冒険者珍道中

真の世界樹踏破から数日後。オーベルフェでは盛大なお祭りが行われた。
パレッテ達の土産話で街の人々を最も驚かせたのは、世界樹が地域の自然を守る役割を果たしていたことである。
それゆえ、街の人々は世界樹の存在に感謝し……また、腐敗怪物から世界樹を守り抜いたパレッテ達にも賞賛を送り……
つまりは、単なる達成のお祝いではなく、感謝の祭典として三日三晩続いたのであった。
それは、街の人々がこれからも世界樹と共に生きていこうという証であった。

宴が終わった次の朝……



アオニ「あーうー……おはよー……」
クロ「おはようございますフカ子。と言ってももうすぐお昼ですが」
アオニ「んあれ?そんなに寝てたっけ?」
クロ「ええ。夜明け前までどんちゃん騒ぎしてたんですから当たり前かと」
アオニ「だってお酒が美味しくて……ああ、お腹すいたなーコヌアさんに軽くつまめるもの作ってもーらおっかなー」
コヌア「アオニさん、おはようございます」
アオニ「やっほーコヌアさん。時間帯的におはようじゃないけどおはよう!」
コヌア「あれからもう地震も起きてないですし、安心して生活できます。改めましてパレッテさんのお陰です、本当にありがとうございました」
アオニ「いやぁ……面と向かって言われるとなんか照れちゃうなぁ」
コヌア「軽めの昼食を用意するところだったのですが、いかがですか?」
アオニ「おお!いいねぇもらうよ!もらう!」
クロ「よく食べるフカ子も愛らしくて良いですね!」
ナギット「全体的に許容範囲広すぎねぇ?」
クロ「おやナギット。買い出しは終わったんですか?」
ナギット「まあな。途中で散々声かけられて面倒だったけど」
キキョウ「不意に声をかけられる度にすごい顔してたナギットさんはしばらく忘れらないッスね!」
ナギット「うるせぇ」
クロ「ダンジョンを踏破して一躍有名人になりましたからね。何をしても注目の的になってしまうのは当然のこと、しばらくは我慢ですよ」
ナギット「わーってるよ」
キキョウ「ナギットさんみたいな人見知りには生きづらい世の中になってきたッスね」
ナギット「うるせぇって!これでも前よりはマシになってんだよ!」
キキョウ「どの辺りがッスか?」
ナギット「……内心、テンパらなくなったりとか」
キキョウ「外見的な変更点は無しだから進展があるとは言いにくいッスね」
ナギット「グッ」

冒険者ギルド

アントニカ「あっ!パレッテ!」
アオニ「やっほーアントニカ!一昨日の飲み比べ以来だね!」
ナギット「まだ飲み比べやってたのかよ」
クロ「そんな!また私見逃してしまっている!」
ナギット「そこは嘆く所じゃねえだろ」
トラオレ「おっ、来たか。遅くなってすまないな、まさか真の世界樹が存在するとは思ってもなくてな」
アオニ「しょーがないよ、アタシ達だって夢にも思ってなかったワケだし」
キキョウ「むしろ分かってた方が怖くね?」
ナギット「お前がそれ言うか?」
キキョウ「俺は勘を働かせただけッス!」
トラオレ「さて、用意するまで時間がかかちまった。踏破の報酬だ」

7000エン、姫鶴一文字、にゃん2クロー、エリミネイターを受け取った!

アオニ「お金以外全部武器とは」
キキョウ「ふおー!姫鶴一文字!カ〜ックイイ!」
クロ「刀で思い出しましたけど、先日折れてしまった刀はどうなったんですか?」
キキョウ「ふふふーちゃ〜んと直してもらったぞ!見事な短刀になって返ってきたぜ!じゃんじゃかじゃーん!」
アオニ「おお!これで後ろからグサっとできそうだね!」
クロ「こっち見ながら言わないでくださいよ」
トラオレ「しっかしホント、すごい事をやってのけたもんだよな。感心するよ」
キキョウ「エッヘン!」

バタン!

ナギット「なんだぁ?」
イルコフ「おい!トラオレはいるか!」
アントニカ「イルコフ!」
トラオレ「イルコフさん!」
アオニ「イルコフだ!」
ナギット「イルコフさん!」
クロ「イコルフさん!」
キキョウ「イコなんとか!」
イルコフ「そこ2人はいつも通りだな」
ナギット「退院されたんですか」
イルコフ「ああ、見ての通り元気、すっかり回復だ。お陰で今日から冒険を再開することにした」
トラオレ「そうなんですか!よかった!」
アントニカ「よかったなイルコフ」
キキョウ「もう世界樹は踏破されちまったけどな」
ナギット「言うなや」
アントニカ「私はてっきり、このままもう引退するんじゃないかと」
イルコフ「はははっ、相変わらずだなアントニカは。残念ながらワシはそんなヤワではない。それから……」
アオニ「何?」
イルコフ「パレッテ……どうやらワシは、だいぶ見くびっていたようだ……真の世界樹まで探し出し、踏破するとは……大したものだ。お前達は本物だったようだな」
アオニ「いやーそこまで言われちゃうと照れちゃうな〜もっと褒めていいよ〜」
イルコフ「……」
ナギット「気持ちはわかりますが複雑な顔をしないでください。キキョウが喜ぶので」
キキョウ「喜んでなんかいないぞ♪」
クロ「語尾から喜びが溢れていますよ?」
イルコフ「今更だが……これまでの数々の非礼、すまぬ。そして、世界樹を守ってくれてありがとう」
キキョウ「逃げろ!アイツイルコフの皮を被った偽物だ!本作隠しボスだきっと!妖魔的な何か!
クロ「ナディカがいなくなっても第2の妖魔第3の妖魔が攻めてくる可能性は十分ありましたね!」
イルコフ「……」
アオニ「怒らないであげてイルコフ。この馬鹿2人はアタシが何とかするからさ……よっこいせ」
アントニカ「なんだいそのごっつい剣」
アオニ「故郷のお姉ちゃんに送ってもらった砲剣っていう帝国の武器だよ。属性攻撃(物理)が得意」
クロ「ヒッ」
ナギット「とんでもない武器みたいだな。クロが一瞬で部屋の隅に」
キキョウ「そんなにヤベーの?」
アオニ「これの攻撃をまともに喰らったらクロなら粉々になるね。試してみる?」
キキョウ「ムリです」
イルコフ「その辺にしておけ、ワシももう諦めかけとる。これから、リハビリも兼ねて第2迷宮辺りにでも行ってくるか、ではな」

イルコフは出て行った。

アオニ「行ってらー」
クロ「ぶるぶる……」
ナギット「どんだけトラウマ植え付けられてんだよ」
アントニカ「驚いたな……あんなに素直なイルコフは初めて見た。考えられないね」
トラオレ「パレッテ達が来てからだな、変わったのは」
アオニ「色々あって一皮剥けただけだよ。アタシ達は大したことしてないって」
ナギット「そうですよ、きっと」
キキョウ「クローいい加減出てこいよー砲剣なんて怖くないだろー?噛み付いてくるワケじゃあるまいし」
クロ「びくびく」
トラオレ「それより、パレッテ、アントニカ……世界樹踏破という冒険が達成された今、これからお前達はどうするんだ?オーベルフェを離れるのか?」
アントニカ「私はまだしばらくここに残ろうと思ってる。世界樹もまだ分からない事が多いし、新しい発見もあると思うしな」
トラオレ「そうか!それは有難い!」
アオニ「そっか、これからは世界樹研究のために世界樹までの安全なルートも確保しなきゃいけないもんね」
ナギット「ルートが確保できたら学者も派遣する必要があるからな、やる事は多いだろ」
トラオレ「それで、パレッテは?どうするんだ?」
アオニ「アタシは……世界樹踏破したけど、もうちょっと冒険したいなー」
クロ「フカ子が冒険をするなら私もお供しますよ。生涯一緒にいると誓ったので」
ナギット「俺はしばらく実家に帰りたくないのでオーベルフェに残りたいです」
キキョウ「みんなと一緒がいいから一緒にいるぞ!」
アントニカ「わあ!まだいてくれるのか……!」
トラオレ「俺も嬉しいぜ!」
アオニ「ナギットは帰らなくていいの?領主継ぐんじゃなかったっけ?」
ナギット「継ぐ気でいるけどあのクソ親父の顔はしばらく見たくねぇんだ」
クロ「あれだけ盛大にブチ切れたらそうなりますよね」
キキョウ「帰った所で継げるとは限らないッスよーナギットさん。俺だってまだナギットさんの事を次期当主って認めたワケじゃないッスからね」
ナギット「その内、嫌ってぐらい認めさせてやって今の言葉を死ぬまで後悔させてやんよ」
キキョウ「わーお!そりゃあ楽しみッスね!」
エンダイブ「うんうん♪パパも楽しみだな〜♪」
ナギット「ってなんでいるんだよクソ親父ぃぃぃぃぃぃぃ!!」
エンダイブ「来ちゃった♪」
オリーブ「私もいますよ」
クロ「美しい貴女もおられましたか!」
アオニ「お前は喜ぶな。ってかナギットのパパ?生きてたんだね」
アントニカ「生きてたってどゆこと?」
クロ「壮絶な親子喧嘩というか、ナギットの怒り爆発で勢い余って心臓グサッ未遂がありまして」
アントニカ「どうやったらそんな殺伐とした家庭環境になるんだ?」
キキョウ「ご主人様!なんでいるんスか?」
エンダイブ「オーベルフェの生活が楽しくってねぇ〜ここにくる前にややこしい仕事は全部片付けてきちゃったからしばらく留守にしても大丈夫だし?冒険者でも初めてみようかなって」
オリーブ「私はご主人様の付き添いというか見張りというか子守ですね」
エンダイブ「わざわざそこまで言い直さなくてもいいじゃん?」
ナギット「…………」
アオニ「目ェ怖いよナギット」
クロ「反抗期真っ只中の息子としては当然の反応ですがね」
エンダイブ「ええ〜謝ったじゃん!ナギット君を想うが故の行為だって謝ったじゃん!」
アオニ「騙る事だけでもNGなんだって」
エンダイブ「まーしょうがないか!とりあえず君のギルドに入れてくれない?」
アオニ「いいよ」
クロ「やったメイドさん!メイドさんですね!男の子の憧れ!」
トラオレ「盛り上がってる所で悪いが……とにかく残ってくれてよかったよ。ギルドを手伝って欲しいってのもあるけど、いなくなるのはやっぱり寂しいからな」
キキョウ「どうせまたクエストだろ?」
トラオレ「もちろん」

というワケでクエストを受けるために黄金の麦酒場へ

ムッコラン「あっ!パレッテ!」
ヨボ「よっ!英雄さん」
アオニ「やっほー!天下のギルドさんがクエスト受けに来たよー」
ヨボ「ちょうどよかった。さっき新しいクエストが入った所だったんだ」
ナギット「新しいクエスト?なんでしょう」
ヨボ「伝説の三竜の討伐依頼
アオニ「帰るよ!」
クロ「はい」
ナギット「帰るなよ!」
キキョウ「伝説の三竜ってなんだ!?すごくすごくすっごーく気になる!」
ヨボ「幻とされていて、滅多にお目にかかれない3匹の竜だ。その伝説竜がそれぞれ、どこかの迷宮に現れたんだと思う」
アオニ「なんつーものが迷宮に解き放たれてるのさ……」
ヨボ「たぶん、砦が破壊されるとかなんらかの影響もあったんじゃないか?それがあっての討伐依頼だと思う」
クロ「砦を壊したしたぐらいで三竜に喧嘩売れとか言わないでくださいよ!天災レベルですからねアレは!」
キキョウ「マジかよ」
ナギット「ベテラン冒険者がこの有様……どんな相手なんだ三竜……」
ヨボ「ただ、伝説の三竜はまだ誰も倒したことがないという話だからな。相当厳しい戦いになると思うぞ」
アオニ「だからこそ避けるべきなんだよ!」
クロ「そうですよ!オーベルフェを直接襲ってくるという話なら別ですが!砦を破壊された程度で召集しないでいただきたい!」
アオニ「ぷんすか!」
ヨボ「そう言われてもなぁ」
キキョウ「……なんなんスかね?竜って」
ナギット「まーたタルシスのトラウマなんだろうな」
アオニ「そうだ寄付金!お金をギルドに寄付するからそれで砦建てて!めっちゃ丈夫な砦!天変地異が起こらない限りは壊れない砦!」
ヨボ「そんな砦を作れたら誰もDOEで苦労しないぞ?」
アオニ「むあー!」
ムッコラン「もう諦めて竜退治してきたら?」
クロ「うぐっ……美しい方の後押しがあるとはいえ竜はちょっと……」
キキョウ「俺の竜退治があるから心配しなくてもいいぞ!」
クロ「フーライのスキルだけでどうにかなるなら誰も開幕ブレスに怯えないのですよ」
キキョウ「かいまくぶれす?なにそれ?」
アオニ「これ、友達の友達が言ってたんだけどハイラガードの竜って増援が現れて竜の攻撃に追撃とかしてくるんだって……」
クロ「あああ……恐ろしや……ただでさえ一撃が致死量だというのに追撃なんて悪夢ですよ……」
キキョウ「……で?結局なんの話なんスかね?」
ナギット「よくわかんねーわ」

嫌々言いながらもクエストを受けると、竜がいると思われるダンジョンへの道が開いたのであった。
船着場にて

アオニ「ED後初めて船着場に来たワケだけど。やっぱり新しいダンジョンに行けるようになってるんだね」
クロ「いやぁ、新しいダンジョンはやはり心躍りますね」
キキョウ「じゃあ竜がいるダンジョン行く?」
クロ「今回はご縁がなかったという事で」
ナギット「逃げるなよ」
アオニ「竜はまだ早いから後回しにするとして、他のダンジョンに行ってみていいんじゃない?ホラ、第10迷宮が解禁されているんだし」
キキョウ「ホントだなー第10迷宮と竜がいる小迷宮と第12迷宮……12!?」
ナギット「なんで11すっ飛ばして12なんだ!?11どこ行った!?」
アオニ「竜だよ」
クロ「竜ですよ」
ナギット「は?」
アオニ「竜が3匹だけだなんて誰が言ったの?」
ナギット「え?は……へ?」
キキョウ「ああ〜竜を3匹倒したら第11迷宮が解禁される仕組みか〜」
クロ「それしか考えられないんですよねぇ。前作の経験からしても」
キキョウ「ぜんさく?」
ナギット「コイツら言ってるよくわからん事は大体タルシスの事だからもう気にするだけ無駄だぞ」
キキョウ「マジッスか」
アオニ「ところでさあ、第12迷宮ってレベル1ダンジョンなんだよねぇ。当分挑まないと思うけど……どうしよっか」
キキョウ「レベル1?」
クロ「ダンジョンに入ると強制的にレベルが下げられ、お金やアイテムの持ち込みもできません。丸裸の状態で挑める腕試しダンジョンです。下げられたレベルはダンジョンから出ると元に戻るので安心してくださいね」
ナギット「これとか今すぐにでも挑めそうじゃねえの?」
アオニ「番号順に挑みたい冒険者心がある限りは順番にクリアしていくんだよ」
キキョウ「じゃあ第10迷宮が終わったら竜だな」
アオニ「うっ」

もはや竜との戦いは避けられない……覚悟を決めた一行はまず、実力をつけるという名目で第10迷宮に挑むことになった。

第10迷宮、水晶の崖

アオニ「うわぁー!キレイ!」
クロ「なんて幻想的な空間でしょう!オーベルフェ観光ガイド~メタルシーザス級~に書いてあった通りですね!」
キキョウ「あ、そのネタまだ続くんだ」
ナギット「それにしても……世界樹到達してもまだダンジョンが見つかるのってどうなんだ……?」
キキョウ「そりゃーあれッスよ。世界樹到達に関係ないダンジョンだからトラオレも紹介しなかったんじゃね?」
ナギット「む、まあ、そうか……」
アオニ「世界樹到達できないけど、素材とか腕試しになるから良いって思ってたりしてね」
クロ「でも、私はあれで腕試しにしたくないです……」

部屋の外から神蜂が侵入してきた。

神蜂「壁がないから楽々侵入♪」
ナギット「うげ」
キキョウ「そういやここも壁ないんだよな。飛行形魔物が乱入し放題か」
アオニ「うげーまたハチー?アイツ嫌いー」
クロ「このハチは毒ではなく麻痺させてくるそうですが厄介なことに変わりありませんね。通常攻撃が遠距離からですし」
キキョウ「なあに!昆虫退治で倒せる倒せる!殺られる前に殺れ!」
お化けフクロウ「来ちゃった♥」
キキョウ「うえっ?」

お化けフクロウのまどろむ視線!ナギットは催眠になった!

ナギット「あばばばばばばばばばばばば」
キキョウ「ナギットさーん!」
アオニ「うげー!一番厄介な奴がいる!」
クロ「うっかり装備品を投げ捨ててしまう前にリフレッシュしましょうか」
アオニ「うんうん。壁がないから投げたら谷底まで落ちてアウトなんだよね」
キキョウ「のんきに攻略会話しないでほしいんだけどなー!?」

催眠に気を付けると学んだところで一行は進む

アオニ「ぜぇぜぇ」
キキョウ「ひぃひぃ」
ナギット「だる……」
クロ「ひたすら魔物が強くて罠が多いだけのダンジョンはどう頑張ってもダレてくるんですよね」
キキョウ「もう俺息するようにアムリタ飲む……TPモットホシイ……」
アオニ「○○退治のスキルは便利だから枯渇しちゃうのは仕方がないよ。アタシもスキルマしたトラブルメーカー連発してTPもうないもん」
クロ「私だって印術でTP消費が激しいですし、もう少しアムリタを増やす必要がありますね。しかし、荷物の枠がかなり圧迫されてしまうのも事実……」
アオニ「うーむー困ったーなー今更何を減らせば……」
キキョウ「てか何で荷物圧迫されてんの?」
アオニ「メディカ」
キキョウ「知ってた」
ナギット「誰も回復スキル取ってねぇから……」
キキョウ「クロがヒーリングとか覚えたらいい話なんじゃないのか?サブメディだし」
クロ「印術習得で忙しいのでリフレッシュとトリート以外はちょっと無理です」
ナギット「えーっと?じゃあ他は……」
忍び寄る影「おはようございます!死ね!」
アオニ「ハッ」

忍び寄る影のブリザード!アオニ、キキョウ、ナギットは倒れた!

クロ「えっ!?」
アオニ「ビックリした!いや本当にビックリした!即死じゃなくて正真正銘ガチの死だったから特に!」
キキョウ「HPちょっと減ってたって言っても一撃で150ダメージオーバーはどう足掻いても死ぬ!ケンカクじゃなくても死ぬ!」
クロ「あ、ああ……ご無事でなにより……」
キキョウ「俺とアオニは無事だけど世界樹の葉が足りなくってナギットさんだけ自動復活できなかったけどな!」
アオニ「あのカメレオン強くなっちゃったし一時しのぎの印石でどっかにやるしかないね。ネクタル使うのはそれからだよ」
キキョウ「てか何でクロだけ無事なんだよ」
クロ「最後尾にいたのでギリギリ部屋に入ってなかったのです」

忍び寄る影をどこかに追いやってからナギット蘇生

ナギット「突然のブリザードはビビるだろ……」
キキョウ「無事で何よりッス」
アオニ「ふむむ……メディカケチって回復を怠った報いを受けたね。まさか一撃で全滅寸前に追いやられるとは」
クロ「世界樹の葉がなかったらまずかったですよ私が」
キキョウ「やっぱさーいるよな?回復スキル。メディカだけじゃ絶対足りない!」
ナギット「確かに……俺はディバイドやら挑発でHPゴリゴリ削られていくし、その度にメディカ消費してたら1回の探索で3フロアも行けなくなるな」
キキョウ「俺なんてナギットさんいなかったらほぼ確1だぞ!えっへん!」
クロ「上に同じ!」
アオニ「情けないことをわざわざいばんないの。回復スキルかーアタシもキキョウもサブ含めて持ってないし、あるとしたらクロと……」
クロ「私と……」
キキョウ「……」
ナギット「………………えっ?俺?」
キキョウ「そうッスね。サブダンッス」
ナギット「えっと、え?ダンサーって回復スキル持ってたっけか?」
アオニ「リジュネワルツがあるじゃない」
ナギット「あー!あれか!ワルツか!えぇ……ワルツ……」
クロ「あからさまに嫌そうですねぇ」
ナギット「……ダンスは嫌いじゃねーけど、ワルツ苦手だし……」
キキョウ「俺にはタンゴもワルツもくるくる回ってるようにしか見えないッスけど、そんなに違うんスか?」
ナギット「ちげーよバカ!」
アオニ「そっか……苦手なら仕方ないね」
クロ「諦めるんですか?」
ナギット「(ホッ)」
アオニ「不可抗力だけど仕方がない。ワルツが苦手なナギットのためにビクトルを呼ぼう」
ナギット「呼べんの!?
アオニ「うん。エミルと連絡先交換してたから」
ナギット「いつの間に……」
クロ「おお!ビクトルとはいえ現役ダンサーに教わるのならすぐに習得できそうですね!よかった!ビクトルとはいえ!」
キキョウ「ナギットさん物覚えいいんだしすぐにマスターできるッスよ!」
ナギット「ええっ!?ちょ、え?!マジでやんの!?マジで呼ぶの!?」
アオニ「うん」
クロ「はい」
キキョウ「がんばえー」
ナギット「マジかよ……」

気軽に精霊族を呼び出せるアオニの判断により、ビクトル召喚が確定したのであった。
B24Fにたどり着くとダンジョンの雰囲気が変わった。

キキョウ「おっ!壁のある階層に出たぞ!これでフクロウとコウモリの奇襲に怯える必要はないな!よかった!」
アオニ「いや、よかったのはいいんだけど、さ……この雰囲気……」
キキョウ「んあ?超古代の急流みたいだなって話?使い回しじゃね?」
ナギット「んなワケあるかボケぇ!」
クロ「どういうことでしょうね?ここは湖の中のダンジョンではなかったはず……世界樹には直接関係のないダンジョンどうしてこんな……」
アオニ「似てる……似すぎている……ぶっちゃけ色違いだよここ」
クロ「ご丁寧にBGMまで変わってますしね」
ナギット「とにかく、最下層まで行ってみるっきゃねーだろ。どうなってるのか悩むのはそれからでも遅くは」

モンスターハウスだ!

ナギット「ゲッ」

部屋に入った状態で判定されたため、逃げることなくTPを全て使い切る勢いで撃退した一行。気を取り直して下層へ

アオニ「ひっどいめにあったけどなんとか最下層に辿り着けたね」
キキョウ「いつも思うけど、部屋に入ってちょっとしないとモンスターハウスの判定されないのズルいと思う」
クロ「鬼畜システムだと割りきって諦めるしかありませんよ」
ナギット「……で、準備万端にしてここまできたわけだが。どうだ?」
アオニ「ナレーションが不吉な気配を感じ取ってるから100パーボスいると思うよ」
キキョウ「ボスか!なんだろうなーED後の初のボス」
アオニ「いや、きっとたぶん……」

B29F
フェアデルベン翠が現れた!

フェアデルベン翠「がおー」
4人『わぁぁぁぁぁああああぁぁぁお!?』
アオニ「そうじゃないかなとは思ってたんだよね!」
キキョウ「どーすんだよこれ!精霊ー!精霊族ー!」
クロ「いるわけないでしょう」
ナギット「つーかあの時精霊族の奴らって何かしてたか?」
アオニ「……」
キキョウ「……」
クロ「……」
ナギット「……」
アオニ「……のろいことばしか覚えてない」
クロ「ひたすら撃ってましたね」
アオニ「とりあえずいつも通り攻めていこう。亜種とはいえ行動パターンは同じなんだから対策さえキチンととれていれば苦戦はしないはず」
キキョウ「む。とかには注意だな!」
クロ「まずは両手から倒していきましょうか」
ナギット「俺はディバイドでダメージを肩代わりしておく」
アオニ「……精霊族いなくても上手い具合に回ってるなぁ……」

一度倒した敵相手に遅れをとるなど冒険者の名折れ。一行は攻めて攻めて攻めまくり、危険な「む」状態になりながらも攻撃を続けていたが。
フェアデルベン翠は力をためている!

アオニ「あっヤバイ詰む」
キキョウ「前みたいに力を溜めてる最中にトドメさせば問題なし!」
クロ「しかし、さっきまで“む”状態でろくにスキル使えませんでしたし、ダメージが足りていないのでは?」
キキョウ「あ」

フェアデルベン翠のはなつ!

4人『ピギャー!!』

メッキで錆を防いだ!

アオニ「ってあれ?大したことない?」
クロ「全体ダメージ+装備品の錆効果だったんでしょうねきっと」
キキョウ「俺……ギリギリ立ってる……」
ナギット「予想できてたけど、やっぱりディバイド貫通攻撃だったからな。ほらメディカⅡ」
キキョウ「うわーい……」
クロ「ワルツじゃないんですか?」
ナギット「スキルマ寸前だけど間に合わねぇよ。メディカ飲んでた方が早い」
アオニ「よし。じゃあ立て直しもそこそこに反撃していくよ!また“む”を使われたら厄介だからね!」

アオニに号令と共に一斉攻撃を繰り出し、一行は難なくフェアデルベン翠を撃破した。
勝利の余韻に浸りながら、一行は宿に戻ってきた。

アオニ「おっしゃー!第10迷宮踏破ー!」
クロ「おめでとうございます!」
キキョウ「じゃあ次は竜だな!」
アオニ「うっ」
クロ「ううっ……」
ナギット「そこまで嫌か」
アオニ「いやだよあんな爬虫類……というか、それよりもさ……それよりもさぁ……」
キキョウ「ん?」
アオニ「第10迷宮踏破してもご褒美ないのおかしくない……?
クロ「迷宮踏破したのにトラオレは完全にスルーでしたからねぇ。追加クエストもなければ追加ダンジョンもありません」
アオニ「踏破できたのは嬉しい……嬉しいけど!なんかご褒美もらってもよくない!?イベントも何もないの辛いんだけど!」
クロ「かつて、これほどまでにワクワクしないED後があったでしょうか……」
ナギット「知らねぇよ。ご褒美だったら3竜退治でたんまり貰えばいいじゃねぇか」
アオニ「アタシが欲しいのは竜退治の報酬じゃなくて第10迷宮踏破の報酬だもん!ご褒美ほしい!!んあー!!」
ナギット「物欲にまみれている……」
クロ「人間味があっていいではありませんか。無償を好んで仕事をする人間の方が信用できないと言いますし」
キキョウ「じゃあ欲にまみれた俺も人間味があっていいんスね!ナギットさん!」
ナギット「テメーはもう少し自重しやがれ」
エンダイブ「あれ?帰ってきてたんだね。おかえりー」
キキョウ「あ!ご主人様!」
ナギット「チッ」
キキョウ「ナギットさんすごい舌打ち」
エンダイブ「ナギットくんは冷たいなーいつものことだけど……ところで、アオニちゃんはどうして暴れてるんだい?」
クロ「第10迷宮を踏破したにも関わらず無報酬だったんですよ」
エンダイブ「なんだって!?そりゃあいけないなぁ、労働の報酬はキチンと支払うのが世の常識だよ?ギルドは何やってんの?」
クロ「さあ……世界樹到達に関係ない腕試し用のダンジョンですし、報酬が設定されていないのかもしれませんね。小迷宮のように」
エンダイブ「だとしてもそれはいけないよ。ギルドが報酬を払わないならそうだなぁ……これなんかどうだい?」
アオニ「何さなにさ……ってぇ!?オーベルフェ北区のスイーツ食べ放題パラダイス店“甘味の大迷宮”の無料ご招待券!?!何故っ!?」
エンダイブ「オリーブが福引きで当ててきてね。僕は甘いものいっぱい食べると胸焼けするし、オリーブも甘いもの好きじゃないし、第10迷宮踏破のご褒美も兼ねてアオニちゃんにプレゼントだ!」
アオニ「ピャー!(歓喜)」
クロ「よかったですねぇフカ子。ちなみにそのチケットはペアで使えますか?」
アオニ「ううん。お一人様用だからひとりで行くね」
クロ「酷い!!」
エンダイブ「いや僕のせいじゃないから」
アオニ「やった♪やった♪ありがとう!ナギットのパパ!」
キキョウ「ご主人様の株がめきめき上がってるッスね」
ナギット「(最悪だ……)」

ご褒美に満足したところで一行は渋々竜退治に乗り出した。

小迷宮。紅蓮の洞窟

キキョウ「ようやく竜退治だぁー!」
アオニ「もーここまできたら腹を括るしかないよね!」
クロ「たんまりスイーツを食べましたからね。甘味の分は働かなければ」
キキョウ「クロは招待券貰ってなかっただろ?」
クロ「自腹で行きましたよ自腹で。フカ子とのデートのため」
ナギット「必死だな……」
アオニ「第10迷宮が長かったから新しい魔物がどこか新鮮に感じるよ。ゴツいカメとかカンガルーとかバーカ!!とか」
ナギット「最後の何だよ」
アオニ「何でもいいの。ナギットはディバイドヨロシク」
ナギット「適当に話を切られた気ぃすっけど……ま、仕事はちゃんとやるぞ仕事は」
キキョウ「守りが固まった所で攻撃!」
アオニ「くらえートラブルメーカー!」

アオニのトラブルメーカー!うつろく跳獣は毒になった!鈍足になった!
うつろく跳獣のカウンターブロー!

うつろく跳獣「オラァ」
アオニ「ぐぼあっ」
クロ「フカ子ー!?」
ナギット「あーまたディバイド貫通攻撃……ってカウンター!?」
アオニ「ま、まさか攻撃されたら殴り返して来る上にディバイド貫通だなんて……ふ、ふふ……なかなか味のあるパンチじゃないか……」
ナギット「パンチの味って何だよ」
キキョウ「ヤベェ!カウンターなんてされたら俺死ぬ!確実に死ぬ!ディバイド貫通だから死ぬ!」
ナギット「そうだな」
キキョウ「冷たいッスー!」

うつろく跳獣のカウンターに気を付けようと決めたところで一行は進む。

アオニ「カウンターで酷い目に遭ったけど催眠よりマシだと思えばへーきってことにした!」
ナギット「ポジティブだなお前」
クロ「そこがフカ子の良いところですよ」
アオニ「さーて次の部屋に階段はあるかなー?」
ライデンジュウ「お久しぶりです」
アオニ「baaaaaaaaaaaaaaaaaack!!
キキョウ「うわっビックリした!いきなり英語になるなよ!」
アオニ「英単語ぐらい使うわ!あれはダメあれは危険あれはチート!」
クロ「落ち着いてくださいフカ子!確かにタルシスにいた頃はフォートレスがいなくてあの雷撃の直撃を喰らうハメになってましたが!今の我々には丁度良い盾があるではありませんか!」
ナギット「せめてパラディンと言ってくれたら殴らずに済んだのにさぁ」
クロ「痛い痛い!有言実行早いですって!」
アオニ「いけないいけないアタシとしたことが……おもひで補正のせいで冷静さを失っていたよ。ナギットディバイド!」
ナギット「へいへい」
キキョウ「ホントタルシスで何があったんだろうな」
ナギット「あんまり知らない方が良い気がしてきた」

ライデンジュウは仲間の死に反応して真の力を発揮する……という特徴はタルシスでなければ発揮されないぞ!
全滅のおもひでを脳裏に過ぎらせつつ、一行はダンジョンの奥へ進んで行くと、
リュウノオトシゴは水鉄砲を使った!1列に並んでいた一行全員にダメージ!

アオニ「ぴゃあ」
クロ「わおっ」
ナギット「つめてっ!?」
キキョウ「すげー!部屋から通路の端まで攻撃が届いてんぞ」
アオニ「びっくりした……てかびしょ濡れ。火竜の洞窟に氷属性使えるやつ出てきたらイカンでしょ!」
クロ「その辺りは向こうの都合ですしなんとも……」
キキョウ「でもここ結構な暑さだし炎の竜の住処なんだろ?魚の仲間がウロウロしてるなんておかしくね?」
アオニ「実はタツノオトシゴの仲間じゃなくてもっと別の生物だったりするかもしれないね」
キキョウ「おお!可能性ありそう!やっぱ竜の仲間かな!?」
アオニ「タツノオトシゴっぽいからって竜にするのは安直だよ!浮遊しているって観点から見ると鳥の仲間かもしれないじゃないかな!」
キキョウ「ありえる!実は獣退治の方が効いたり!?」
ナギット「ねーよ。なんだよその頭の悪い会話は」
アオニ「想像力が鍛えられていいじゃない」
ナギット「そういうことにしといてやるけどさ。で、またディバイドか?」
クロ「その必要はありませんよ。向こうが直線攻撃をしてきたということはこちらも直線攻撃ができるということです」

クロの電撃の印術!画面外にいるリュウノオトシゴは麻痺した!

キキョウ「おおー」
ナギット「印術の遠距離攻撃は便利だな、うん」
クロ「まあこんなものですよ。あとは囲んで袋叩きです」
アオニ「ですよ……ね……」
キキョウ「どしたん?」

部屋の外の通路でさまよう魔眼が浮遊している

さまよう魔眼「うろうろ」
ナギット「すっげぇキモいデザインだな」
アオニ「あれ無理……生理的に無理……」

そんなこんなで一行はやっとの思いで赤竜の住処までやって来たのであった

アオニ「とうとうここまで来ちゃったか……」
クロ「来ちゃいましたね」
キキョウ「この下からすっごいうなり声聞こえてくるぞ」
ナギット「竜だなそれ、間違いなく」
アオニ「うん……もう腹を括って正面から挑むしかない!怖いけど!開幕ブレスで死亡もありえるけど!」
クロ「強大な相手でも真っ先に正面から挑もうとする勇敢さ……さすがフカ子です」
ナギット「感動するのはいいけど、開幕ブレスで死亡ってどういうことだよ。今日こそ教えてもらうぞ」
アオニ「しっかり準備もしてきたし降りるよ!負けたとしてもアタシたちの覚悟ぐらいは見せつけてやろう!」
キキョウ「おう!」
クロ「はい!」
ナギット「だから開幕ブレスって何だよ。死ぬって何だよ。ちゃんと答えろよ、おい」

ナギットの意見は無視して一行は階段を降りる……そして

偉大なる赤竜が現れた!

赤竜「ぎゃおー」
アオニ「ヒェェェ出たぁぁぁ!」
クロ「大丈夫ですよフカ子、この赤竜は気球挺を打ち落としたりしません。ちょっと高温のブレスを吐くだけです」
アオニ「そのちょっとでどれだけの冒険者が消し墨にされたと思ってるの!?」
ナギット「消し……墨……?」
キキョウ「話がよく見えないけどタルシスでトラウマ植え付けられたってことだけはわかる。マジわかる」
クロ「さて、ではどのような戦法でいきましょうか?従来のボスのようにアレにも麻痺が効かないと見て間違いありませんが」
アオニ「今日はブレイバンドだけじゃなくてクイック軟膏持ってきたから、アタシとキキョウがそれらを飲んでナギットがディバイドしたりバトルタンゴ踊ったりしてバフ詰む。クロはルーンの輝きからの印術」
クロ「あっ、いつも通りですねハイ」
キキョウ「結局いつも通りなのか」
ナギット「トラウマ持ちでも戦法はそのまんまなんだな」

赤竜はファイアブレスを使った!正面にいたアオニとキキョウにダメージ!

アオニ&キキョウ『あっつい!!
クロ「直撃じゃないですか!?」
ナギット「ディバイドする前にブレスを吐くんじゃねぇ!お前ら生きてるか!?」
アオニ「いや死んだ……きっと死んだ……ホント死んだ……」
クロ「世界樹の葉は消費されていませんよー?」
アオニ「……あっれ?」
キキョウ「あービックリしたー。でも紙防御と呼ばれてる俺が何のバフも詰んでない状態で立ってるんだから、きっとあのブレスは大したことないぞ」
アオニ「ホントだ……えっ?なに?勝てそうじゃん?」
クロ「タルシスだと対策無しでブレスを喰らうと即死だというのに」
ナギット「タルシスが異常なのかオーベルフェが異常なのかわかんねーな」
キキョウ「勝てそうだからいいじゃないッスか。んじゃまあブレイバンドも飲んだし早速殴っていくッス」

キキョウの竜退治!偉大なる赤竜に約600ダメージ!!

アオニ&クロ&ナギット『!?』
キキョウ「おお~すげ~」
アオニ「えっ、ええ~?バトルタンゴや料理効果もあってそのダメージ……?ヤバくない……?」
クロ「この驚きは同じゲームをしている方でないと共感できないでしょうが、いやはや……スキルレベルもMAXになってないというのにこれはすごい」
ナギット「何をしたんだお前……?」
キキョウ「フツーに殴っただけッスよ?」
アオニ「じゃあアタシもハヤブサ突きで加勢しようっと」
クロ「では私は凍牙の印術で」
ナギット「うわぁ、フルボッコにされてる……」

偉大なる赤竜は火竜の猛攻を使っ

アオニ「させるか!」

アオニはハヤブサ突きを使った!
偉大なる赤竜を倒した!

赤竜「あんぎゃー」
アオニ「あっ、倒せた……」
クロ「あっけなかったですねぇ……被害らしき被害と言えばファイアブレスを2度喰らったことぐらい……」
アオニ「アタシとキキョウとディバイドしてくれたナギットだけどね、クロは無傷じゃん」
ナギット「……弱くね?」
キキョウ「俺らが強すぎる可能性もあるッスよ」
アオニ「まあ、不思議のダンジョンなんてボスより道中の敵の方がキツいって言うし……バランス的には、ね?」
ナギット「ね?ってなんだよ、ね?って」
クロ「赤竜がこうなってくるということは……つまり……」
キキョウ「ありえるな」
アオニ「……よし、次雷竜ね」





【次回予告】
ナギット「は?今日はアオニもエミルもキキョウもクロもいないから俺だけで次回予告をしろ?マジか……どうすっかな……」

しばらくお待ちください

ナギット「ナギット・アルクライトは奇怪な事件を解決しながら世界各地を渡り歩く孤高の探偵。事件を解決すればすぐに別の街に旅立つ、渡り鳥のような存在だ。
今日訪れた街は白く、深い霧に包まれ、異様な雰囲気すら感じ取れる印象だった。街の住人の話によると、随分前からこの霧は発生していたそうだ。
そして、霧が発生して時から毎日のように続く人々の消失……女子供だけではない、男も老人も、性別も年齢も関係なく毎日1人は霧の中に消えていた。
異様なのは人が消えることだけではない、住人たちもまるでそれが当たり前のように話すのだ。まるで朝に太陽が昇って夜に沈むのと同じように、人々にとって誰かが消えるのは当然のことになっているのだ。
この狂った街で一体何があったのか?霧の正体は?消えた人々はどこの行ったのか?霧の中に隠された真実を掴み取ることはできるのか……!?
次回“名探偵ナギットの怪奇事件簿”第9話“濃霧の街・前編”
真実は、俺が暴いてみせる!」
キキョウ「ご主人様の推理小説好きの影響ッスか?」
ナギット「黙れ」
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