冒険者珍道中
アイテムを補給し、一行は仙境の楽園B31Fにたどり着いた。
アオニ「やっと着いたー長かったー」
キキョウ「……んえ?」
クロ「どうかしましたか?」
キキョウ「いや、なんか笑い声が聞こえてくるような気がして」
ナギット「俺も聞こえるぞ、妙に腹立つ声」
クロ「私はどこか響きのよい素敵な声に聞こえますが?」
アオニ「そりゃあきっと声の主がアレだからじゃないの?」
妖魔ナディカが現れた!!
ナギット「まんまナディカじゃねぇか!」
キキョウ「俺はナディカ改とかナディカMK2とかナディカ翠とかそういうのが出て来るんだと期待していた」
クロ「名前含めて美しさと禍々しさを兼ね揃えた姿は前と全く変わりませんね」
アオニ「さすがに性能まではまんま前のナディカのままってワケじゃないと思うけど」
妖魔ナディカはクリスタルシュートを使った!
アオニは174ダメージを受けた!ナギットは62ダメージを受けた!
アオニ「痛い!全身がクリスタルの破片まみれなんだけど!」
クロ「あ、これは我々が直撃したら死ぬやつですね」
キキョウ「わかる」
ナギット「わかるな」
キキョウ「ディバイト貫通攻撃だからナギットさんが庇ってくれても無駄だもーんきっと死ぬもーん」
ナギット「守りに対する絶対的な自信のなさなんだよ。新しいキャラ探してんの?」
キキョウ「はいッス!!」
アオニ「痛いのは最初だけだから心配しなくても大丈夫、世界樹の葉もネクタルも黄泉の粉もあるんだから負ける要素はないよ」
キキョウ「へーい」
ナディカは強襲を使った!
キキョウ「なんの!」
キキョウは攻撃を受け流した!
キキョウ「どや」
クロ「お見事」
ナギット「バトルタンゴ踊っとくから攻撃は任せたぞ」
キキョウ「任せてほしいッス!」
アオニ「ブレイバンドはアタシの分しかないから、キキョウは自分で攻撃力上げてね。狂舞の型があったでしょ?」
キキョウ「そーいえばそんなスキルもあったなーブレイバンドのせいですっかり忘れてた!」
アオニ「ただ1つ問題が」
ナギット「まだ何かあんのか?」
アオニ「ナディカには◯◯退治のスキルが当てはまらない」
ナギット「あ」
キキョウ「じゃあ竜みたいに“クソザコナメクジwww”って煽りながら倒せないってことか!めんどくさいなー」
ナギット「今まで煽ってたのかよお前」
アオニ「通らないものは仕方ないからね、キキョウはケンカクのスキルでダメージ重ねていって、アタシはいつも通りハヤブサ突きしとくかな」
キキョウ「本来はケンカクのスキルが基本なんだけどな」
クロ「私は?」
アオニ「凍牙の印術」
クロ「ですよね」
妖魔ナディカは咆哮を使った!
体力が889回復した!物理攻撃力がアップした!
全員『!!??』
キキョウ「これが噂の世界樹名物、魔物の超絶回復ってやつか!?」
クロ「今まで与えてきたダメージのほとんどを回復されてしまいましたねぇ」
ナギット「マジかよ……」
アオニ「何のために強化解除の巻物持ってきたと思ってるの!ホラホラ!シャキッと戦う!」
キキョウ「竜相手に調子ぶっこいてた反動がキテる」
ナギット「……強化解除の巻物ねーけど」
アオニ「あ」
クロ「やらかしましたか」
アオニ「いやいや、まだ詰んだって決まったわけじゃないし。ホラ、攻撃の手を緩めなかったらダイジョウブダイジョウブ」
クロ「文末から動揺の色が見えますけど?」
ナギット「とりあえず挑発しとくか……そろそろバトルタンゴも切れそうな頃だし……」
アオニ「ぬおー!アオニ怒りのハヤブサ突きを喰らえー!」
キキョウ「じゃあ俺は神速剣するー!」
一方的に殴り続けて妖魔ナディカを倒した
クロ「特に問題はなかったと」
ナギット「一度回復されてもそれを上回る勢いで攻撃できてたからな」
キキョウ「勝利のブイ!!」
翌日、黄金の麦酒場でクエスト報告した。
ムッコラン「クエストクリアおめでとう!あ!何があったか言わなくて全然いいのよ?」
アオニ「どして?」
ムッコラン「ホントはすっごく聞きたいけど……人の恋路は邪魔しない主義だから!」
キキョウ「なんか変な勘違いしてね?」
ムッコラン「そんなことないよー、なーんにも勘違いとかしてないから!大丈夫!」
ナギット「本当ですか?」
ムッコラン「…………で、何があったの?」
アオニ「ちょっと」
ムッコラン「お願い!ちょっとだけ!ちょっとだけでいいから教えて!せめてあのラブレターが誰宛てだったのかだけでも!」
ナギット「そもそもあれはラブレターじゃなくてですね……」
キキョウ「強いて言うならアオニ宛てじゃね?」
クロ「確かに」
ナギット「え」
アオニ「え」
ムッコラン「ホント!?でもアオニってクロと付き合ってるんじゃなかったっけ?」
クロ「はい。なので直接会って話をしてきましたよ」
ムッコラン「わあ」
キキョウ「主に拳の」
ムッコラン「わあ!?」
ナギット「お前らそろそろ黙れ」
アオニ「いや、もう少し続けさせて。いーい感じの次回予告のネタがもうちょっとで出てきそう」
ナギット「次回予告って妄言から生み出してんの?」
ムッコラン「そういえば、今ので最後のクエストだからもう新しいクエストはないよ!」
アオニ「なんと!」
クロ「本当ですね。ギルドカードの称号がクエストコンプリートのものになってます」
キキョウ「おお〜やったなぁ」
ナギット「ってことは、次は……」
船着場にやって来ると、いくつかのダンジョンが解禁されていた。
アオニ「えっとお?小迷宮カガリの洞窟、メメタの岩場、ツヅマの森林……」
キキョウ「このさ、大集結山脈ってすげーな。ネーミングセンス安直すぎて逆に許せる」
クロ「どれもこれも世界樹の西側にある山にあるんですね。そして、全ての説明文にヌシが集結しているとあります」
キキョウ「なに?ボスラッシュ的な?」
ナギット「図鑑のボス欄に空白が多いのってこれのせいか?」
クロ「それは行ってみないとわかりませんね。それでフカ子、どうしますか?」
アオニ「アタシ、そろそろ第12迷宮に行きたい」
ナギット「言うと思った」
キキョウ「前々回からずーっと放置してたもんな」
クロ「レベルリセットされ、アイテムとお金の持ち込み不可。おまけに未識別アイテムが多いときています。今まで通りにはいかないでしょうね」
アオニ「それでも行くのが冒険者ってものさ」
キキョウ「じゃーアイテムを預けて行くか!第12迷宮!」
クロ「踏破したら第13迷宮が出現するかもしれません」
ナギット「第13迷宮!?あるのかそれ!?」
クロ「アスラーガではあったのでもしかしてと思っただけです」
ナギット「あっ……そうか」
キキョウ「荷物は宿に置いてきたのに、岸辺の草むらに荷物を隠したってメッセージが」
クロ「そういったシステム文にツッコミを入れてはいけません」
アオニ「装備品!装備品を隠したんだよきっと!」
第12迷宮。超時空水域
クロ「カラフルな色と美しい滝の景色があったはずだと言うのになんということでしょう。足を踏み入れた先の光景はまるで畏怖の山です」
アオニ「超時空だからね。きっと時空が入り乱れているんだよ」
ナギット「自分の知能レベルが露見する考察はやめとけよ」
キキョウ「おおー最初から丸腰ってワケじゃなさそう!初期装備持ってる!」
アオニ「さすがに丸腰じゃあないでしょうが」
クロ「しかしこの装備、どこから来たんでしょうね」
キキョウ「生えて来たんじゃね?」
ナギット「生えてたまるか」
しっかりスキルを振ってから先に進み始める
アオニ「おっと、サイレンチュニック発見。クロ装備しとく?」
クロ「喜んで」
ナギット「それ未鑑定だぞ?呪われたらどうすんだ?」
クロ「呪われていたとしてもフカ子の手渡しプレゼントを無下に扱うことはできません。呪われていたらその時はそれを甘んじて受け止めます」
ナギット「愛が深いのか馬鹿なのかわかんねーわ」
クロ「ま、呪われていませんでしたけどね!」
ナギット「ヘーヨカッタナー」
クロ「なぜカタコトに」
キキョウ「ナギットさんナギットさん!なんか綺麗な床があるッス!」
ナギット「は?いつもの結晶床じゃねーの?」
キキョウ「でも黄色いッスよ?」
ナギット「黄色?」
スキルポイント床を踏んだ!
アオニ「え?何?」
クロ「チュートリアルが流れて来ましたよ……えっと、この黄色い床を踏むと、パーティ全員のスキルポイントが1つ増えるそうです」
アオニ「マジで!?めっちゃお得じゃん!」
クロ「早速振りますか?」
アオニ「アタシはレベル10になって習得スキル増えるまで貯めとく」
ナギット「そうか、レベルが下がってるからまだそんなにたくさんスキルを習得できないんだよな」
キキョウ「サブもないんだよな?」
アオニ「そりゃあそうだね」
キキョウ「リジュネワルツ……」
アオニ&クロ『あ』
ナギット「あー……」
キキョウ「回復どうする?」
アオニ「気合いと根性」
ナギット「せめてアイテムって言え。なんでもかんでも気合いと根性で解決できると思ったら大間違いだぞ」
そして
アオニ「街に帰ってきた!」
ナギット「全滅してな!」
クロ「全滅メッセージなんて始めて見ましたよ」
キキョウ「今まで全滅知らずだったからなー」
ナギット「原因は深刻な回復不足と死霊の兵士か……」
クロ「死霊の兵士は私が麻痺させるのでさほどでもありませんが、問題は回復ですね、メディックもプリンセスもダンサーもいないんですよねこのパーティ」
キキョウ「サブクラスに頼ってたツケか!」
アオニ「ぐぬぬ……悔しいけどそれを認めるしかない……」
キキョウ「あとは拾った武器が槌ばっかりでアオニの攻撃力が全く上がらなかったのも原因に挙げられる」
アオニ「やめれ。とにかく一度探索メンバーを見直す必要があるね」
クロ「見直すとしてもどうするんですか?」
アオニ「不本意だけどリジュネワルツのためにまたビクトルを呼ぶかな……本当に不本意だけど」
ナギット「嘘つけメチャクチャ仲いいだろお前ら」
キキョウ「そんな気軽に呼んでいいんだ」
アオニ「前にエミルに会った時にね“ビクトルぐらいだったら好きに使ってくれていいよ♪君たちのギルドにダンサーいないんでしょ?だったら丁度いいじゃん♪いつでも気軽に呼んであげて♪”って言われてさ。こっそりギルド登録してやった」
ナギット「マジかよ」
キキョウ「やっぱ仲良しじゃん」
クロ「ビクトルを加入させるとして、誰を外します?」
アオニ「防御面でナギットは絶対にいて欲しいし、クロの印術も強力だから外したくないなー……つまり」
キキョウ「俺か!納得!」
ナギット「……いいのか?」
キキョウ「いいッスよ。ダンジョン攻略のためなら仕方ないッス」
クロ「ではフカ子、私、ナギット、ビクトルで行きます?」
アオニ「いや、アタシも外れるよ」
クロ「は!?」
キキョウ「なんでなんで!?」
アオニ「ソードマンの初期スキルがショボすぎるんだよ。レベル10になるまでがかなり鬼門」
ナギット「ああ……豪腕はSTRと壊攻撃力が上がるだけだもんな。STRはともかく壊攻撃はないからな、ソードマン」
キキョウ「あるとしてもレベル10以降から覚えられるブレイク系スキルだけだし、ソードマンは槌を装備できないんだよな」
アオニ「でしょー?悔しいけどアタシもお留守番」
クロ「そんな……そんな……フカ子がいない冒険なんて……私にとっては拷問も同じ……」
アオニ「いざとなったらコイツのみぞおちに一発ぶち込んででも連れて行って」
ナギット「了解」
キキョウ「アオニが抜けるとして、誰を入れるんだ?」
アオニ「アタシはフーライがいいなーって思ってる。◯◯退治のスキルは便利だし、装備できる武器と防具の種類も豊富だし」
キキョウ「俺みたいな紙防御よりも立ち回りはよさそうだなー」
アオニ「問題はこのギルドでフーライを雇ってないってことだけど……トラオレに紹介してもらえないかなー?」
ナギット「……フーライなら心当たりがあるぞ」
アオニ「え?」
神妙な顔をしたナギットに連れられ、一行は冒険者ギルドへ
ロウ「どもどもー!フリーで冒険者してるフーライのロウでーす!メタ的な話をするとフーライ♂2でーす!シクヨロー!」
クロ「なんですかこのチャラ男」
ロウ「なんで初対面から敵意MAXなの」
アオニ「アタシの代わりのメンバーだから女の子を期待してたんだよ。気にするだけ無駄だから気にしないでね」
ロウ「なーる」
キキョウ「ナギットさんナギットさん、アイツ友達?」
ナギット「んなワケねーだろ。ギルドに行くたびに鬱陶しく絡んでくるただの馬鹿だ」
ロウ「えー?ナギットくんってばオイラのことそう思ってたの?ひどくなーい?」
ナギット「事実だろ」
アオニ「でも敬語抜けてるよね。人見知りは完治してないのに敬語じゃないってことは……」
キキョウ「ナギットさん……!見知らぬ地で友達ができたんスね……!」
ナギット「だから友達じゃねーよ!」
ロウ「もうっ♪照れちゃって♪」
ナギット「ウゼェ……」
アオニ「落ち着いてその拳を仕舞うんだ。えっと、ロウだっけ?なんでナギットと仲良くなったの?」
ロウ「ギルドで暇そうにしてたから声かけた!それだけ!」
ナギット「暇そうにしてたのはお前だろうが!!」
アオニ「うん、何で敬語が抜けたか分かった気がした。怒りとストレスで知らない人に対する恐怖心が消滅したんでしょ、マッハで」
ナギット「だいたいそんな感じだな……」
キキョウ「ロウってウチのギルメンじゃないんだろ?別のギルドに所属してんの?」
ロウ「いや、オイラはフリーで活動してるんだ。基本はソロでダンジョンに潜って食いぶち稼いでるんだけど、たまに他のギルドの依頼を受けて採取活動に同行したり、砦を守ったりしてる」
キキョウ「なーるほどー」
ロウ「ところでアンタ、見た目の割に声低いよな……?」
キキョウ「俺は男だぞ?」
ロウ「アイエエェェェェ!?」
キキョウ「その反応ひっさしぶりに見たわ」
アオニ「みんなもう慣れちゃったもんね」
ロウ「はえー……人は見た目によらないなぁ……オイラはてっきりナギットくんの彼女かと」
ナギット「やめろ」
クロ「はぁ〜あ……フカ子の代わりがこんな野郎なんて……」
キキョウ「まだ不貞腐れてんのかよ」
ロウ「初対面だからあんまり言いたくないけどさ、大丈夫なのコイツ?」
アオニ「いざとなったらコレを使えばいいから大丈夫」
キキョウ「おお!これは帝国名物の砲剣じゃないか!」
ロウ「ゴッツイなぁー」
クロ「ビクッ」
アオニ「これはナギットに託すよ。ダンジョンで敵を倒すのに使用しないって約束すれば持ち込み許可は出るハズだから。クロがダダこねたら容赦なくドライブスキルぶっぱして」
ナギット「おう」
アオニ「ザックリだけど使い方説明しとくね。まずフリーズドライブの撃ち方だけど……」
クロ「すみませんでした!!」
数日後、精霊族の里から呼び寄せたビクトルと合流してからナギット、クロ、ロウの4人は第12迷宮に乗り込んだ……
クロ「ダンジョンに再び入って気付いたことがあったのですが」
ナギット「おう」
クロ「サブクラス使えるじゃあないですか」
ナギット「アオニのヤツ……またやらかしたな」
ビクトル「え、何?じゃあ冒険諦めて帰る感じ?」
ロウ「めんどくさーい」
ナギット「いいよ別にこのままで。いつものメンバーにしたところでキキョウは結局紙防御、アオニだってサブパイレーツだから突剣が拾えないとろくにスキルが使えねーし」
クロ「強力な武器が欲しければ現地調達するしかないのがレベルリセットダンジョンの醍醐味。狙った武器が拾えることなんて滅多にないので使える武器はどうしても限られてしまいますからね」
ロウ「だから装備できる武器が多いフーライのオイラが選ばれたのね」
ビクトル「……俺は?」
クロ&ナギット『リジュネワルツ』
ビクトル「ですよね」
クロ「スキルの振り方はどうしましょうか?SP床があるとはいえ、ある程度目星をつけていきたいですね」
ナギット「俺は挑発とリフレッシュ、クロは氷と雷系の印術で余裕があったらキュアやリフレッシュ、ロウは石でも投げときゃいいしビクトルは以下略」
ビクトル「俺の扱い雑すぎじゃないか?」
ナギット「さっき説明したからいいと思った」
ビクトル「さいで……」
ロウ「オイラはサブシノビだから回避スキルとっといてもいい?いいよね?」
ナギット「本来振らないといけないスキルを忘れなかったらいいぞ」
ロウ「なんだっけそれ?」
ナギット「退治スキル!!!」
ロウ「おお!それそれ!でもレベル10にならないと覚えられないぞ!」
ナギット「知っとるわ!」
クロ「先行きが暗くなってきましたね」
ビクトル「一寸先どころか目前からっずっと闇の気配がするわ」
不安を抱えるも帰りの階段はないため後退はできず、レベルの下がった一行はダンジョンの奥へ足を進める。
B8F
モンスターハウスだ!
ナギット「うげ、階段先がモンハウかよ!」
クロ「すぐに階段に戻ってしまいましょう。一旦上の階に戻ってまた降りればモンスターハウスも消滅しますからね」
ロウ「戻んなくてもいいと思うぞー?バースト溜まってフーライの奥義使えるから敵倒せるし、フロア出戻りしたら水晶床もアイテムも消えちゃうんだから、できれば進んだ方が良いと思うー」
ビクトル「レベリセダンジョンじゃあ結晶床もアイテムも貴重だからなぁ」
ナギット「むっ……それもそうか、じゃあ頼んだ」
ロウ「おうけぇ〜い」
ビクトル「(言い方がウザいな……)」
ロウは突風を使った!
モンスターハウスにいた全ての魔物が吹き飛んで行った!
クロ「見事に画面外へと消えていきましたね。経験値が入ればもっとよかったのですが」
ロウ「飛ばすだけじゃあ倒したとは言えないからなー」
ビクトル「綺麗に片付いたし、散らばってるアイテムでも拾っておくかー」
ビクトルは魔物召喚の罠を踏んだ!周囲に大量の魔物が現れた!
ナギット「アホー!!貴重なバースト使ったって言うのに何してくれてんたよテメー!」
ビクトル「罠なんて不可抗力だろ!俺のせいじゃなーい!」
クロ「今は責任を押し付けあっている場合ではありませんよ」
ロウ「さっさと各個撃破していこーよーなー?」
ナギット「しゃーねぇか……俺が挑発で引きつけておくから攻撃は任せたぞ。クロは面倒そうなヤツ見かけたら電撃の印術で足止めを頼む」
クロ「はい」
ビクトル「俺は?」
ナギット「リジュネワルツ」
ビクトル「だよねー」
数の多さに苦戦しつつもなんとか全ての魔物を退けた。
ナギット「やっと終わったか……あーしんど……」
クロ「アイテムをあまり消費しなかっただけでもよかったと言えますよ」
ロウ「疲れたなー」
ナギット「へばってる暇はねーぞ、今から下りの階段を探してだな」
ナギットは魔物召喚の罠を踏んだ!周囲に大量の以下略
ナギット「………………」
ロウ「あーらら」
クロ「おかわりですか。たらふく食べられますね」
ビクトル「超帰りたい」
ダンジョンではわりとよくある悲劇を乗り越え、一行はB19Fへ
ビックウーズ「どうも、ビッグ・ウーズです」
ロウ「ウーズ!でっかいウーズいる!こんなのって初めて!」
ナギット「はしゃぐな」
クロ「このダンジョンにも3×3マスの巨大魔物がいるとは思わなかったですよ、でもまあウーズなら印術で十分でしょう。任せてくださいな」
ビッグウーズは分裂Ⅱを使った!ウーズが増えた!
ナギット「え」
クロ「おやおや、属性攻撃を受けると増えるようですね」
ビクトル「それを確かめるために3回も印術使うなよ!部屋がウーズまみれだろうが!」
クロ「テヘ☆」
ナギット「増えちまったもんはどうしようもねーよ。しっかし増える度に部屋が狭く……」
ビッグウーズは甘美な痺れを使った!
クロは毒になった!鈍足になった!
ロウは睡眠になった!
ビクトルは睡眠になった!毒になった!
ナギット「ハァ!?!?」
クロ「範囲は部屋全体で毒と鈍足と睡眠を付与してくる、運が悪ければ全滅も有り得る鬼畜技じゃないですかやだー」
ナギット「動けるのは俺とお前だけかよ畜生!リフレッシュ使うぞ!」
クロ「よろしくお願いしますよ。とはいえウーズが増えすぎて収集がつかなくなってきましたし、始原の印術で一層しますか」
クロは始原の印術を使った!
分裂して増えたウーズを倒した!
ビッグウーズ「痛いな〜も〜」
ナギット「チッ、まだ息があるのか」
クロ「言い方が完全にガラの悪いアレですよ」
ナギット「アレって何だよ」
ロウ「気にする必要はないぞ?ナギットくんはガラが悪いというより口が悪いだけで根っこは良い子だもーん」
ナギット「うるせぇ!!封印切欲しいからって最初に起こすんじゃなかったわ!!」
ロウ「も〜照れちゃって〜」
クロ「野郎同士でイチャつくぐらいなら2人とも今すぐ女の子に転生してきてくれませんかね」
ビクトル「(どうでもいいから早く起こしてほしい……毒ダメージ蓄積してきて地味に辛いんだけど……)」
なんとかビッグウーズを処理し、次からは麻痺させてやり過ごそうと決めた一行はさらに奥へと潜っていく。
B20F
DOE樹海の雷王が現れた!
ビクトル「ゲッ!こんな所にもDOEが出てくんのかよ!」
クロ「盛りだくさんですね」
ロウ「睡眠の水葉もあるし、混乱マシーンだってあるからイケるイケる」
ビクトル「おい、混乱マシーンってもしかしなくても俺のことか。おい」
ナギット「お前はなるべくスキル封じを狙っていけよ。水葉があるっつってもあんまり数はねーんだからな」
ロウ「言われなくても!」
ビクトル「話聞け、会話しろ。まだ若の方が会話してくれるぞおい」
アオニ「やっと着いたー長かったー」
キキョウ「……んえ?」
クロ「どうかしましたか?」
キキョウ「いや、なんか笑い声が聞こえてくるような気がして」
ナギット「俺も聞こえるぞ、妙に腹立つ声」
クロ「私はどこか響きのよい素敵な声に聞こえますが?」
アオニ「そりゃあきっと声の主がアレだからじゃないの?」
妖魔ナディカが現れた!!
ナギット「まんまナディカじゃねぇか!」
キキョウ「俺はナディカ改とかナディカMK2とかナディカ翠とかそういうのが出て来るんだと期待していた」
クロ「名前含めて美しさと禍々しさを兼ね揃えた姿は前と全く変わりませんね」
アオニ「さすがに性能まではまんま前のナディカのままってワケじゃないと思うけど」
妖魔ナディカはクリスタルシュートを使った!
アオニは174ダメージを受けた!ナギットは62ダメージを受けた!
アオニ「痛い!全身がクリスタルの破片まみれなんだけど!」
クロ「あ、これは我々が直撃したら死ぬやつですね」
キキョウ「わかる」
ナギット「わかるな」
キキョウ「ディバイト貫通攻撃だからナギットさんが庇ってくれても無駄だもーんきっと死ぬもーん」
ナギット「守りに対する絶対的な自信のなさなんだよ。新しいキャラ探してんの?」
キキョウ「はいッス!!」
アオニ「痛いのは最初だけだから心配しなくても大丈夫、世界樹の葉もネクタルも黄泉の粉もあるんだから負ける要素はないよ」
キキョウ「へーい」
ナディカは強襲を使った!
キキョウ「なんの!」
キキョウは攻撃を受け流した!
キキョウ「どや」
クロ「お見事」
ナギット「バトルタンゴ踊っとくから攻撃は任せたぞ」
キキョウ「任せてほしいッス!」
アオニ「ブレイバンドはアタシの分しかないから、キキョウは自分で攻撃力上げてね。狂舞の型があったでしょ?」
キキョウ「そーいえばそんなスキルもあったなーブレイバンドのせいですっかり忘れてた!」
アオニ「ただ1つ問題が」
ナギット「まだ何かあんのか?」
アオニ「ナディカには◯◯退治のスキルが当てはまらない」
ナギット「あ」
キキョウ「じゃあ竜みたいに“クソザコナメクジwww”って煽りながら倒せないってことか!めんどくさいなー」
ナギット「今まで煽ってたのかよお前」
アオニ「通らないものは仕方ないからね、キキョウはケンカクのスキルでダメージ重ねていって、アタシはいつも通りハヤブサ突きしとくかな」
キキョウ「本来はケンカクのスキルが基本なんだけどな」
クロ「私は?」
アオニ「凍牙の印術」
クロ「ですよね」
妖魔ナディカは咆哮を使った!
体力が889回復した!物理攻撃力がアップした!
全員『!!??』
キキョウ「これが噂の世界樹名物、魔物の超絶回復ってやつか!?」
クロ「今まで与えてきたダメージのほとんどを回復されてしまいましたねぇ」
ナギット「マジかよ……」
アオニ「何のために強化解除の巻物持ってきたと思ってるの!ホラホラ!シャキッと戦う!」
キキョウ「竜相手に調子ぶっこいてた反動がキテる」
ナギット「……強化解除の巻物ねーけど」
アオニ「あ」
クロ「やらかしましたか」
アオニ「いやいや、まだ詰んだって決まったわけじゃないし。ホラ、攻撃の手を緩めなかったらダイジョウブダイジョウブ」
クロ「文末から動揺の色が見えますけど?」
ナギット「とりあえず挑発しとくか……そろそろバトルタンゴも切れそうな頃だし……」
アオニ「ぬおー!アオニ怒りのハヤブサ突きを喰らえー!」
キキョウ「じゃあ俺は神速剣するー!」
一方的に殴り続けて妖魔ナディカを倒した
クロ「特に問題はなかったと」
ナギット「一度回復されてもそれを上回る勢いで攻撃できてたからな」
キキョウ「勝利のブイ!!」
翌日、黄金の麦酒場でクエスト報告した。
ムッコラン「クエストクリアおめでとう!あ!何があったか言わなくて全然いいのよ?」
アオニ「どして?」
ムッコラン「ホントはすっごく聞きたいけど……人の恋路は邪魔しない主義だから!」
キキョウ「なんか変な勘違いしてね?」
ムッコラン「そんなことないよー、なーんにも勘違いとかしてないから!大丈夫!」
ナギット「本当ですか?」
ムッコラン「…………で、何があったの?」
アオニ「ちょっと」
ムッコラン「お願い!ちょっとだけ!ちょっとだけでいいから教えて!せめてあのラブレターが誰宛てだったのかだけでも!」
ナギット「そもそもあれはラブレターじゃなくてですね……」
キキョウ「強いて言うならアオニ宛てじゃね?」
クロ「確かに」
ナギット「え」
アオニ「え」
ムッコラン「ホント!?でもアオニってクロと付き合ってるんじゃなかったっけ?」
クロ「はい。なので直接会って話をしてきましたよ」
ムッコラン「わあ」
キキョウ「主に拳の」
ムッコラン「わあ!?」
ナギット「お前らそろそろ黙れ」
アオニ「いや、もう少し続けさせて。いーい感じの次回予告のネタがもうちょっとで出てきそう」
ナギット「次回予告って妄言から生み出してんの?」
ムッコラン「そういえば、今ので最後のクエストだからもう新しいクエストはないよ!」
アオニ「なんと!」
クロ「本当ですね。ギルドカードの称号がクエストコンプリートのものになってます」
キキョウ「おお〜やったなぁ」
ナギット「ってことは、次は……」
船着場にやって来ると、いくつかのダンジョンが解禁されていた。
アオニ「えっとお?小迷宮カガリの洞窟、メメタの岩場、ツヅマの森林……」
キキョウ「このさ、大集結山脈ってすげーな。ネーミングセンス安直すぎて逆に許せる」
クロ「どれもこれも世界樹の西側にある山にあるんですね。そして、全ての説明文にヌシが集結しているとあります」
キキョウ「なに?ボスラッシュ的な?」
ナギット「図鑑のボス欄に空白が多いのってこれのせいか?」
クロ「それは行ってみないとわかりませんね。それでフカ子、どうしますか?」
アオニ「アタシ、そろそろ第12迷宮に行きたい」
ナギット「言うと思った」
キキョウ「前々回からずーっと放置してたもんな」
クロ「レベルリセットされ、アイテムとお金の持ち込み不可。おまけに未識別アイテムが多いときています。今まで通りにはいかないでしょうね」
アオニ「それでも行くのが冒険者ってものさ」
キキョウ「じゃーアイテムを預けて行くか!第12迷宮!」
クロ「踏破したら第13迷宮が出現するかもしれません」
ナギット「第13迷宮!?あるのかそれ!?」
クロ「アスラーガではあったのでもしかしてと思っただけです」
ナギット「あっ……そうか」
キキョウ「荷物は宿に置いてきたのに、岸辺の草むらに荷物を隠したってメッセージが」
クロ「そういったシステム文にツッコミを入れてはいけません」
アオニ「装備品!装備品を隠したんだよきっと!」
第12迷宮。超時空水域
クロ「カラフルな色と美しい滝の景色があったはずだと言うのになんということでしょう。足を踏み入れた先の光景はまるで畏怖の山です」
アオニ「超時空だからね。きっと時空が入り乱れているんだよ」
ナギット「自分の知能レベルが露見する考察はやめとけよ」
キキョウ「おおー最初から丸腰ってワケじゃなさそう!初期装備持ってる!」
アオニ「さすがに丸腰じゃあないでしょうが」
クロ「しかしこの装備、どこから来たんでしょうね」
キキョウ「生えて来たんじゃね?」
ナギット「生えてたまるか」
しっかりスキルを振ってから先に進み始める
アオニ「おっと、サイレンチュニック発見。クロ装備しとく?」
クロ「喜んで」
ナギット「それ未鑑定だぞ?呪われたらどうすんだ?」
クロ「呪われていたとしてもフカ子の手渡しプレゼントを無下に扱うことはできません。呪われていたらその時はそれを甘んじて受け止めます」
ナギット「愛が深いのか馬鹿なのかわかんねーわ」
クロ「ま、呪われていませんでしたけどね!」
ナギット「ヘーヨカッタナー」
クロ「なぜカタコトに」
キキョウ「ナギットさんナギットさん!なんか綺麗な床があるッス!」
ナギット「は?いつもの結晶床じゃねーの?」
キキョウ「でも黄色いッスよ?」
ナギット「黄色?」
スキルポイント床を踏んだ!
アオニ「え?何?」
クロ「チュートリアルが流れて来ましたよ……えっと、この黄色い床を踏むと、パーティ全員のスキルポイントが1つ増えるそうです」
アオニ「マジで!?めっちゃお得じゃん!」
クロ「早速振りますか?」
アオニ「アタシはレベル10になって習得スキル増えるまで貯めとく」
ナギット「そうか、レベルが下がってるからまだそんなにたくさんスキルを習得できないんだよな」
キキョウ「サブもないんだよな?」
アオニ「そりゃあそうだね」
キキョウ「リジュネワルツ……」
アオニ&クロ『あ』
ナギット「あー……」
キキョウ「回復どうする?」
アオニ「気合いと根性」
ナギット「せめてアイテムって言え。なんでもかんでも気合いと根性で解決できると思ったら大間違いだぞ」
そして
アオニ「街に帰ってきた!」
ナギット「全滅してな!」
クロ「全滅メッセージなんて始めて見ましたよ」
キキョウ「今まで全滅知らずだったからなー」
ナギット「原因は深刻な回復不足と死霊の兵士か……」
クロ「死霊の兵士は私が麻痺させるのでさほどでもありませんが、問題は回復ですね、メディックもプリンセスもダンサーもいないんですよねこのパーティ」
キキョウ「サブクラスに頼ってたツケか!」
アオニ「ぐぬぬ……悔しいけどそれを認めるしかない……」
キキョウ「あとは拾った武器が槌ばっかりでアオニの攻撃力が全く上がらなかったのも原因に挙げられる」
アオニ「やめれ。とにかく一度探索メンバーを見直す必要があるね」
クロ「見直すとしてもどうするんですか?」
アオニ「不本意だけどリジュネワルツのためにまたビクトルを呼ぶかな……本当に不本意だけど」
ナギット「嘘つけメチャクチャ仲いいだろお前ら」
キキョウ「そんな気軽に呼んでいいんだ」
アオニ「前にエミルに会った時にね“ビクトルぐらいだったら好きに使ってくれていいよ♪君たちのギルドにダンサーいないんでしょ?だったら丁度いいじゃん♪いつでも気軽に呼んであげて♪”って言われてさ。こっそりギルド登録してやった」
ナギット「マジかよ」
キキョウ「やっぱ仲良しじゃん」
クロ「ビクトルを加入させるとして、誰を外します?」
アオニ「防御面でナギットは絶対にいて欲しいし、クロの印術も強力だから外したくないなー……つまり」
キキョウ「俺か!納得!」
ナギット「……いいのか?」
キキョウ「いいッスよ。ダンジョン攻略のためなら仕方ないッス」
クロ「ではフカ子、私、ナギット、ビクトルで行きます?」
アオニ「いや、アタシも外れるよ」
クロ「は!?」
キキョウ「なんでなんで!?」
アオニ「ソードマンの初期スキルがショボすぎるんだよ。レベル10になるまでがかなり鬼門」
ナギット「ああ……豪腕はSTRと壊攻撃力が上がるだけだもんな。STRはともかく壊攻撃はないからな、ソードマン」
キキョウ「あるとしてもレベル10以降から覚えられるブレイク系スキルだけだし、ソードマンは槌を装備できないんだよな」
アオニ「でしょー?悔しいけどアタシもお留守番」
クロ「そんな……そんな……フカ子がいない冒険なんて……私にとっては拷問も同じ……」
アオニ「いざとなったらコイツのみぞおちに一発ぶち込んででも連れて行って」
ナギット「了解」
キキョウ「アオニが抜けるとして、誰を入れるんだ?」
アオニ「アタシはフーライがいいなーって思ってる。◯◯退治のスキルは便利だし、装備できる武器と防具の種類も豊富だし」
キキョウ「俺みたいな紙防御よりも立ち回りはよさそうだなー」
アオニ「問題はこのギルドでフーライを雇ってないってことだけど……トラオレに紹介してもらえないかなー?」
ナギット「……フーライなら心当たりがあるぞ」
アオニ「え?」
神妙な顔をしたナギットに連れられ、一行は冒険者ギルドへ
ロウ「どもどもー!フリーで冒険者してるフーライのロウでーす!メタ的な話をするとフーライ♂2でーす!シクヨロー!」
クロ「なんですかこのチャラ男」
ロウ「なんで初対面から敵意MAXなの」
アオニ「アタシの代わりのメンバーだから女の子を期待してたんだよ。気にするだけ無駄だから気にしないでね」
ロウ「なーる」
キキョウ「ナギットさんナギットさん、アイツ友達?」
ナギット「んなワケねーだろ。ギルドに行くたびに鬱陶しく絡んでくるただの馬鹿だ」
ロウ「えー?ナギットくんってばオイラのことそう思ってたの?ひどくなーい?」
ナギット「事実だろ」
アオニ「でも敬語抜けてるよね。人見知りは完治してないのに敬語じゃないってことは……」
キキョウ「ナギットさん……!見知らぬ地で友達ができたんスね……!」
ナギット「だから友達じゃねーよ!」
ロウ「もうっ♪照れちゃって♪」
ナギット「ウゼェ……」
アオニ「落ち着いてその拳を仕舞うんだ。えっと、ロウだっけ?なんでナギットと仲良くなったの?」
ロウ「ギルドで暇そうにしてたから声かけた!それだけ!」
ナギット「暇そうにしてたのはお前だろうが!!」
アオニ「うん、何で敬語が抜けたか分かった気がした。怒りとストレスで知らない人に対する恐怖心が消滅したんでしょ、マッハで」
ナギット「だいたいそんな感じだな……」
キキョウ「ロウってウチのギルメンじゃないんだろ?別のギルドに所属してんの?」
ロウ「いや、オイラはフリーで活動してるんだ。基本はソロでダンジョンに潜って食いぶち稼いでるんだけど、たまに他のギルドの依頼を受けて採取活動に同行したり、砦を守ったりしてる」
キキョウ「なーるほどー」
ロウ「ところでアンタ、見た目の割に声低いよな……?」
キキョウ「俺は男だぞ?」
ロウ「アイエエェェェェ!?」
キキョウ「その反応ひっさしぶりに見たわ」
アオニ「みんなもう慣れちゃったもんね」
ロウ「はえー……人は見た目によらないなぁ……オイラはてっきりナギットくんの彼女かと」
ナギット「やめろ」
クロ「はぁ〜あ……フカ子の代わりがこんな野郎なんて……」
キキョウ「まだ不貞腐れてんのかよ」
ロウ「初対面だからあんまり言いたくないけどさ、大丈夫なのコイツ?」
アオニ「いざとなったらコレを使えばいいから大丈夫」
キキョウ「おお!これは帝国名物の砲剣じゃないか!」
ロウ「ゴッツイなぁー」
クロ「ビクッ」
アオニ「これはナギットに託すよ。ダンジョンで敵を倒すのに使用しないって約束すれば持ち込み許可は出るハズだから。クロがダダこねたら容赦なくドライブスキルぶっぱして」
ナギット「おう」
アオニ「ザックリだけど使い方説明しとくね。まずフリーズドライブの撃ち方だけど……」
クロ「すみませんでした!!」
数日後、精霊族の里から呼び寄せたビクトルと合流してからナギット、クロ、ロウの4人は第12迷宮に乗り込んだ……
クロ「ダンジョンに再び入って気付いたことがあったのですが」
ナギット「おう」
クロ「サブクラス使えるじゃあないですか」
ナギット「アオニのヤツ……またやらかしたな」
ビクトル「え、何?じゃあ冒険諦めて帰る感じ?」
ロウ「めんどくさーい」
ナギット「いいよ別にこのままで。いつものメンバーにしたところでキキョウは結局紙防御、アオニだってサブパイレーツだから突剣が拾えないとろくにスキルが使えねーし」
クロ「強力な武器が欲しければ現地調達するしかないのがレベルリセットダンジョンの醍醐味。狙った武器が拾えることなんて滅多にないので使える武器はどうしても限られてしまいますからね」
ロウ「だから装備できる武器が多いフーライのオイラが選ばれたのね」
ビクトル「……俺は?」
クロ&ナギット『リジュネワルツ』
ビクトル「ですよね」
クロ「スキルの振り方はどうしましょうか?SP床があるとはいえ、ある程度目星をつけていきたいですね」
ナギット「俺は挑発とリフレッシュ、クロは氷と雷系の印術で余裕があったらキュアやリフレッシュ、ロウは石でも投げときゃいいしビクトルは以下略」
ビクトル「俺の扱い雑すぎじゃないか?」
ナギット「さっき説明したからいいと思った」
ビクトル「さいで……」
ロウ「オイラはサブシノビだから回避スキルとっといてもいい?いいよね?」
ナギット「本来振らないといけないスキルを忘れなかったらいいぞ」
ロウ「なんだっけそれ?」
ナギット「退治スキル!!!」
ロウ「おお!それそれ!でもレベル10にならないと覚えられないぞ!」
ナギット「知っとるわ!」
クロ「先行きが暗くなってきましたね」
ビクトル「一寸先どころか目前からっずっと闇の気配がするわ」
不安を抱えるも帰りの階段はないため後退はできず、レベルの下がった一行はダンジョンの奥へ足を進める。
B8F
モンスターハウスだ!
ナギット「うげ、階段先がモンハウかよ!」
クロ「すぐに階段に戻ってしまいましょう。一旦上の階に戻ってまた降りればモンスターハウスも消滅しますからね」
ロウ「戻んなくてもいいと思うぞー?バースト溜まってフーライの奥義使えるから敵倒せるし、フロア出戻りしたら水晶床もアイテムも消えちゃうんだから、できれば進んだ方が良いと思うー」
ビクトル「レベリセダンジョンじゃあ結晶床もアイテムも貴重だからなぁ」
ナギット「むっ……それもそうか、じゃあ頼んだ」
ロウ「おうけぇ〜い」
ビクトル「(言い方がウザいな……)」
ロウは突風を使った!
モンスターハウスにいた全ての魔物が吹き飛んで行った!
クロ「見事に画面外へと消えていきましたね。経験値が入ればもっとよかったのですが」
ロウ「飛ばすだけじゃあ倒したとは言えないからなー」
ビクトル「綺麗に片付いたし、散らばってるアイテムでも拾っておくかー」
ビクトルは魔物召喚の罠を踏んだ!周囲に大量の魔物が現れた!
ナギット「アホー!!貴重なバースト使ったって言うのに何してくれてんたよテメー!」
ビクトル「罠なんて不可抗力だろ!俺のせいじゃなーい!」
クロ「今は責任を押し付けあっている場合ではありませんよ」
ロウ「さっさと各個撃破していこーよーなー?」
ナギット「しゃーねぇか……俺が挑発で引きつけておくから攻撃は任せたぞ。クロは面倒そうなヤツ見かけたら電撃の印術で足止めを頼む」
クロ「はい」
ビクトル「俺は?」
ナギット「リジュネワルツ」
ビクトル「だよねー」
数の多さに苦戦しつつもなんとか全ての魔物を退けた。
ナギット「やっと終わったか……あーしんど……」
クロ「アイテムをあまり消費しなかっただけでもよかったと言えますよ」
ロウ「疲れたなー」
ナギット「へばってる暇はねーぞ、今から下りの階段を探してだな」
ナギットは魔物召喚の罠を踏んだ!周囲に大量の以下略
ナギット「………………」
ロウ「あーらら」
クロ「おかわりですか。たらふく食べられますね」
ビクトル「超帰りたい」
ダンジョンではわりとよくある悲劇を乗り越え、一行はB19Fへ
ビックウーズ「どうも、ビッグ・ウーズです」
ロウ「ウーズ!でっかいウーズいる!こんなのって初めて!」
ナギット「はしゃぐな」
クロ「このダンジョンにも3×3マスの巨大魔物がいるとは思わなかったですよ、でもまあウーズなら印術で十分でしょう。任せてくださいな」
ビッグウーズは分裂Ⅱを使った!ウーズが増えた!
ナギット「え」
クロ「おやおや、属性攻撃を受けると増えるようですね」
ビクトル「それを確かめるために3回も印術使うなよ!部屋がウーズまみれだろうが!」
クロ「テヘ☆」
ナギット「増えちまったもんはどうしようもねーよ。しっかし増える度に部屋が狭く……」
ビッグウーズは甘美な痺れを使った!
クロは毒になった!鈍足になった!
ロウは睡眠になった!
ビクトルは睡眠になった!毒になった!
ナギット「ハァ!?!?」
クロ「範囲は部屋全体で毒と鈍足と睡眠を付与してくる、運が悪ければ全滅も有り得る鬼畜技じゃないですかやだー」
ナギット「動けるのは俺とお前だけかよ畜生!リフレッシュ使うぞ!」
クロ「よろしくお願いしますよ。とはいえウーズが増えすぎて収集がつかなくなってきましたし、始原の印術で一層しますか」
クロは始原の印術を使った!
分裂して増えたウーズを倒した!
ビッグウーズ「痛いな〜も〜」
ナギット「チッ、まだ息があるのか」
クロ「言い方が完全にガラの悪いアレですよ」
ナギット「アレって何だよ」
ロウ「気にする必要はないぞ?ナギットくんはガラが悪いというより口が悪いだけで根っこは良い子だもーん」
ナギット「うるせぇ!!封印切欲しいからって最初に起こすんじゃなかったわ!!」
ロウ「も〜照れちゃって〜」
クロ「野郎同士でイチャつくぐらいなら2人とも今すぐ女の子に転生してきてくれませんかね」
ビクトル「(どうでもいいから早く起こしてほしい……毒ダメージ蓄積してきて地味に辛いんだけど……)」
なんとかビッグウーズを処理し、次からは麻痺させてやり過ごそうと決めた一行はさらに奥へと潜っていく。
B20F
DOE樹海の雷王が現れた!
ビクトル「ゲッ!こんな所にもDOEが出てくんのかよ!」
クロ「盛りだくさんですね」
ロウ「睡眠の水葉もあるし、混乱マシーンだってあるからイケるイケる」
ビクトル「おい、混乱マシーンってもしかしなくても俺のことか。おい」
ナギット「お前はなるべくスキル封じを狙っていけよ。水葉があるっつってもあんまり数はねーんだからな」
ロウ「言われなくても!」
ビクトル「話聞け、会話しろ。まだ若の方が会話してくれるぞおい」