その2
ブラック本丸に飛ばされて、びくびくしながら門を潜ったあの日が懐かしいぜ!
私はそう思いながら、手を必死に動かした。
「せめて雅に散れっ!!」
「ッアーーーー!!私のゼルダ姫ーーーー!!!」
現在、私の初期刀である歌仙兼定と大乱闘中です。
することが無くてゲームをして漫画やアニメを見る作業をしていたらどっぷりです。
もう離れの屋敷から出たくないです。一歩も。
冷暖房については大丈夫ですよ、審神者の味方:通販 がありますので。
「兼定、なんで大乱闘になるとお前はピット君を使うんだい」
「雅だろう?」
「せやな」
君がカートマリオをする時に好んで使うキノコ野郎より十分雅だと思うよ。
でもどうしても、キノコ野郎が雅とは思えない主を許しておくれ。
この一室に響くのはガチャガチャという二人でコントローラーを操る音と大乱闘の音だけだ。
ブラック本丸とか関係ないですしおすし。
兼定を目覚めさせた事で何か言われるかと思ったけど、特に何も言ってはこない。
これはたぶん、兼定の練度が低いのに対して、あっちは短刀や脇差も出陣や遠征で着々と練度を高めているからだろう。もし短刀を狙われても練度の低い打刀の攻撃ぐらい避けることぐらい容易い筈だ。
きっとそういう理由もあって、兼定を呼んだことを別段気に留めていないのかもしれない。
まあ、そっちがその気なら、それでいいですよ!私だって兼定と一緒にゲームしてられるから楽しい!!
この本丸にやってきて1ヶ月程が経過した頃。
私が料理を作っていて、兼定は最近買ったパズルをしていた。
部屋の隅で蹲りながら外側のピースと内側のピースを仕分けして、外側からどんどん埋めていく。
因みに、兼定が「この柄が良い!とても風流じゃないか!」と言っていたので、京都の有名な寺、清水寺の絵柄のジグソーパズルである。
清水寺が風流で雅なのはよく分かるがやはりキノコ野郎の雅は分からない。
「かーならずーぼくらーは出会うだろーう」
ふと聞こえてきた声に、うん?と思って兼定のほうを見れば、パズルをしながら何かを口ずさんでいる。
「沈めた理由にー十字架をたてーるときー約束は果たされるー僕らはひとつになるー」
聞き覚えのある曲だと思ったら、そうだ。200年ぐらい前のゲームの主題歌だ。
オンラインゲームやら大乱闘やらカートマリオで食いつないできたけど飽きてきて、何か別のゲームがしたい!と兼定に強請られたんだった。
大長編のRPGならば、兼定もすぐには飽きないだろう。しかも二周目などのやり込み要素もあるぞ!と思って、生まれた意味を知るRPGと名高い【テイルズオブ深淵】を通販したのだ。
最近攻略が終わったらしく、2周目もやらなければ!とやる気に満ち溢れた目をしていた。
「兼定、その曲気に入ったの?」
「え!」
口に出して歌ってたじゃない。と声をかければ仄かに頬が染まった。
歌を聞かれたのが恥ずかしかったらしい。
「いや、物語を終えてから曲の意味を考えると深いなあ、と思っていて…つい歌ってたみたいだ…」
「うーん…そうだ。あとで良いものを買ってあげよう」
とりあえず今はご飯だご飯。
ご飯を食べ終えて、食器を片付けて(後片付けは兼定も手伝ってくれる)
「主、良いものってなんだい?」
「えーっと、たしかこっちの部屋はまだ使ってなかったよね」
この離れの屋敷、わりと広いのである。
トイレとお風呂と、リビングの役割を果たす場所(そこでご飯食べたり、テレビ見たり、ゲームとか漫画とかアニメとか好き勝手している)と、私の執務室(と言いつつもオンラインゲームする場)と、寝室の役割を果たす場所がある。
寝室に関しては、兼定と私で同じ部屋を使っている。分けようとしたけど兼定が「寝ている間になにかあったら大変だから」と言うので同じ場所で寝ている。あ、流石に布団は別だよ。
そんな感じで大きな離れではありますが、実はまだお部屋が余っているのです。
兼定に部屋あげようとしたけど、リビングでのんびりするか、私の執務室でオンラインゲームする私の横でそのゲームを眺めるか、3GSとかPSBをしているかなので、部屋は要らないと断られた。
……いま思うとやばいな。兼定さんったらゲームしかしてない。
なのに太らない。謎。そりゃ付喪神さんだもんね、神様だもんね…人間とは造りが違いますよね。
「防音設備とーあとマイクを2本と、あと機械を買ってー…」
端末でパパパっと注文して、数秒後。
「はい、カラオケ部屋の出来上がりー!」
「からおけ?」
首を傾げる兼定さん。私の初期刀がこんなにも可愛い。
「歌いたい曲をこの機械で探します。そして見つけたら送信ボタンを押して…」
カラオケ部屋に新たに設置したテレビに映るのはさっき兼定が歌っていた曲の歌詞。そしてスピーカーからはボーカル無しの音楽。
「これで好きな曲を全力で歌えるわけですよ!」
「じゃあ、庭球のプリンス様や鋼のアルケミストを…!」
「そう、全て歌えちゃうのですよ!」
「凄いな!」
お気に召してくれたようで、主とっても嬉しいですよ。
私の兼定くんは慣れるのが早いね?
少し教えただけで器用にこなしちゃうこの子やばい。
今まで料理のほうは手伝ってもらわなかったけど、お願いしたら手伝ってくれるんだろうか。
「もう一度人を信じようと思ったんだ、だから本丸に来てこっちで生活をしてみてはくれねえか?」
そう言葉を発したのは菫色の綺麗な瞳を持った黒髪の少年。
あの本丸で一番に手入れをした子だったような気がする。
名前は…なんだったっけ。
自堕落生活が楽しすぎて、刀帳見てないんだよね。だから本丸にいる刀剣が全部揃ってるのか揃ってないのかも知らないっていう。アレ?私、駄目審神者すぎない?
「え?いや、いいです。離れの屋敷に居たほうが滅茶苦茶楽しいし楽なんで」
だって出陣も遠征も内番も、全部勝手にやってくれる。ご飯に関しては簡易キッチンをつけたから材料だけ注文して二人分をささっと作ればいいだけだ。
あとは兼定と一緒にゲームしたり、アニメ見たり。時には心霊番組なんかを見たりして二人でぶるぶる震えたり。フランダァスの犬というアニメを見て二人で号泣したり。
確かに本丸のほうが広いし、縁側に出てゆっくり日向ぼっことか、兼定を出陣させて、手入れもしてやれる。
「は?」
少年はぽかん、と口を開けて私を見た。まあ、断られるとは思ってなかったんだろうね。
「だって不便だろう?こんな限られた空間でずっと過ごすなんて…」
「べつに困っていることなんて微塵もありませんし、そちらだって審神者が居ないほうがのびのびと日々を送っていけるのではないですか?」
そうだよ。だってこの約束事を取り付けて1ヶ月。双方互いに寄り付かず、話さず、気にせず、それで過ごしてなんの問題も無くやっていけてるんだから、今更そっちの本丸に戻る理由が見つからない。
何よりも、ここに置いてある物を本丸に移すのが面倒だし、本丸に移動となると自室と執務室ぐらいしかスペースがない筈だ。
そうなると、この大量に溢れかえっているDVDとか漫画とかゲームとか、置く場所が無くなるじゃないか。いいか?オタクにとって大事なものは、金と収納場所だ!
菫色の少年は何故だか黙り込み、後ろにいた眼帯お兄さんが前に出てきた。
「ええと、ほら、ご飯とか大変じゃないかい?厨だってこっちにあるんだから…」
何を言ってるんだこの眼帯さんは。先に本丸に入るなと言ったのは刀剣達のほうである。だから厨にだって入れないわけで、私は兼定にレトルトは雅じゃない!と文句を言われるまでレトルトで過ごしてたんだから。
いや、そんな…ゲームをしたいがために、10秒でチャージできちゃうご飯で済ませたり、片手で食べられるようなパンとかお握りとかで生活してたわけじゃないってば!一日一食ぐらいはレンジでチンして食べるカレーとかドリアとかたこ焼きとか食べてました!
「厨にも困っていませんし、野菜や肉なども問題なく摂取できてるので、そちらに赴く理由がありませんね」
まだ何かを言おうとしたのか眼帯さんが口を開いた。
まったく、なんでそんなに本丸に招こうとするんだ?罠?罠なのね!そうなのね!!
「主ー!次は主が入れた曲だよ!」
「え?!もう私の番?!」
そうだ、いまは兼定とカラオケ中だったんだ!
「それじゃ、そういうことなので!」
少年と眼帯さんを放っておいてスパァンと勢いをつけて襖を閉めた。
「一体なんだったんだい?」
「なんか人を信じたくなったから本丸で過ごさないかって」
カラオケときたらフライドポテトよね。通販で注文したフライドポテトを貪りながらカラオケルームで兼定と喋る。
なんかカラオケに来たのに曲を入れずにお喋り大会が始まることってない?いま、そんな気分。
「ふうん…それで?なんて答えたんだい?」
「勿論断ったよ。だって本丸に移るなんて面倒だし、何よりもこの離れ生活が楽しくて」
そして、はたりと気付いてしまった。
「兼定は本丸に行って他の刀剣達と仲良くなりたい?」
この空間で人間というのは私ひとりだけだ。しかし兼定は違う。自分と同じ者が、本丸には大勢居る。
兼定が本丸に移りたいと言ったら、移ろうと思う。そう告げれば兼定は曲を探すためにポチポチと機械を弄りながら笑った。
「まさか!僕だってここでの生活が楽しいからね、本丸に移ろうとは思わないよ。
何より、右も左も分からなかった主に対して、あんな冷たい態度を取った奴らと今更仲良くなりたいなんて思っていないさ」
「兼定……」
私の初期刀がこんなにもかっこいいです。
でもね、視線を私に向けていないんですよ。さっきの言葉を私の目を見てもう一度お願いします!って叫びたくなりました。
「せめて曲を選ぶ手を止めてから格好いい言葉を言ってほしかったよ」
「沢山歌いたい曲があるからね、そんな時間の無駄してられない!」
日に日に初期刀さんの態度がCOOOOOOLになっていってる気がします。
「ねえ、兼定」
「なんだい、主」
今日のお昼も食べ終えて、机を挟んで二人で正座をし深刻な顔をした。
そう、これは由々しき事態だったのだ。
「大乱闘ってさ、やっぱり4人でやるから大乱闘だと思うのよ」
「ああ。僕もそう思う」
だけどこの場には私と兼定の2人だけだった。
大乱闘もカートマリオも、たしかに1人でやるより2人でやったほうが楽しい。
しかしそれ以上に、4人でやったほうが楽しいに決まっている。
「でもね、この生活に他の刀剣がついていけると思う?」
「それは…」
自分達がやっている事といえば、ゲームだけだ。
本来刀剣の付喪神である彼らは戦う事に意義があると言っても過言ではない。だから私はとっても不思議だったのだ。どうして、
「どうして兼定はこの生活に慣れきってるの…!」
「この生活に引き摺りこんだ君がそれを言うのかい?」
そうでしたね、私のせいでした。恐れ入りますすみません。
「それに、このジグソーパズルを私たちだけで完成させるのには無理があったのよ…!」
さっき机を挟んで二人で正座、といったな?あれは間違いではない。しかし、その机の上には未完成のジグソーパズルが散乱していた。
清水寺を完成させた兼定は新しいパズルを所望してきたのだ。どうせなら主も一緒にやろう、すこし難しいものにも挑戦しよう!と、私は頭を使うものが苦手なので拒否したのだが、しかし初期刀さんに弱い私は頷いてしまったのだ。
「もう駄目っ!私はここで倒れる、兼定あとは頼んだ!!」
「待ってくれ主!ここまで一緒に頑張ってきたんだ、最後まで根気良くやっていこう…!」
「無理よ!無理だったのよっ!私にはこんな頭を使うもの…出来ない!!」
「あ、あるじぃぃいい!!」
「って、ことで、鍛刀しましょうか」
「賛成」
以上、暇を持て余した私と初期刀の遊び(寸劇)でした。
ゲームをわいわいやるため、そして、このパズル(5000ピース)を完成させるため、私と兼定は鍛刀することにした。
「さて…一番の問題は鍛刀部屋が本丸にあるっていう事よね」
「そうだね…」
「……しかたない、本丸に住み着くことはしないけど、時々そっちに顔を出す。という条件で、あの少年と眼帯さんの話を呑もうかしら」
本丸に住み着くのは嫌だけど、まあ時々顔を出すぐらいなら呑んでもいい。
流石にそろそろ体を動かしたいところだし、本丸への使用許可が下りれば手入れ部屋も使うことが出来る。そして鍛刀をして一振りでも作ることが出来れば兼定を一人戦場に放り込むことにもなりはしない。
「主がそう決めたのなら、僕は構わないよ」
今回政府に提出する書類を確認しに来たのはあの眼帯さんだった。
ラッキーと思いながら先日の話を掘り返した。
「本丸に移動するっていう話、まだ有効ですか?」
「!!」
書類を見ていた眼帯さんがパッと顔を明るくさせて私のほうを見てきた。
「本丸に住むっていう事は出来ませんが、時々そちらに顔を出す程度で宜しければ」
お願いしたいです、と言う前に眼帯さんが私の手を取った。
「勿論だよ!」
そんなに嬉しそうに言われるとは思っていなかった。
やっぱり何かあったりするのだろうか…こわこわ…近寄らんとこ……
「言ってくれれば、君や歌仙くんの食事も用意するし、」
「あ、それはいいです」
「そうかい…?」
悲しそうに目尻を下げられたが心は痛みません!だって毒盛られたら怖い!!
「ちょっと用事があるのでそちらへ伺っても?」
「今からかい?」
「今が無理でしたらまた後日でも…」
「大丈夫!」
あ、書類返すよ、これで提出してオーケーだよ。と言われて受け取った。
こいつさらっと英語使った。なんで使えるんだろう。
戻ってきた書類を机の上に置いて、兼定を手招きして離れを出た。
「鍛刀部屋ってどこですか?」
「新しく刀を作るのかい?」
「ええ、手入れ部屋も使えるので兼定と共に出陣してくれる刀を作ろうと思いまして」
まあ、一番の目的はゲームの相手だけどね!!
「そっか、そうだよね」
こっちだよ。と道案内をしてもらい、鍛刀部屋をついた。
本丸へ来て2ヶ月は経っていないけど、約2ヶ月。これで本丸の中へ入ったのは二度目だった。
淀んだ空気を祓ったのは自分だというのに本丸への立ち入りを禁じられるという謎現象。まあそのおかげで素晴らしき世界が幕を開けたわけだけども。
眼帯さんが鍛刀部屋から出たのを確認し、兼定が口を開いた。
「資材はどのくらいにするんだい?」
「うーん…よく分からないしなあ…でもあまり多く入れて太刀辺りが来るとちょっと嫌なんだよね」
「太刀が来るなら戦力にもなってくれるだろうし、良いと思うけど」
「だってこの本丸に居る太刀がきたらどうするのさ。しかも太刀って殆どこっちに敵対心抱いてるから凄く苦手なんだよねえ…」
打刀以下は、折られたものが多いらしく、殆ど揃っていないらしい。
自分の端末で最近やっとここにいる刀剣をざっと確認したんだけど、数があまり多いわけではなかった。刀帳はそれなりに揃っていたが数が少ないということは、つまりそういうこと。
「打刀以下が出ればいいかな。あとゲームしてくれそうな刀剣」
「それが一番重要だね」
「だね」
たぶんここに突っ込み役が居たら突っ込んでくれるとは思うけど、そんな人居ない。
ささっと作ってこの場から去って、早く離れに戻りたいので手伝い札を妖精さんに渡す。
みるみるうちに完成して、刀が一振り出来上がった。
「どうやら打刀のようだね」
「よかった…」
ゲームでは欲しいレアアイテムがなかなか出なかったりするからもう絶対に太刀が来ると思っていたからほっとした。物欲センサーが今回は発動しなかったようで何よりである。
「戻ったら呼び出してみようか。早く離れに戻ろう」
私は刀剣を抱えてそそくさと元来た道を戻った。
庭のほうからは子供の明るい声が聞こえてきて何だか眩しかった。
ほら、外で遊ぶとか廃人には難易度高すぎるから…
曲がり角のところで腰辺りに何かがぶつかった衝撃で後によろけたけど兼定が抱きとめてくれて、
私は右手で持っている打刀を押さえて、左手で自分にぶつかってきた子供が転ばないように支えた。
「あ、ご、ごめんなさい…!」
ピンクだ。とてもピンク。髪がすっごくピンク!
「大丈夫ですよ。貴方は怪我はないですか?」
「はい…ありがとうございます!」
「怪我をしたら大変ですから、廊下は極力歩いたほうがいいですよ」
それでは、と少し頭を下げて目前にある離れに向かう。
後から「秋田ー!どこだー?」という声が聞こえてきて、さっきの少年が「いま行きます!」と返事をしていた。あのピンクな少年は秋田というらしい。
サクランボが美味しいところかな?と思いつつ、夕食のデザートにサクランボでも通販しよう、と決めた。
「へし切長谷部、と言います。主命とあらば、何でもこなしますよ。」
現れたカソック姿のイケメンさんに、まず最初に言った言葉。
「いま、何でも、って言ったよね…?」
「主、これは…?」
「ゲームです」
とりあえず手始めに大乱闘の準備をしながらこの本丸の状況を話した。あ、しまった。コントローラーもう一本注文しないとだ。
黒いコントローラーを注文して、パッと目の前に届く。
それを手渡してキャラクター選択へと。
「つまり、主はここに元々いた刀剣達にこの離れへと追いやられたということですか…?」
「まあ、そうなるかな」
「主命とあらば、その無礼な輩共を手打ちにしてきましょう」
「いや、ほんとそういうのいいから」
ついスタンドアップした長谷部の手を引っ張ってその場に座らせた。
名前を聞いた後に「へし部」と呼んだらとても悲しそうな顔をして「主命とあらば…!」って嫌そうにしながらも返事をしたのを見て私は「へし部」と呼ぶことを封印しました。ごめんってば、そんな悲しい顔するなんて思っていなかったんだよ。
「これで移動して、こっちのボタンを押して攻撃ねーあとジャンプ…えーっと飛ぶのがこうで、」
一通りの操作をとりあえず練習ステージで覚えてもらって、いざ闘うぞ!という時
「長谷部はどれ操作したい?」
「主が選んでくさだったものでしたら何でもいいです」
「ええ…」
そんな事言われると…苛めたくなるじゃないか!!
「じゃあこいつで」
「これは?」
「ちょっと上級者向けのキャラだけど、長谷部なら上手く使いこなせるよ!」
頑張ってね!と言葉をかければ目を輝かせた。なんだこいつ、可愛いぞ。
「これでピクミソっていう物体を引き抜いて、投げる!」
「投げるのですか?!」
「そう、この子達はね自分を引き抜いてくれた、ご主人様について行くのよ…」
投げられても、ほったかされても、食べられても…
そんなCMソングがありましたね…
「あなたに従い尽くしていきます、とピクミソ達は健気に頑張るの」
「俺は、前の主に捨てられ直ぐにその主を恨んだ…だけどこいつらは違うのか…
放っておかれても、迎えがくる事を信じて…待ち続けるんだな…」
長谷部は何かを決心したようだ。
「主!俺は、このオリマーあんどピクミソを使いこなしてみせましょう!」
「そう言うと思っていたわ…期待してるわね!」
そして、私達は、コントローラーを握り締め、テレビに向かった。
これ何の小説?って思われるかと思いますが、これはれっきとしたブラック本丸で肩身の狭い思いをしながら女審神者である私が頑張るお話です。まあ、特に肩身の狭い思いもしていないし、何も頑張っていないけどね!!
「おい歌仙、ピクミソ3をやらせろ」
「嫌だね、いま僕はガラシャのレア武器取得に忙しいんだ」
「なんだと…?」
「やる気かい?」
リビングのテレビが1つしかないので、まあ必然的になんのゲームをするかで揉め事が起きるわけで、今にも緊急抜刀しそうな勢いのお二人ですが、殺傷沙汰にならないのは主である自分がよく分かっています。だってこいつらの練度って1のままだし。
白黒つける時は、大乱闘って決まっているのですよ。
そして結局、
「主、大乱闘しよう!」
「主、是非とも我々と共に興じましょう」
大乱闘で決着をつける筈が、二人で楽しんでしまい白黒つける事も忘れるわけですね。
いやー、やっぱりゲームって最高だわ。
ブラック本丸で楽しい審神者生活2
(本丸へ行くことが出来るようになったけれど、
人が増えて益々ゲームが楽しくなりました!)