番外編2
「兼定、ついにこれをクリアさせる時が来たのよ」
「ああ…そうだね、主」
二人は目の前に散乱する物を睨みつけるかのようにじっと見つめた。
その眼光は鋭く、まるで親の仇を見ているようだ。
主と兼定の話についていけないのは一週間程前にやってきたへし切長谷部のみである。
「あの、これは…?」
「これが見本っていうか完成図の絵で、この絵と同じになるようにパズルを嵌めていくわけよ」
外側から組み立てられていったパズルは真ん中のあたりがぽっかりと空いていた。
「大乱闘も本音だったんだけど、実は一番の目的はこのパズルの完成だったりするんだよね」
「部屋の隅に置いておいてそのまま見ないふりしていたからね…」
パズルを見るだけでもう頭が痛い。でもこのまま隅っこに放置しておくこともできない。
審神者とその初期刀はついに目を逸らすことをやめた。
「憧れるのは、もうやめる」
「何言ってるんだい」
静かに突っ込まれた。
「長谷部、どうか一緒にこのパズルを終わらせてくれないか…!」
そう懇願したら長谷部はきりっとした顔になった。
「主命とあらば」
「おう、頼んだぜ」
さーて私はオンラインゲームに戻るか。そう思いながら席を立とうとしたらガシっと兼定に腕を掴まれた。
「…どういうつもりだい、主」
「それはこっちの台詞よ、兼定。主である私に逆らおうっていうの?」
「約束したじゃないか!これを一緒に完成させようって!」
「知らない!私はそんなの知らないッ!!私にはそんなの無理だったのよ!そんな、そんな…!頭の使うモノなんて、私には出来ない!!」
っていうかパズルのこと本気で忘れてたしね。臭いものに蓋をしてた結果がこれだよ!
「いいじゃん、長谷部がなんかすごいやる気に満ち溢れてるし」
「彼は主命!ラブ!!だから仕方ないんだよ」
「それ新宿の情報屋の間違いじゃねえの」
「まあいいじゃないか、パズルを完成させようよ、ね?」
「ね?じゃない。私の頭爆発する」
「爆発したらちゃんと組み立てて頭の中に戻してあげるから!」
「やめて?!私の脳味噌で立体パズルするのやめて?!」
終いには私の初期刀さんがゲームのセーブデータ全消しするよ、って脅しにかかってきました。私は泣く泣く席につくのであった。
長谷部の主命効果によりパズルは数日後無事に完成された。
綺麗にそれを額に入れて現在はリビングに飾ってあります。
清水寺のパズルが神々しく輝いているけど、私はあの数日間が本当に地獄のようでした。
頭パーンってしなかった私を誰か褒めてください。