も不正解もない不安定で曖昧なモノなんだし、そういう答えもアリかなーって思える」
キキョウ「……そっかー。じゃあ俺からも質問!何でアオニってクロと付き合ってんの?」
アオニ「何でだろうね」
キキョウ「えぇー……?」
アオニ「冗談だよ。クロって家の事情が複雑で、自称紳士って言ってもどこかスレてるところあるじゃん。なんというか放っておけないって言うかさ、誰か1人ぐらい側にいて支えてあげなきゃなーって思ってたらさ……自然とこうなってたよ」
キキョウ「ほえーそういう愛の形もあるんだなー」
アオニ「あとは純粋に顔が好みだった」
キキョウ「顔」
アオニ「うん顔」
キキョウ「…………」
クロ「ただ今戻りましたー」
ロウ「ただいまー!」
キキョウ「おっ!噂をすれば何とやらだぞ!」
アオニ「みんなお帰りー!第12迷宮は踏破できたの?」
クロ「もちろん。フカ子のために身を粉にして頑張らせてもらいました」
アオニ「よしよし、ご苦労様。やっぱり踏破のご褒美はないみたいだけどまあいいか!」
キキョウ「そだねー」
ビクトル「いいのかよ」
ナギット「………………」
キキョウ「あれ?ナギットさん?どうしたんスか?」
アオニ「顔色がめちゃめちゃ悪いみたいだけど……疲れかストレス溜まりすぎちゃった?」
ロウ「何でこっち見ながら言うてんのー?」
ナギット「………………どと」
アオニ&キキョウ『?』
ナギット「2度とレベルリセットダンジョンには行かないからな……!!
アオニ&キキョウ『???』
ビクトル「深い理由は聞かないでやってくれ……アイツのためにも」
クロ「一生分のトラウマですからね……」
アオニ「一生分って……泣くほどストレス溜まったの……?」
ロウ「オイラじゃない、オイラじゃあないぞー?」
キキョウ「ナギットさーん?どうして泣いてるんスかー?ナギットさーん?」

その後、ナギットはストレス性十二指腸潰瘍を発症して入院した

アオニ「ビクトルも帰っちゃったね」
クロ「あれほど帰りたがっていたのですからちゃんと帰してやらないと可哀想ですよ。野郎とはいえ」
キキョウ「うむむーナギットさん、何があったのか全っ然教えてくれなかったーむー」
クロ「この件に関しては本当にそっとしておいてください。それがナギットのためになるのですから」
キキョウ「そうなんだけどさーむー」
アオニ「文句を垂れてる暇はないよキキョウ。こっちは最大の問題に直面してしまったんだから」
キキョウ「何それ」
アオニ「このシリーズどこで終わらせよう
キキョウ「ふへ?」
クロ「第12迷宮を踏破すれば第13迷宮が出てきて裏ボスが出てくるハズ……と考えていたのですがこの作品、第13迷宮が存在しないそうなんですよ」
キキョウ「ないの!?」
クロ「ないです。我々よりも長くここで冒険者をしているアントニカやロウに話を聞いてみましたが、第13迷宮の存在は確認できていないそうです」
キキョウ「マジか。じゃあどうすんの?これで最終回にするの?」
アオニ「次回予告のネタまだ残ってるしまだ終わらせたくないなー」
キキョウ「このシリーズ続けるのって次回予告のためだったん?アオニの原動力ってそれだったの?」
アオニ「若干」
クロ「ロウの話によりますと、レベルリセットダンジョンは第12迷宮以外にも2つあるそうでして、どちらもDOEは出ないもの50階以上潜らなければならないというとんでもない高難易度なんだとか」
キキョウ「詳しいなぁロウのヤツ。踏破とかしてんのかな」
クロ「彼はどちらもソロ踏破済みなんだそうです」
キキョウ「え」
アオニ「何者なのあの人」
クロ「さあ。野郎についてはどうでもいいので知りません」
アオニ「ブレないなぁ……うーむどうするかな?その2つを攻略するにしてもナギットの心の傷が癒えるの待つか別の方法を考えるかだから後回しになっちゃうけど、レベリセダンジョンになるとアタシとキキョウがお留守番になっちゃうしー」
キキョウ「最後のダンジョン攻略で留守番はやだなー」
クロ「私だって嫌です。最後はいつものメンバーで綺麗に終わらせたいですよ」
アオニ「じゃあ……アレらのダンジョンを攻略して終焉の美を飾ろうかな」
キキョウ「あれらって?」
アオニ「大集結山脈」





【次回予告】
アオニ「毎日雨水を飲み、雑草を食みながら生きてきた超絶貧乏美少女アオニはある日、レジェンドメイドさんに見初められ、崖の上のお屋敷で働くことになった!」
オリーブ「いけません!もっと静かに!アナタはここでは影も当然!自分を殺し、存在を殺し!主人に仕えることだけを考えなさい!」
アオニ「想像していた可憐で美しい従者生活の夢は10分で潰え、待っていたのはスポーツ根性もびっくりの超絶過酷なメイドさん作法の数々!なんで床下から出てくるの?なんでツボの中に盗聴器があるの?なんでベッドの下に隠し通路が無数にあるの??」
ナギット「プライベートとは」
オリーブ「仕えている主人に何かあっては遅すぎます。隠し通路はもしもの時に一刻も早く駆けつけるため、盗聴器は問題解決のヒントを得るための準備は欠かさず行っておくものです」
ナギット「でも盗聴器はやりすぎだと思います!」
アオニ「屋根のある場所がどんなに過酷でもアオニは決して諦めたり投げ出したりしない!もう二度と雨水でお腹壊して死にそうな目に遭いたくないし、草と間違えててんとう虫とかバッタを食べたくないからね!」
ナギット「こっちもこっちでかなり過酷だな……」
オリーブ「その過ちを犯しても生きている時点でかなり高評価です、今度履歴書持ってきてください」
ナギット「いやこれ次回予告なんで、嘘なので、本気にしないでください」
オリーブ「それは残念」
アオニ「次回!“美少女メイド伝説アオニちゃん”第11話!“メイド服は人類の浪漫”!め、メイド服で狭い通路を移動するのって骨が折れるね……」
オリーブ「修行すれば誰だってできるようになりますよ。私の部下たちも全員1ヶ月ほどで習得させました」
ナギット「あの、オリーブさん?もしかしなくてもウチにもあるんですか……?隠し通路……」
オリーブ「……あっ」
ナギット「ちょっと!?」
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