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冒険者珍道中

精霊族一行と共にB17Fへ
DOEが現れた!

4人『いきなりかよ!!
ナギット「ボスフロア手前で詰まってたか……!?」
キキョウ「ありえるッスね」
アオニ「こんな所を守ってるDOEかー。どんな魔物なのやら……」

DOEコカトリスが現れた!

キキョウ「でっけー鳥ッスねー」
クロ「あの鳥はそこまで規格外サイズではないと私の直感が申しておりますが」
アオニ「なんで分かるの」
クロ「さあ?」
ナギット「部屋内じゃなくて通路で遭遇してしまうなんて運が悪いな。DOEが通過して広くなってるとは言っても隣接できるのは三人までだし」
アオニ「隣接攻撃できるアタシとキキョウ、ついでにビクトルで前方を固めるかな。ナギットはディバイドお願いねー」
クロ「さーて、DOE戦名物“オーラが剥がれてないのに攻撃を繰り返す貧弱AIの味方”が見られてるワケですが」
キキョウ「呪言しねーの?」
ネッド「……のろいことばの方が便利だ」
エミル「ずっと二人旅してたからどーしてもねぇー」
ナギット「まあプリンスとカースメーカーのサポート職二人旅なら納得ですが」
キキョウ「じゃあDOEは?」
エミル「気合いで逃げてた♪あんなものまともに戦う相手じゃないよー」
キキョウ「じゃあいつもアイツら倒しに行ってる俺達はまともじゃないってか?」
エミル「まともなの?」
キキョウ「……」
ナギット「そこ、黙るな」
アオニ「ほらほらちゃんと仕事してーちょっとでもいいからアイツに状態異常つけないも戦えないんだからさ」

アオニはトラブルメーカーを使った!
コカトリスはリジュネになった!

アオニ「あ」
ビクトル「おいコラァ!よりによって大型DOEにリジュネしてんじゃねぇよ!」
アオニ「しーらなーいもーん!トラブルメーカーの追加効果はランダムだもーん!アタシのせいじゃないもーん!」
クロ「フカ子を煽るとは不届きものめ!」
ビクトル「あっつい!!だから髪燃やすな!!」
ナギット「この先が心配でならない……」
ネッド「私もだ……」

トラブルはあったもののDOE倒し、順調に進む一行。

アオニ「そういや砦建てられなかったのってB15FからB17Fのボス部屋周辺だけみたいだね」
キキョウ「まだまだ先は長そうだから建てられなかったらどうしようかと思った!」

銀板の監視者の灼熱光線!ナギットは全て庇った!

ナギット「ぐへぇ」
キキョウ「ギャー!ナギットさーん!大丈夫ッスか!?」
ナギット「ギリギリな……そうか、エミル達も含めると6人も庇わないといけないから部屋全体攻撃とか広範囲攻撃とかされるとキツいのか……」
エミル「自分のダメージ含めたら、7人分のダメージを背負うことになるんだね。ディバイドやめたら?」
ナギット「いや……俺が庇わなかったらすぐ死ぬ奴らがいるんで……」
キキョウ「えへ」
クロ「てへ」
ビクトル「紙防御職の宿命か……」
アオニ「(ちくちく)」
ビクトル「おいぃ!爪楊枝でうなじをチクチク刺すのやめろや!」
アオニ「いや、さすがに突剣でザックリはアレだし爪楊枝で練習しようかと」
ビクトル「アレってなんだよ!」
クロ「では私も加勢しましょうか。とはいえ爪楊枝は持ってないのでこんなものしか……」
ビクトル「それアイスピック!!!!最悪死ぬやつ!!!!
クロ「ご安心を、こう見えても医学の心得はある故、どの程度の攻撃で人が死ぬか分かります。まあ精霊の基準はよく分かりませんがそこはご愛敬ということで」
ビクトル「よくないわ!!大体お前……」

クロはワープの罠を踏んだ!

クロ「あ」

クロは別の部屋にワープした!

アオニ「クロー!?」
エミル「あーらら」
ナギット「いつものことです。なあキキョウ……」

キキョウはワープの罠を既に踏んでいた!

ナギット「いねぇし!」
アオニ「よりによって紙防御二人が一緒にいなくなるなんて!」
ネッド「呼び寄せの巻物は?」
アオニ「忘れた!」
エミル「胸張って言うことじゃないでしょー?」
ビクトル「合流するか階段使うかしないとな……」
アオニ「今クロとキキョウの二人が離れてて3手に別れてるから、ここでビクトルもワープの罠で離れたら4手になって階段を見つけやすく……」
ビクトル「なるかもしれないけど絶対にやめろ。兔の雷撃で死ねるんだからなこっちは」
アオニ「それはみんな一緒でしょー?とにかく急いで階段を探すかクロを探すかしないと」
エミル「でも彼ルンマスなんだし、雷撃の印術で敵の動きを止められるからそこまで心配しなくてもいいんじゃない?」
アオニ「そりゃそうだけどさあ……あれでも一応後衛職なんだしひとりぼっちにさせてたら心配になるよ」
エミル「ふーん。随分大切な人なんだねぇ彼は」
アオニ「まあね!」
ビクトル「…………」
ネッド「……お前はあのケンカクが心配じゃないのか?」
ナギット「心配したところでアイツがどうにかなるってワケじゃありませんからね」
ネッド「なるほど……そういう信頼関係か……」

B29F
一行は今、かなり下層まで降りてきている。

アオニ「奥まで来たね、最下層はまだかな」
キキョウ「一応ナディカが出て来てもいいように警戒はしてんだけど、気配すらないな」
クロ「かなりの深手でしたし、襲ってくる可能性は低いと思いますよ?今の状態で挑んでも勝ち目はないわけですし」
キキョウ「精霊もいるもんな!」
エミル「いえい♪」
ナギット「……うっわ」
エミル「ん?なに?不満でもある?」
ナギット「いや、そうじゃなくてこの部屋……」

一行が辿り着いたのは、物が壊され壁が腐敗したかなり荒らされた階層だった。

キキョウ「ひでー有り様ッスね。ナディカの仕業?」
ネッド「うむ……どう見ても外部からの攻撃だな……やはりナディカが……」
アオニ「あれ?なんかいきなり暗くない?今日の天気は晴れじゃなかったっけ?」
ビクトル「ダンジョン内で天候が通用してたまるか!」
クロ「……これはまるで、世界樹が機能を停止したような、そんな雰囲気を感じます」
ナギット「この世界樹が止まったりしたら、オーベルフェの街に天変地異が起こってもおかしくねーぞ!?」
エミル「行こう!」

突然雰囲気とBGMが変わったダンジョンを進み、一行はとうとう最下層へと足を踏み入れた。
B32F

アオニ「ここが、世界樹の最下層……なのかな」
キキョウ「でも真っ暗じゃん!電気ー!」
ナギット「呼んで来るもんかよ。つーかなんだ?この臭いは……腐敗臭、か?」
クロ「はっ!美しい気配!」
アオニ「ということはナディカ!」
ビクトル「待ってその流れどゆこと」
「ギャハハハ!これが神なのか……!!こんなのが……神……!?」
キキョウ「なーにーもーみーえーなーいー!でーんーきー!」
ナギット「子供か!」
ビクトル「おい待てそれよりアイツ……まさか!」
「違う!よく見ろッ!」
アオニ「おん?」

部屋が明るくなったと同時に現れたのは、紫色の異形の怪物だった!

4人『ギャァァァァァァァァァァァァァァ!!』
アオニ「キモい!」
クロ「エグい!」
ナギット「禍々しい!」
キキョウ「まずそう!」
ネッド「食うつもりか!?しかし、なんだ!これは!!」
ビクトル「か……神なのか!?これが……!?」
エミル「んなわけないだろ!!」
アオニ「そうだよ!これ絶対世界樹にとりついた怪物じゃん!めっちゃ腐敗してるし身体なんかボロボロだし!まだ巨人の方がいくらかまし!」
ナギット「ううっ……この悪臭の根元はこれか……ヘドロみたいになってやがる」
クロ「はっ!美しい気配!あそこにナディカが!」
ビクトル「お前ホント本能だけで生きてるよな」
キキョウ「神様モドキに挑んで負けちまったのかな。すげー睨んでるけど」
アオニ「そっか、オーベルフェの街で地震が頻発していたのはコイツが原因だったんだ!ここは世界樹の中枢っぽいし、このまま放置しておけば……!」
クロ「ええ、いよいよオーベルフェにも多大な被害が出るでしょう!放ってはおけません!」
ナギット「俺達がここで食い止めるしかねぇな!」
キキョウ「頑張るッス!」
エミル「来るぞ!みんな!気を付けろっ!」

フェアデルベンが現れた!

アオニ「本体と一緒になんか手ぇっぽいのがあるんだけど」
キキョウ「ある天才科学者みたいに手から倒して最後に口に爆弾放り込むんじゃないか?」
アオニ「しまった、爆弾がない」
ナギット「ねーよ」
クロ「ここに来てボス戦で最初から伏兵ですか、しかも2体。長期戦は避けられない運命でしょうね」
ビクトル「で、どうするんだ」
アオニ「いつもどーり。まずは手から倒して行こう、アムリタも沢山持ってきたし黄泉の粉も拾った分合わせて2つあるからなんとかなるよ」
エミル「頼もしいなぁ。じゃ、僕達もそれに合わせていこうね、特にビクトル」
ビクトル「なんで俺だけ強調するんですか!?」

フェアデルヘンはあつめるを使った!
全員が前方にワープした!

キキョウ「ラッキー!移動する手間が省けた!実は良いヤツ?」
ナギット「んなわけあるか脳内花畑野郎!どう見ても敵の懐に寄せられただけだろボケ!」
キキョウ「ナギットさんどんどん口が悪くなるッス」
アオニ「えっピンチ?これピンチなの?」
キキョウ「それは今後の動き方次第じゃね?暇な時間で真空派の巻物使ったら本体ダメージだけ1だったから、先に手ェ倒した方がよさそうだな」
アオニ「おおうそういうパターン……それがわかっただけでも儲けものだね。とりあえずブレイバンド飲んどこ」
キキョウ「俺も~」
クロ「やはりと言いますか当たり前と言いますか、状態異常は無効ですね。分かりきっていたのでここはめげずにルーンの輝きからの凍牙の印術で攻めましょう」

フェアデルベンのたたく!
ナギットは周囲の味方を庇った!

キキョウ「ギャー!ナギットさん大丈夫ッスか!?」
ナギット「ぺちゃんこに潰されそうなエフェクトでも威力は大した事はねぇよ。バトルタンゴで詰んどけばもう少しダメージも減るはずだ」
キキョウ「頼もしいッスね!」
ナギット「…………」
キキョウ「どしたんスか?」
ナギット「いや、お前が煽らないなんて珍しいな……」
キキョウ「あおる?」
ナギット「……いや、自覚がないなら、いいか」
アオニ「ハヤブサ突きっ……!ってありゃ、右の手倒せた」
エミル「ありゃあっさり」
キキョウ「全然苦戦しなかったなーじゃあ俺、駆け抜けの印石で先に左行っとくから!」
ネッド「先行して大丈夫か……?」
キキョウ「近くにディバイドとバトルタンゴでバフ詰んだナギットさんいるから平気!俺もブレイバンド飲んでるし!」

キキョウは五月雨突きを使った!
左手を倒した!

ビクトル「一撃!?」
キキョウ「手応えなかったわ」
アオニ「よし!後は本体だぁ!」

フェアデルベンははきだすを使った!
アオニはゾワゾワになった!
ナギットは毒、鈍足、ゾワゾワになった!
ビクトルは毒、鈍足、ゾワゾワになった!

アオニ&ナギット&ビクトル『ギャァァァァァァァァ!!気持ち悪いぃぃぃぃぃぃぃ!!』
キキョウ「うわぁーお」
クロ「ハイパーカニカニ弁当タイムですね」
アオニ「うっうっ……状態異常が治るのはいいんだけど蟹の臭いと腐敗臭が混ざって魔のコントラストを……」
ナギット「うえっぷ……弁当は美味いのに食欲がわかねぇ……気持ち悪ぃ……」
ビクトル「蟹が嫌いになりそうだ……」
エミル「なにやら妙なトラウマが植わりつつある予感」
クロ「予感するだけで止めないんですね」
エミル「うん♪」
ビクトル「若って最近俺にだけ辛辣じゃないですか?!」
エミル「マッサカー」

フェアデルベンはひかるを使った!
全体にダメージ!ナギットはエミルとビクトル以外庇った!命中率がダウンした!

エミル「わあ、離れてた僕ら以外一気に5人分のダメージを負ったけど、大丈夫?」
ナギット「あんまり大丈夫じゃありませんね……目がクラクラする……」
アオニ「HPギリギリじゃん!よく持ったね!」
ナギット「一番死にそうなキキョウやクロを置いて先に倒れるわけにはいきませんからね……メディカメディカ……」

フェアデルベンはむを使った!
味方全員がむになった!

全員『はむ!?』
キキョウ「えっとはむって、豚の加工食品……」
クロ「お肉の類いではありませんしそもそもハムではなく“む”ですよ!ああっ!印術が使えません!」
アオニ「ゲゲッ!スキル封じ!?カニカニ弁当使ったばっかりなのにー!」
ビクトル「と言いつつはむの前にトラブルメーカーでアイツをリジュネにしたのを俺は見逃さなかった」
アオニ「お黙れ」
キキョウ「強化解除の巻物使うから喧嘩すんなよー」
ナギット「このタイミングでバトルタンゴ切れるとか最悪……ってあれ?俺だけかかってない?」
アオニ「おお!ナイス!バトルタンゴがあるだけでもだいぶ違うからお願い!」
クロ「うーむ、テリアカΩでも治らないとは……自然回復を待つしかありません」
アオニ「大丈夫?スキル使えないルンマスなんてただ立ってるだけの的だよ?」
クロ「アイテムを使うしかありませんねぇ」
ネッド「…………」
ビクトル「(めっちゃ何か言いたそうにしている……)」
アオニ「ぴゃー!またむを使ってきたぁー!」
クロ「あ、今度は私が大丈夫ですね。この隙に攻めて……」
キキョウ「ギャー!また吐き出すだー!別の意味で気持ち悪いのは何故だー!?」
エミル「それ毒!鈍足!ってっか全身すごい気持ち悪いんだけど!?あーもーシャワー浴びたいー!」
ビクトル「それゾワゾワですよ若!あー俺もゾワゾワするー!!」
ナギット「一気に大パニックじゃねぇか!」
クロ「とにかく、リフレッシュでひとりずつ治していくしかありません。むは解除できませんし第三勢力のエミル達は対象外になってしまうので、毒になってるキキョウからリフレッシュです」
キキョウ「ぷはー!スッキリー!」
エミル「いいなぁ~」
キキョウ「よし!タイミングよくむも治ったし今度こそスキル使うぞ!」

フェアデルベンは力を貯めている!

アオニ「おっ?」
ネッド「これは……危険だな」
エミル「死ぬかも!?」
ビクトル「縁起でもないこと言わないでくださいよ若!」
ナギット「どうすんだ!こんな奴の大技なんてディバイドで防げるかわかんねーぞ!」
キキョウ「殺られる前に殺れッスよナギットさん!喰らえー!」

キキョウは五月雨突きを使った!
フェアデルベンを倒した!

キキョウ「あっ」
アオニ「ふ、腐敗怪物を……倒した……?」
クロ「やりましたね!」

気がつくと、怪物が放った光と共に辺りも明るくなっている。

ナギット「世界樹の内部が脈動し始めた……再び起動したってことか?」
ナディカ「……ふぅっ」
アオニ「あ!そういえばすっかり忘れてたけど、ナディカ!」
クロ「お怪我はなさそうですね」
ナディカ「まあね」
キキョウ「でー?今の怪物はなんなんだよー?ナディカは何か知ってるんだろー?」
ナディカ「いや、あの怪物がなんなのかは私にもわからん」
アオニ「えっ、他人?同族じゃないの?」
ナディカ「違う」
クロ「あんなえげつないモノが美しい方と同じなワケないじゃないですか」
ナギット「そこじゃねぇよ」
ナディカ「ま、とにかく!分かったことはここが世界樹の最下層で……神はいないということだ」
アオニ「いないの!?神様!?」
キキョウ「えぇー!?ご褒美なし!?」
ナディカ「いないな。だからもうここに用はない」
アオニ「そんなぁ」
ネッド「待て」
ビクトル「通すワケにはいかん!神々に復讐を果たしに行くんだろう!」
キキョウ「おっと、こっちの問題が残ってたな」
クロ「忘れてましたね」
ビクトル「忘れんなよ。何のために行動したと思ってんだ」
ナディカ「復讐……ねぇ?それも悪くないが」
アオニ「復讐しに行くの?」
ナディカ「……我々妖魔は代々、神によって虐げられてきた一族。神を倒せ、復讐せよと教えられてきた……しかし、それは本当のことなのか?そもそも神は存在するのか?私は、それを確かめたいだけなんだ」
キキョウ「その為だけに俺らを騙したと」
ナディカ「そうだね」
ナギット「そうだねってなあ……俺らがどんな思いで……」
ナディカ「だいたいさ、お前達精霊族だって神を見たことはないのだろう?」
キキョウ「え?そうなのか?」
ビクトル「うぐっ……まあ……そうだが……」
アオニ「なんで見たことのないモノを崇拝してるのやら」
クロ「宗教って概ねそんな感じですよ?」
アオニ「ああ!確かに!」
ビクトル「何故だろう、一般的な会話でも腹立つ」
ナディカ「そういや、ここの奥に宝物庫らしきものを見た。もしかしたら、古の武具でもあるかもな。助けてくれ礼だ。宝は精霊族とパレッテで分け合ってくれて構わん」
アオニ&クロ&キキョウ『はい!!』
ナギット「うっわ良い返事。もうちょっと疑えよ」
ナディカ「安心しろ、私はお前達と争っても勝てないし、もう戦うつもりもない。好きにするがいいさ」
アオニ「じゃあお言葉に甘えさせてもらうけど……ナディカはこれからどうするの?」
ナディカ「私か?私はこれからも神を探し続ける。それだけだ……あと、最後に」
アオニ「?」
ナディカ「パレッテ。目的のためとはいえ騙していて本当に悪かった……偽りではない、これは本心だ。精霊族から身を守るためにはああするしかなかったんだ。許してくれ」
アオニ「……」
ナギット「……どうするんだ。アオニ」
アオニ「……ナディカが正直に言ってくれたんだし、アタシも正直に話すよ」
キキョウ「正直に?」
アオニ「アタシね、ナディカが神様に復讐する理由ってさ、とてもくだらない私怨にまみれた自己中心的な話なんだと思ってた。仲良くしてたアタシ達を騙すぐらいなんだし執念すごかったし……だから、これはちょっと渇を入れてやろう!目を覚まさせてやろう!お互い死なない程度に!って、考えてた」
ナディカ「……うん」
アオニ「だけど実際はさ?一族に言われてなんとなーく神様探してただけで、本当に神様に復讐しようとは思ってないかもしんないじゃん?だったら別に、いいじゃん?」
ビクトル「はあ?いいじゃんてお前……ええ?そんなにアッサリしてていのかよ!?」
アオニ「うん。心の底から謝ってくれてるってなんとなくわかるしさ……誰かを恨みながら生きてくのって、結構しんどいよ?経験論だから間違いないよ」
クロ「……」
アオニ「だからナディカ、アタシは君を恨んだりしないよ。神様に会いたいならそれはそれで好きにすればいい、でも本当に神様に会った時はアタシの事話しといてね、後世に伝えてくれるように進言してくれたら嬉しい」
ナギット「欲望だだ漏れじゃねーか!」
アオニ「だって人間だもの」
ナディカ「……ありがとう」
クロ「そんな顔をしないでくださいよ、禍々しく美しい方」
キキョウ「そーそー!笑顔が一番!」
ナギット「刀の恨みはどうしたんだよお前」
キキョウ「前回戦ったら忘れた!」
ナギット「ああ……そう」
アオニ「ナギットは踏ん切りつかない感じ?」
ナギット「当たり前だ。騙されて裏切られて命まで狙われて、それでも許すって普通じゃねーぞ?」
アオニ「フツーじゃないかもね。でもさ、偉業を成し遂げる人って大体フツーじゃないよ?世界樹踏破という偉業を成したアタシ達がフツーというしがらみに囚われてちゃいけないって」
ナギット「ええ……やっぱお前その生き方いつか絶対後悔するぞ……」
アオニ「後悔するかもーって悩むよりさ、スッキリ終われたらいいじゃない。大円団は正義の味方の特権だよ」
ナギット「後悔しても俺は助けねぇからな」
アオニ「とか言いながら助けるクセに〜」
キキョウ「ワクワク……」
ナディカ「あのさ、パレッテ……お前達と一緒に冒険に出ていた日々は、正直楽しかったよ。悪いと思いつつもな…………いつかまた、どこかで会えるといいな」
アオニ「だね!できればアタシ逹が生きてる間にお願いね!」
クロ「妖魔と人間の寿命は異なっているかもしれませんからねぇ。私も再会の時を楽しみにしてますよ」
ナギット「あーあーもうどうでもいいよ……できればあんまり人様に迷惑かけんなよ」
キキョウ「ばいばーい!」
ナディカ「…………じゃあ」

そう言葉を残し、ナディカは去って行った。





かくして、一行は精霊族と宝物庫の宝物を分け合うことになったのだ。

アオニ「アタシ達はここまで頑張ったから取り分は7:3だからーーーーーーーー!」
ビクトル「誰のお陰であの妖魔を撃退できたと思ってるんですかーーーーーー?」
アオニ「敵を見つけたら楽しそうに倍速するテンション上げ上げチャラ野郎に煽られたくないしーーーーーーー!?」
ビクトル「トラブルーメーカーでマジでトラブル起こす奴にワチャワチャ言われたくねーーーーーーーしーーーーーー??」
クロ「相変わらず仲良しですね」
ナギット「そうだろうか」
エミル「じゃあ、僕達は役目も終わったし精霊族の里に帰るよ」
ネッド「今回の件を族長に報告せんといかんしな……」
クロ「おや?もう少しオーベルフェでゆっくりしていっても良いのでは?フカ子もビクトルと戯れあえて喜ぶと思いますし」
キキョウ「喜んでんのそれ?」
エミル「僕だってそうしたいんだけど、そこの2人が許してくれないからねーあーあー残念だなー」
アオニ「ムキーーーーーーーーーーー!!」
ビクトル「ムキーーーーーーーーーー!!」
ネッド「うるさいぞお前達」
クロ「戦利品の選別はこちらで勝手に行ってしまいましょうか、あの2人が互いにいちゃもん付けあってる間に」
エミル「うん♪ビクトルに良い喧嘩友達ができたと思ってたけど、もうお別れだなんて残念だよ」
ナギット「揃いも揃ってのんびりした奴らだな……」
キキョウ「……ナギットさん、ナギットさん」
ナギット「なんだよ」
キキョウ「ほら?ラスボスも倒してナディカも去ってハッピーエンドッスよ?もうそろそろ……良い頃合いなんじゃないッスか?」
ナギット「頃合い?何が?」
キキョウ「んもー!トボけちゃダメッスよ!俺はちゃんと知ってるんスよ?ナギットさんがアオニの事を……グフ、グフフフフ」
ナギット「んだよそのキモい笑い方……」
キキョウ「ビクトルはちょっと危ないかもって思ってたんスけど、完全にじゃれあってる猫みたいな雰囲気出し警戒する必要はゼロ!俺が背中を押してやるからいっちょ!告ってくるッス!」
ナギット「まーた次回予告の練習か……?」
ビクトル「おーいちょと待てー」
キキョウ「うおっ!?ビクトル!?アオニと口喧嘩してたんじゃないのか!?」
ビクトル「ネッドに怒られて強制終了したわ……てかお前さ、変に勘違いして暴走する前に言っとくけど、アイツら付き合ってるぞ」
キキョウ「……え?」
ナギット「誰と誰が?」
ビクトル「だから、アオニとクロ」
キキョウ「…………」
ナギット「…………え?」
ビクトル「ええっ!?気付いてなかったのか!?このシリーズ7話までやっといて!?」
キキョウ「え、いや、そもそもなんでお前気付いたの……?精霊の力的なヤツ……?」
ビクトル「いや気付くだろ?普段の雰囲気とか見て」
ナギット「雰囲気……?あっ、もしかして、クロが女の子に言い寄った時怒るのってそれ……?」
キキョウ「ダーリン……浮気は許さないっちゃ……!?」
ビクトル「それだけじゃなくても分かるもんだと思うけどな」
アオニ「おーい、お宝の仕分け終わったよー」
クロ「そろそろ帰りましょうか」
キキョウ「な、なあアオニ……お前、クロと付き合ってんの……?」
アオニ「えっ?付き合ってる?」
キキョウ「うん、その、男女交際的な意味で……」
アオニ「そうだけど?
クロ「そうですね
ナギット&キキョウ『えええええええええええええええええええええええ!!?』

その時、エミルがえげつないぐらい大爆笑していた光景を、ネッドは生涯忘れないと精霊族の長に語ったという。

なお、精霊族と分け合ったゲットしたお宝は、クリスタルロッド、氷刃アルマス、黄金の水葉、だった。

アオニ「じゃあね、ビクトル。しぶとく生きろ」
ビクトル「じゃあな、アオニ。披露宴には呼ばれなくても来てやるよ」
ナギット「実は仲良かったんじゃ……」
キキョウ「あああ……俺の将来薔薇色大作戦がぁ……でも、ギルド内での痴情のもつれはご法度だからここは潔く諦めるしかないっ……悲しいッス、悔しいッスよナギットさん……」
ナギット「何から何までわかんねーぞお前」
クロ「はっはっは」
ナギット「なんで目ぇ笑ってないんだよ」
アオニ「エミルとネッドも元気でね」
エミル「君達も元気で。色々あったけどとっても楽しかったよ♪面白いモノもたくさん見せてもらったし……ププッ」
アオニ「面白いモノって?」
ネッド「……気にしてはならない」



こうして、精霊族と別れた一行はオーベルフェの街へと戻って来る。
真の世界樹到達の報は各地を駆け巡り……世界樹が果たしている役割は多くの人々に衝撃を与え……長年の研究材料となった。

君達の活躍の後。だいぶ先の未来の時代においててんて沢山の研究者たちの努力もあってわかったことがある。

精霊族や妖魔族が神と呼んでいたのは、大昔に繁栄した古代人であった。
古代人はやがて、他の種族も作った……つまり、進化の過程と共に妖魔族、精霊族、人間族を新たに生み出していたのであった。
古代人は不思議な力を持っており……その一部が妖魔族、精霊族に受け継がれたが人間族には継がれなかった。

神と呼ばれし古代人……彼らが今、どうなっているのか……滅亡してしまったのか、それとも、どこかに潜んでいるのか……それはまだ……解明されていない。



アオニ「めでたしめでたしだね!」
クロ「ええ。上のナレーションが何を言っていたのか我々は全く知りませんが、きっと良い事が語られていたことでしょう」
キキョウ「だな……神様は本物の神様じゃなくて大昔の古代人でソイツらが精霊や妖魔や人間を作ってどっか行っちまったなんて俺達は知らないよな」
ナギット「何で知ってんだよお前
キキョウ「はて?なんのことやら」
アオニ「若干打ち切りエンド臭さが出てたけど、ちゃんと無事に物語は終わったし、オーベルフェは見えない驚異から救われたし。まあまあ良いEDだったんじゃない?」
クロ「最後の最後に物語に1ミリ程度しか関わってなかったよく分からない腐敗生物が突然出てきてとりあえず倒しましたが、明らかにラスボスっぽいキャラクターがラスボスではなく全く関係のない第三者がラスボスだったというパターンは珍しくもありませんし、許容範囲内ですよ」
ナギット「誰に向かって言ってるんだよ。私情臭さしか感じねーし」
アオニ「いいじゃないの終わり方なんて。重要なのは目的を達成したかどうかだよ。アタシはやっと世界樹の迷宮を踏破できたから大満足してるし。得たものもあったし」
ナギット「得たもの?」
アオニ「ナギットがタメ口で話してくれること」
ナギット「…………あっ」
キキョウ「あっれー?気付いてなかったんスか?」
ナギット「全然……」
クロ「ぶっちゃけた話、かなり前からちょこちょこ敬語が抜けてたんですよ。まあ言わなかったですけど」
ナギット「言えよ」
クロ「下手に意識するより自然体の方が良いと判断したので黙っていました」
ナギット「お前……」
キキョウ「まーまーよかったじゃないッスかナギットさん。当初の目的も達成できましたし、これで胸を張って帰れるッスね」
ナギット「ああ、これで親父も納得するだろ。アイツも老い先短いし早く帰ってやらねぇと」
アオニ「そっか、ナギット帰っちゃうんだ……寂しくなるなぁ」
クロ「これから街を上げて祭りやパレードが開催されるそうですが、参加する時間もないのでしょうか?」
ナギット「そうだな……あんなクソ親父だけど唯一の身内だし、最後はちゃんと安心させてやりてぇよ」
キキョウ「ナギットさん……」
クロ「どうして貴方が感動しているんですか?」
キキョウ「ナギットさんの父上……つまり俺のご主人様がこれで報われたと思うと嬉しくって……それに、こんなに小さかったナギットさんがこんなり立派になって……」
アオニ「もはや従者というより小さい頃からずっと見守ってきた近所の人レベルだね」
クロ「親戚とかじゃないんですね」
アオニ「親戚いないからそこら辺よくわからなくて」
ナギット「会話の収集がつかなくなる前に帰りの馬車の手配してくるか……行くぞキキョウ」
キキョウ「……その必要はないッスよ。ナギットさん」
ナギット「は?なんで?」
キキョウ「だって」
「ハロハロ〜」

突然、陽気な口調で話す金髪のアルケミストと、彼の後ろにそっとついて歩くガンナーの女性が現れた。

ナギット「!!??!
アオニ「あれ、どうもー。どちら様?」
クロ「美しいガンナーの方、どうかされましたか?オーベルフェに観光で来たのであれば美味しいお店から絶景が観れる秘密のスポットといった、隅から隅まで痒いところに手が届く範囲で紹介できますがふっ」
アオニ「接触10秒も経たない内にナンパしてるんじゃない」
「なかなか腰の入った拳ですね。さすがアオニさん、世界樹を踏破した冒険者の方は違いますね」
アオニ「んえ?もう噂になってるの?」
クロ「オーベルフェにしては噂が早すぎませんか?」
「いえ、噂などではなく教えてもらったんですよ。キキョウに」
アオニ「え?」
クロ「はい?」
キキョウ「おっすおっすオリーブさん!お久しぶりッスー!」
オリーブ「お久しぶりですキキョウ。元気そうでなりよりです」
キキョウ「紹介するよ2人共!この人はガンナーのオリーブさん!俺の大先輩!」
オリーブ「初めまして、オリーブです。キキョウからのお手紙であった通り、愉快な方々なのですね」
アオニ「待って君手紙に何て書いたの」
キキョウ「シークレット」
クロ「それで、向こうの金髪の方は?」
キキョウ「あの人は……」
ナギット「お、親父ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?」
アオニ&クロ『OYAZI!?』
エンダイブ「ハロハロ〜初めまして〜ナギットくんのパパことアルケミストのエンダイブでーす♪」
アオニ「わーお!ナギットのパパ!?はじめましてー?」
クロ「病床の身だとお聞きしていたのですが」
ナギット「そうだぞ!?なんでお前ここにいるんだ!?」
エンダイブ「あーうん。今日はそれを言いに来たんだよね」
オリーブ「覚悟が決まったもので」
クロ「覚悟?」
キキョウ「あー……やっぱり言いに来たんスね、ご主人様」
エンダイブ「どうせいつかバレることだしねー腹をくくらないと」
キキョウ「俺、逃げちゃうかもしれないッスけど」
エンダイブ「それは全然構わないよ。むしろ巻き添え喰らう前に逃げてね」
ナギット「は?何の話をしてんだ?」
エンダイブ「じゃあナギットくん。心して聞いて欲しい」
ナギット「はあ」
エンダイブ「病気って言ったじゃん僕。あれさ、嘘なの」
ナギット「……………………………………は?」
エンダイブ「だから、嘘、3年後も5年後も10年後も20年後も元気に人生をエンジョイするよ」
オリーブ「ちなみに今年の健康診断の結果は医者がひっくり返るくらいの健康体で、この状態で病気になるとしたら感染源きっと、人類では手に負えない危険なウイルスだろうとのことです」
アオニ「…………え?」
クロ「…………えっと、その、あの、何故?」
キキョウ「ナギットさんが人見知りすぎて、このままだと将来領主を継いだ時に大変な苦労をするんだろうと心配したご主人様が、どうにかしてナギットさんの人見知りを治すために考案したのが仮病大作戦なんだよ」
ナギット「仮病……大作戦……?」
エンダイブ「僕や他の人が人見知り治せーって言ったところで治せるようなモノじゃないし、とはいえこのまま放置もしておけない。じゃあもう荒療治しかないな!ということで過酷な環境に息子を追いやった僕なりの親心でーす♪」
アオニ「だから自分は病気だって偽ってナギットを追い込んで、地元からかなり遠いオーベルフェにやったんだ」
クロ「知らない地で1人にさせて、全く知らない誰かと交流させて、少しでも人見知りを改善するために……?」
エンダイブ「まーキキョウを同行させたから1人にさせてはないかな!でもまあ、こうして仲の良い友達……というか仲間ができたみたいだし、結果オーライだね!」
オリーブ「ぱちぱちぱちぱち」
ナギット「……なんで、お前……」
エンダイブ「ありゃ?」
ナギット「お前なんかに……俺は……俺はとんだ苦労を……」
アオニ「クロ、撤退」
クロ「はい喜んで」
キキョウ「こうなるよなーフツー」
エンダイブ「だから覚悟が決まってないと言いに行けないって言ったでしょ?」
オリーブ「誰もそんなこと聞いてませんよ」
ナギット 「このクソ親父がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
エンダイブ 「ギャアァァァァァァ!!」
クロ「自分の親目掛けて思いっきり武器を振り回していますが止めなくていいんですか?」
オリーブ「欺いた報いはキッチリ受けなければなりませんからね、止めませんよ」
キキョウ「ご主人様が死にそうになったら止めるから大丈夫!」
アオニ「それ大丈夫って言うの?もうすでに死にそうにじゃない?」
キキョウ「大丈夫大丈夫!」
オリーブ「平気ですよ」
アオニ「いいのかな……」
クロ「赤の他人の我々が口を出せる問題ではありませんし放っておきましょう。悪いのは嘘をついた方ですし」
アオニ「うーむ……じゃあ、傷ついたナギットのためにりんご飴でも買ってあげるかな」
クロ「それは良い考えですね」
ナギット 「くたばれやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
エンダイブ「ヤメテー殺さないで!殺さないでー!!」

かくして、世界樹踏破直後に父親殺人未遂事件を起こしたパレッテはある意味伝説になったのであった……。










【次回予告】
エミル「やあ、冒険者諸君こんにちは。次期精霊族族長のエミルでーす♪身内には若って呼ばれてるよ!」
ナギット「え?帰ったはずじゃあ……?」
キキョウ「本編終了したんじゃなかったっけ?」
エミル「細かい話は後にして!妖魔も去って、世界樹の秘密も暴かれて、使命がなくなった精霊族に新たなる試練が待ち受けていたんだ!びっくりだね!」
キキョウ「なんすかそれ」
エミル「精霊族の新たなる試練……それは!かつて神と呼ばれた人々が愛したとされている伝説のカレーの完全再現!」
ナギット「は?」
キキョウ「おお!カレーは大好きだぞ!」
エミル「族長から突然告げられた命に戸惑う僕。だってカレーだよ?作ったことないし、そもそも料理をしたことがないんだ、戸惑って当然だよね」
ナギット「戸惑う箇所はそこじゃねぇよ」
エミル「包丁すら握ったことのない僕に待ち受けていたのは伝説のカレーに至るために誕生したとされる各レジェンドカレーたちの存在!それらを全て極めた時、伝説のカレーが誕生するらしいんだけどホントなのかな?」
キキョウ「カレーのレジェンド……略してカレジェンドだな!」
ナギット「さっむ」
エミル「ま!面倒なことはテキトーにネッドに押し付けて、まずはバカンスを楽しむけどね!アーモロードって知ってる?海の綺麗な素敵な街なんだって♪」
ナギット「いや作れよカレー!!」
エミル「次回!新番組“エミルの優雅な休日”第1話!“潮風は始まりの香り”僕の新しい伝説のが、始まる……!」
アオニ「ギャー!ちょっと!アタシの出番を取らないでよー!」
エミル「1回ぐらいいいじゃん♪」
アオニ「よくなーい!」
クロ「……というわけで、もう少し続きますよ」
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