小ネタ集
壊れた馬車小屋の、ミニチュアハウスお屋敷内の、マサーファの部屋……「の」が非常に多いですね、次から減らします。
他の人形兵たちの部屋と比べるとやや広く、一般的な木製ベッドやクローゼットがあり、隅には鉄製の黒い箱が置かれ、異様な存在感を放っています。
なんせ鎖でぐるぐる巻きにされている上に南京錠でしっかり施錠されていますからね、中身は持ち主が教えてくれないのでいつまで経っても不明です。
蛇足ですが、ここは個室内で唯一シャワールームが完備されており、彼女やラミーゾラが身を清められる場所になっております。他の人は地下の銭湯とかを利用するのですが、ゴシックコッペリアは中性ファセットなので分ける必要があるのですよ。
前置きはこれぐらいにしておき、現在この部屋にはマサーファと、彼女に招待されたアルスティがいるのですが、
「あの、さあ」
「ええ」
「なんなのこれ……」
絶賛どん引き中のアルスティが着ているのは、いつも着ているアステルナイトの洋服ではなく、ナース服です。薄いピンクのナース服。
用意したのがマサーファというだけあって、ただのナース服ではありません。
まず、スカートがとんでもなく短いです。アステルナイトのスカートよりもミニで、少しかがむだけで下着が見えてしまうほど。少しでも丈を長くしようと引っ張っても、伸びにくい素材のためあまり変わりません。
微妙にサイズが合っていないのか全体的にぴっちりしていますし、第1ボタンと第2ボタンが無いのもあって胸の谷間がよく見え、マージナルメイズ以上のセクシーさがうかがえます。こちらもよく伸びにくい素材なので隠そうにも隠せません。
「うう……こんなスケベなやつだったなんて聞いてない……」
恥ずかしくてたまらないのか、なんとか隠そうと悪戦苦闘しているアルスティ。
それを眺めるマサーファはいつもと変わらぬ様子で、
「新しく作った衣装の試着をしてほしいって頼んだら二つ返事でOKしてくれたじゃない」
「言った!確かにOKしたわよ!?でもこんなまともじゃないコスプレ衣装だなんて思わなかったのよ!わかってたら断ってたわ!!」
「ちゃんと着るまでツッコまなかったからてっきり気に入ったのかと」
「んなワケないでしょ!!」
怒鳴られてもマサーファ涼しい顔。感情表現の乏しい彼女が何を考えているのアルスティには全くわかりません。恐らく、付き合いの長いベイランにもわからないでしょう。
わからないことは深く考えないのがアルスティという女なので、さっさと思考を切り替えて、
「はあ……ていうかなんなのよぉこの服……パンツ以外の下着はつけちゃいけないなんておかしいでしょ……?」
少しでも伸ばして隠せるところを隠したいのですが、やはり伸びてはくれません。腕力ゴリラと呼ばれる彼女が全力で引っ張ってしまうと服が破けてしまう危険性があるので、ある程度手加減しています。
「おかしいと思いながらもちゃんと脱いでくれた律儀さは好きよ」
「さいでっか……」
好感度がめちゃくちゃ上がっているのはわかりました。なんとなく。
「で、これはいつまで着ていたらいいのかしら?」
呆れながらもやけくそ気味に尋ねれば、マサーファは淡々と答えます。
「私が満足するまで」
「ほほう?どうしたら満足してくれるのかしら?ん?」
羞恥心によるストレスが溜まりまくっているアルスティ、無意識に谷間を隠そうとシャツを引っ張っているのですが、肌着がないせいで胸の突起が見えます。わりとハッキリ見えます。
もちろんマサーファはわかっているのですが、下手に伝えてショックを与えてしまうのも可哀想だと思い、言葉を飲み込んでおきました。
その代わり、ポケットからメモ帳を取り出すと、
「スカートはもう少しサイズを小さくしてキツキツにしてもよかったわね、お尻のラインをもうちょっと出すためにも」
「何の話!?」
「片手だけじゃ隠しきれないと……メモメモ」
「だから何をメモってるの!?」
ひどく困惑するアルスティに対し、マサーファはいつも通り冷静な態度で、メモをとりつつ答えます。
「エロい衣装作りの参考。作ったのはいいけど中々データがとれなくて困ってたのよ」
「データが欲しいなら自分で着たらいいじゃない!」
「色気も何もない体じゃ参考にできない」
中性ファセットのゴシックコッペリア、女らしい色気もなければ男らしいたくましさもなく、ぴっちりエロナース服を着ても欲情するものはそういませんし、マサーファ本人が満足しません。
その点については納得するしかありませんが、
「だからって私じゃなくてもいいじゃない。ナノコとか喜んで着てくれるでしょ?」
「ナノコはウザいから嫌。それに、一番可愛い反応をしてくれるのはアナタしかいないからつい……」
「そんな軽めな理由で選択しないでくれる!?」
アルスティキレる寸前、それでも拳を固めようとはしません。
いつもレグにしているみたいに鉄拳制裁しないのは、マサーファに服を隠されてしまったからです。つまり、ここで彼女をシメてしまうと自分の服は永遠に帰ってこないということ、人質ならぬ服質。
「心配しなくてもこの格好でこの辺りを練り歩けとか言わないから。私にメモをとらせてくれたら服も返すし何もしないわ」
「本当に?」
「ホントホント、話はわかるタイプよ。私」
いつも通りの仏頂面なので、心の底から信用するには少々説得力が欠けます。
それでも、相手はお人好しのアホとまで言われているアルスティなので、
「……まあ、そこまで言うなら、いいわよ」
「マジ?」
仏頂面の瞳が輝きを得れば、アルスティはハッとして、
「いや!今日だけ!今日だけだからね協力するのは!これが終わったら2度と手伝わない!実験台は別の人にして!ミーアとか!」
「わかったわ」
大きく頷いたマサーファは、微笑みを浮かべていました。まだ指折り数えるほどしか見ていない、ふんわりとした笑顔は、ルテューアの言う「優しいお姉さん」の顔でした。
こんな時に見れるだなんて思ってなかったのですが。
「……で、私はまず何をすれば」
ほんの少しだけやる気を出した時。
ばたん!
「まっふぁー!みんなで百人一首しよー!」
ノックもせず、弾丸のような勢いで入室してきたのはルテューアでした。
彼の視界に真っ先に飛び込んできたのはマサーファではなく、エロいナース服を着たアルスティ。これにより少年の思考は完全に停止。
アルスティもまた、よりにもよってルテューアに恥ずかしい格好を見られてしまったショックにより停止。思わず手の力が緩んでしまい、胸元は開いてスカート丈が元に戻りました。
「わあお」
全く実害のないマサーファは軽いリアクションをとるだけで、これは面白そうだと静観しようと決め、しばらく黙ることに。
永遠を思わせるほど長い沈黙の末、最初に口を開いたのはルテューアでした。
「わ、なんで、あーたん、が、すごい服、着て……」
静かにパニックになりながらもなんとか出せた言葉。
こういった「ちょっとエッチなこと」に免疫も耐性もほとんどないアルスティが、見えそうで見えないというか実は見えしまっている服を着ているのです、少年にとっては非常事態だと称してもいいでしょう。
「…………」
次の言葉が出てこない彼。見てはいけないと思いつつも見てしまう男の性はこの年からでもあるようで、主に谷間をしっかり凝視。純真無垢とはいえ男の子ですからね。
熱い視線に気付いたのかアルスティは我に返り、
「回れ右ぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「はいぃぃぃぃぃぃぃ!!」
怒号とも呼べる絶叫で指示すればルテューアは反射的に背を向けました。
エロい衣装が視界からなくなり、見えるのは開きっぱなしのドア向こうにある廊下の壁となりました。これにより、冷静さを取り戻すのと同時に猛烈な羞恥心に襲われ、耳まで赤くなります。
そして、
「見た!?」
怒号と同じトーンで尋ねますが主語がありません。
主語がわからない、でも、答えなければゴアされる。誰にって?アルスティに。
ゴアされて記憶の抹消を図るかもしれない……否、彼女なら絶対にやる、加減を知らない人だから。
なので、答えは当然、
「見てません!!」
でした。背を向けたままの叫び。
「そっかーーー!見てないのねーー!ああよかったーーーーー見てないのかーーーー!」
「うん見てない!ぜんっぜん見てないよ!セーフ!」
「セーフかーーーーーー!うん!セーフなら大丈夫ねーーー!じゃあ何もなかったことにして戻ってくれるーーーーーーーー!?」
「戻るね!うん戻る!僕帰るよ!じゃあね!」
ぱたん
静かにドアが閉まったところで勢いだけの会話は終わりました。
黙り続けていたマサーファはめちゃくちゃ笑いをこらえていたのですが、それよりも、
「うあぁ……」
力なく声をあげたアルスティがその場に崩れ落ち、顔を覆って、
「どうしよう……ルテューアにエロい格好をするのが趣味の変態だと思われたら……生きていけない……」
「大丈夫だと思うわ、あの子純真無垢だし」
一方、部屋から出たルテューアですが、彼もまたドアを背にして崩れ落ちており、
「すごいの見ちゃった……あーたんが……あーたんの……あわわわわわ……」
谷間からまあ色々見ちゃってた彼は、赤面したまま顔を覆って一歩も動けなくなってしまったのでした。
後日、気恥ずかしさと動揺により2人はしばらくろくに顔も合わせられなかったとか。
他の人形兵たちの部屋と比べるとやや広く、一般的な木製ベッドやクローゼットがあり、隅には鉄製の黒い箱が置かれ、異様な存在感を放っています。
なんせ鎖でぐるぐる巻きにされている上に南京錠でしっかり施錠されていますからね、中身は持ち主が教えてくれないのでいつまで経っても不明です。
蛇足ですが、ここは個室内で唯一シャワールームが完備されており、彼女やラミーゾラが身を清められる場所になっております。他の人は地下の銭湯とかを利用するのですが、ゴシックコッペリアは中性ファセットなので分ける必要があるのですよ。
前置きはこれぐらいにしておき、現在この部屋にはマサーファと、彼女に招待されたアルスティがいるのですが、
「あの、さあ」
「ええ」
「なんなのこれ……」
絶賛どん引き中のアルスティが着ているのは、いつも着ているアステルナイトの洋服ではなく、ナース服です。薄いピンクのナース服。
用意したのがマサーファというだけあって、ただのナース服ではありません。
まず、スカートがとんでもなく短いです。アステルナイトのスカートよりもミニで、少しかがむだけで下着が見えてしまうほど。少しでも丈を長くしようと引っ張っても、伸びにくい素材のためあまり変わりません。
微妙にサイズが合っていないのか全体的にぴっちりしていますし、第1ボタンと第2ボタンが無いのもあって胸の谷間がよく見え、マージナルメイズ以上のセクシーさがうかがえます。こちらもよく伸びにくい素材なので隠そうにも隠せません。
「うう……こんなスケベなやつだったなんて聞いてない……」
恥ずかしくてたまらないのか、なんとか隠そうと悪戦苦闘しているアルスティ。
それを眺めるマサーファはいつもと変わらぬ様子で、
「新しく作った衣装の試着をしてほしいって頼んだら二つ返事でOKしてくれたじゃない」
「言った!確かにOKしたわよ!?でもこんなまともじゃないコスプレ衣装だなんて思わなかったのよ!わかってたら断ってたわ!!」
「ちゃんと着るまでツッコまなかったからてっきり気に入ったのかと」
「んなワケないでしょ!!」
怒鳴られてもマサーファ涼しい顔。感情表現の乏しい彼女が何を考えているのアルスティには全くわかりません。恐らく、付き合いの長いベイランにもわからないでしょう。
わからないことは深く考えないのがアルスティという女なので、さっさと思考を切り替えて、
「はあ……ていうかなんなのよぉこの服……パンツ以外の下着はつけちゃいけないなんておかしいでしょ……?」
少しでも伸ばして隠せるところを隠したいのですが、やはり伸びてはくれません。腕力ゴリラと呼ばれる彼女が全力で引っ張ってしまうと服が破けてしまう危険性があるので、ある程度手加減しています。
「おかしいと思いながらもちゃんと脱いでくれた律儀さは好きよ」
「さいでっか……」
好感度がめちゃくちゃ上がっているのはわかりました。なんとなく。
「で、これはいつまで着ていたらいいのかしら?」
呆れながらもやけくそ気味に尋ねれば、マサーファは淡々と答えます。
「私が満足するまで」
「ほほう?どうしたら満足してくれるのかしら?ん?」
羞恥心によるストレスが溜まりまくっているアルスティ、無意識に谷間を隠そうとシャツを引っ張っているのですが、肌着がないせいで胸の突起が見えます。わりとハッキリ見えます。
もちろんマサーファはわかっているのですが、下手に伝えてショックを与えてしまうのも可哀想だと思い、言葉を飲み込んでおきました。
その代わり、ポケットからメモ帳を取り出すと、
「スカートはもう少しサイズを小さくしてキツキツにしてもよかったわね、お尻のラインをもうちょっと出すためにも」
「何の話!?」
「片手だけじゃ隠しきれないと……メモメモ」
「だから何をメモってるの!?」
ひどく困惑するアルスティに対し、マサーファはいつも通り冷静な態度で、メモをとりつつ答えます。
「エロい衣装作りの参考。作ったのはいいけど中々データがとれなくて困ってたのよ」
「データが欲しいなら自分で着たらいいじゃない!」
「色気も何もない体じゃ参考にできない」
中性ファセットのゴシックコッペリア、女らしい色気もなければ男らしいたくましさもなく、ぴっちりエロナース服を着ても欲情するものはそういませんし、マサーファ本人が満足しません。
その点については納得するしかありませんが、
「だからって私じゃなくてもいいじゃない。ナノコとか喜んで着てくれるでしょ?」
「ナノコはウザいから嫌。それに、一番可愛い反応をしてくれるのはアナタしかいないからつい……」
「そんな軽めな理由で選択しないでくれる!?」
アルスティキレる寸前、それでも拳を固めようとはしません。
いつもレグにしているみたいに鉄拳制裁しないのは、マサーファに服を隠されてしまったからです。つまり、ここで彼女をシメてしまうと自分の服は永遠に帰ってこないということ、人質ならぬ服質。
「心配しなくてもこの格好でこの辺りを練り歩けとか言わないから。私にメモをとらせてくれたら服も返すし何もしないわ」
「本当に?」
「ホントホント、話はわかるタイプよ。私」
いつも通りの仏頂面なので、心の底から信用するには少々説得力が欠けます。
それでも、相手はお人好しのアホとまで言われているアルスティなので、
「……まあ、そこまで言うなら、いいわよ」
「マジ?」
仏頂面の瞳が輝きを得れば、アルスティはハッとして、
「いや!今日だけ!今日だけだからね協力するのは!これが終わったら2度と手伝わない!実験台は別の人にして!ミーアとか!」
「わかったわ」
大きく頷いたマサーファは、微笑みを浮かべていました。まだ指折り数えるほどしか見ていない、ふんわりとした笑顔は、ルテューアの言う「優しいお姉さん」の顔でした。
こんな時に見れるだなんて思ってなかったのですが。
「……で、私はまず何をすれば」
ほんの少しだけやる気を出した時。
ばたん!
「まっふぁー!みんなで百人一首しよー!」
ノックもせず、弾丸のような勢いで入室してきたのはルテューアでした。
彼の視界に真っ先に飛び込んできたのはマサーファではなく、エロいナース服を着たアルスティ。これにより少年の思考は完全に停止。
アルスティもまた、よりにもよってルテューアに恥ずかしい格好を見られてしまったショックにより停止。思わず手の力が緩んでしまい、胸元は開いてスカート丈が元に戻りました。
「わあお」
全く実害のないマサーファは軽いリアクションをとるだけで、これは面白そうだと静観しようと決め、しばらく黙ることに。
永遠を思わせるほど長い沈黙の末、最初に口を開いたのはルテューアでした。
「わ、なんで、あーたん、が、すごい服、着て……」
静かにパニックになりながらもなんとか出せた言葉。
こういった「ちょっとエッチなこと」に免疫も耐性もほとんどないアルスティが、見えそうで見えないというか実は見えしまっている服を着ているのです、少年にとっては非常事態だと称してもいいでしょう。
「…………」
次の言葉が出てこない彼。見てはいけないと思いつつも見てしまう男の性はこの年からでもあるようで、主に谷間をしっかり凝視。純真無垢とはいえ男の子ですからね。
熱い視線に気付いたのかアルスティは我に返り、
「回れ右ぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「はいぃぃぃぃぃぃぃ!!」
怒号とも呼べる絶叫で指示すればルテューアは反射的に背を向けました。
エロい衣装が視界からなくなり、見えるのは開きっぱなしのドア向こうにある廊下の壁となりました。これにより、冷静さを取り戻すのと同時に猛烈な羞恥心に襲われ、耳まで赤くなります。
そして、
「見た!?」
怒号と同じトーンで尋ねますが主語がありません。
主語がわからない、でも、答えなければゴアされる。誰にって?アルスティに。
ゴアされて記憶の抹消を図るかもしれない……否、彼女なら絶対にやる、加減を知らない人だから。
なので、答えは当然、
「見てません!!」
でした。背を向けたままの叫び。
「そっかーーー!見てないのねーー!ああよかったーーーーー見てないのかーーーー!」
「うん見てない!ぜんっぜん見てないよ!セーフ!」
「セーフかーーーーーー!うん!セーフなら大丈夫ねーーー!じゃあ何もなかったことにして戻ってくれるーーーーーーーー!?」
「戻るね!うん戻る!僕帰るよ!じゃあね!」
ぱたん
静かにドアが閉まったところで勢いだけの会話は終わりました。
黙り続けていたマサーファはめちゃくちゃ笑いをこらえていたのですが、それよりも、
「うあぁ……」
力なく声をあげたアルスティがその場に崩れ落ち、顔を覆って、
「どうしよう……ルテューアにエロい格好をするのが趣味の変態だと思われたら……生きていけない……」
「大丈夫だと思うわ、あの子純真無垢だし」
一方、部屋から出たルテューアですが、彼もまたドアを背にして崩れ落ちており、
「すごいの見ちゃった……あーたんが……あーたんの……あわわわわわ……」
谷間からまあ色々見ちゃってた彼は、赤面したまま顔を覆って一歩も動けなくなってしまったのでした。
後日、気恥ずかしさと動揺により2人はしばらくろくに顔も合わせられなかったとか。