その6
「よし、最後の6振目チャレンジ!」
鍛刀場に居るのは兼定と浦島くんである。
全員行くっていう勢いだったけど鍛刀場が狭い上にそんなぞろぞろ連れて本丸のほうへ行きたくはない。っていうことで、兼定と本丸初となる浦島くんを連れてきてみた。
浦島くんはきょろきょろと物珍しそうに周りを見ている。そんな彼がふらふらと出歩きそうなので私は浦島くんの手を引いてここまでやってきた。
「打刀と太刀レシピ、どっちにするんだい?」
「太刀から現れるという1:30の呪いを信じる」
「それ江雪くんが来た時も言ってたよね」
「やめろ、思い出させるんじゃない」
今度こそ私は1:30を狙うのよ。そう、今ならいける!!
声を上げながら私は資材を片っ端から突っ込んでいく!
「オラオラオラオラ!!!」
「あるじさま、ジョジョ立ちしてたほうがいい?!」
「勝手にしてろ」
「わかった!」
彼はジョジョ立ち待機となった。
どの立ち方なのかは皆様の想像力で補ってください。彼に似合いそうな立ち姿を思い浮かべていただければ幸いでございます。
鍛刀場の妖精さんにお願いします!と言って現れた時間
1時間30分
「…!!」
コロンビアポーズである。神が私の味方となってくれたのである。付喪神だけに。
手伝い札を使って現れたのは自分が待ち望んでいた1時間30分の打刀。
「兼定、この刀は本丸にある?」
神気という便利なオーラで感じ取ることが出来るらしいので兼定に感知してもらう。
どきどきと結果を待つ。受験生の気分だよ!
「大丈夫。本丸にない刀のようだよ」
「おっけー!浦島くーん帰るよー」
未だにジョジョ待機してた浦島くんに一声掛けて私達は離れへと撤収した。
「?なに見てるの?」
そんな時なんだか中庭のほうを見ている兼定に声を掛けた。
中庭大きな木があって、たぶん桜だと思う。庭にも桜の木があったと思うし春になればそれは見事な光景になるんだろうねえ。と思いつつも外には出ないでゲームだろうなーと確信した。
兼定の雅な心()を擽られたのかな。
「いや、なんでもないよ」
「山姥切国広だ。……何だその目は。写しだというのが気になると?」
「正統派…王子キャラ、だと……?」
新しくやってきた打刀はなんと王子でした。
「っていうことで、離れに住んでいるので本丸側に兄弟や知り合いが居たとしても会わせてあげることは難しいので、そこんところ宜しくお願いします」
「別に構わない…どうせ俺は写しだ…ここで静かに過ごしたほうが似合っている」
……静か…?
ちらっと背後の皆を見れば全員がそっと首を横に振った。
だよな!ぜんっぜん静かじゃねえよな!
本丸にときどーき行くときに聞こえてくる短刀達の笑い声とか縁側で茶飲んでる刀達のほうがよっぽど静かに、穏やかに過ごしてるよな!!
「それにしても、この布どうにかならない?」
被ってる白い布をぺらっと捲ってやると金髪が覗く。うぐっ…美人ンンン
「やめろ。これがあれば本物の山姥切と比較されなくて済む」
ぺちんっと手を払われて布を掴んでいた手が離れて手持ち沙汰になってしまった。うーん、それにしてもこの子暗いわ。大倶利伽羅とは別の暗さだし…
その大倶利伽羅くんは現在ポップソやってるし。
「綺麗な顔してるのに勿体無い」
「綺麗とか、言うな…」
恋に落ちる音がした㍍つ
そんな曲が頭の中を駆け巡っていく。イケメンじゃん…ただのイケメンじゃん…
写しとか言いながらも写しでありながらも国広の最高傑作というプライドを持っていて、だがしかし本物と比べられる事を嫌がる。そして金髪碧目。ただの!イケメンじゃん!!性格めんどくさいけど!!
「山姥切ってばめんどくさいね…」
「それはやはり俺が写しだからか?俺を捨てるつもりなんだろう?」
「捨てないけど」
ねえ待って!この子めんどくさすぎる!誰か助けて!!
そういう目で彼らを見ようとしたら兼定・長谷部・江雪・浦島が大乱闘始めてた。なんなの!なんでそういう時に限ってお前らそんなチームワーク見せてくるの?!大倶利伽羅は愛用ヘッドフォンして完全シャットアウトだよっ!!
「あと、山姥切って呼ぶな…」
「えー?じゃあ国広ね」
「あっちに居るかは知らないが、俺には兄弟が居る…あいつらも俺と同じ国広という名を持っている」
なんだよ!じゃあお前らは一体なんて呼ばれたいんだよ!!
「いい、国広ね」
「話聞いてたか…?」
「写しとか兄弟とか知らないけど、私が最初に手に入れた国広は山姥切国広だから」
なんだその顔。っていうか兼定お前なに笑ってるの。肩揺れてるぞ。
「国広に決定!異論は認めない!
あと、はい。国広用のコントローラーね」
「こんとろおらあ…?」
何するのかって?決まってるだろ、新人歓迎大乱闘だ!!
大倶利伽羅も何かを察したのか音ゲーをやめてテレビの前にやってきた。
うむ、その大乱闘に忠実なところ審神者嫌いじゃないよ。
「写しの俺でも、出来ることがあるんだな…」
大乱闘やカートマリオを一通りやらせた感想が、これである。
「そうだよ、国広。君にだってやれることがあるんだ。
だからそんな卑屈にならないで前を向いて歩こうよ…?」
「…ああ。俺は俺のできること(ゲーム)をしよう」
彼は生まれ変わった。そう。New国広くんなのだ。
「ゲームを気に入ってくれたようで何よりだよ」
分からない言葉はこの便利なモノを使って調べてね、と電子辞書を渡す。
そして気になることがひとつだけ。布。
「ほら、やっぱりその布取っちゃいなよ」
「これは、駄目だ…」
「よく考えてみて?大乱闘で1位争いのためにサドンデスに入った時、何かの拍子にその布が落ちたりしたら…そしてカートマリオで目の前にアイテムボックスがあるというのに、その布が目の前に来てしまってアイテムを取り逃したりしたら……」
「……!!」
この世の終わりみたいな顔してるけど、これただのゲームだからね。別に大乱闘で1位にならなくても、カートマリオでアイテム取り逃したりして世界なんて終わりませんから。
「分かった。布は取ろう」
そう決めた山姥切国広くんは布を取りながら今まで見たことがない程の凛々しい顔をしていました。布取ると決めただけなのに謎のかっこよさでした。
そして現れる金髪に私は目がぁぁぁあああっと叫ぶこととなったのです。
顔だけ見れば君は王子だよ。中身はゲーム大好き根暗くん。
こんな主人公顔の根暗がいてたまるか。
「国広くん、これやらないかい?」
「兼定は新入り来るたびにテイルズオブ深淵を布教するな!!」
「いいじゃないか!同じゲームを共有するっていうことは大事なことだよ!!」
そうね!一人で楽しむより同じ話題を持ってたほうが楽しいね!!
「でもお前のせいで浦島くんが面倒な状況になってたことを忘れたとは言わせない」
「それは…まあ…うん……誰もが通る道だよ」
「頑張っても鳳凰天駆とか譜歌とか使えないから!!」
ソーサラーリング欲しいって言われた時はコスプレグッズにあったソーサラーリングを通販してちゃんと浦島くんに渡してあげたよ!それを見てた大倶利伽羅がゲーセンに置いてある初音ミクのアーケードゲームを強請ったのは流石に却下しました!!!
大倶利伽羅がものを強請るのはとっても珍しいことだったけど流石に無理です!だからそんな怒ることないじゃん!刀抜くことないじゃん!あれまやっちまった?なんか酷いこといった?っていうところまで曲が流れてきたわけですね、はい残念!
この曲通じる人居るのかな。居るといいな~…
「これは?」
「RPGってやつさ。この主人公を操作して話を進めていくんだ。これは本当に面白いから、是非!是非とも!やってくれないか!!」
「あ、ああ…わかった」
「ちょっと兼定、国広引いてるから。やめたげてよ!」
あんたのそのテイルズオブ深淵への情熱どうなってんだ!私は響き合っちゃう方のテイルズが好きなので相容れない存在ですね!!
「国広、攻略本使う?」
「……いや、とりあえず何も見ずにやってみる」
「わかった。まあ、分からなくなったら兼定に聞くと良いよ。こいつのやり込み具合マジキチだから」
兼定はやり込みあると燃えるタイプだからな…私は気に入ったものはやり込むタイプ。一回やってまあ良いか…ってものはそのまま一周で終わらすよ!
「RPGって総じて長いし何よりも深淵って更に長いんだよね…」
テレビは新入りがやってきたら暫くは新入り優先というルールがある離れです。長谷部が来た時に無双やりたい兼定とピクミソをやりたい長谷部の対立が凄かったのでそういうルール作りました!!
テレビは一個追加したからそんな凄い争いにはならないと思うんだけど。
「深淵やるなら私の執務室(オンラインゲーム室)にあるほうのテレビ使ってね。
リビングの大きめのテレビは兼定達が適当になにかやると思うし」
「分かった」
いそいそと深淵のディスクを入れに行くのを横目にこっちのテレビは仲良く使いなよーっと声をかけて私はオンラインゲームをするのと、国広の様子を見るために執務室のほうへ向かう。
浦島くんは狩人の漫画を10冊ぐらい抱えてこっちの部屋に来た。
「リビングで読まないの?」
「えー、だってなんかあっちで大乱闘始まったから不穏な会話が飛び交うじゃん」
「あー……」
対戦ゲームの鉄則:汚い言葉が飛び交う
「落ち着いて漫画読めないからこっちで読む!」
「まあいいけどさ」
リビングよりは狭いけど執務室もそれなりの広さあるし、なんら問題はない。
パソコンをつけながらチラリとテレビ画面を見ればオープニング中でした。
赤髪主人公とその赤髪さんその2って顔が似てる!って言われてもいまいちピンとこない私っておかしいのかな。なんか、そこまで顔が似てる気がしないんだよね。
雨の中髪が崩れたA君とA君を襲う主人公L君の切り合いで、パーティーの人達が「え…同じ顔?!」みたいに驚いてるシーン、共感できませんでしたごめんなさい!似てる…?うん…似てるような…そうじゃないような…ぐらいの気持ちでした。
「チュートリアルで戦闘の仕方とか出るから、まあ気にせず適当に話を進めて大丈夫よ」
こくんっと頷く金色の頭はどうも見慣れない。
浦島くんは金色っていうかオレンジだもんね…あんなキラッキラしてないもんね。
眩しいでござる。
「……」
そーっとコップに水を入れてきた浦島くんを見ながら私は言う。
「浦島くん、君には念の素質ないと思うから水の変化確認しなくていいと思うよ」
「ばれた!」
コップに水入れて力を込めるってそんなの完全に水見式の念能力判断じゃないですかヤダー
「パッと見…君はたぶん強化系」
「あるじさんも強化系っぽいよね!」
「単純と言いたいのか貴様」
「てへぺろ!」
「あざと可愛い(確信」
「夜ご飯何がいい?」
「サイダー飯!」
「なんでテイルズ作品の美味しそうな料理が所狭しと並ぶ中、ゲテモノオブゲテモノを注文するかな君は」
フルーツ焼きそばもありえないゲテモノだと思うけどサイダー飯は無いわ。
「気になる!」
「気になるのは凄く分かるけど食いたいとは思わないよ」
「あるじさんも一緒に食べる?」
「だから食わん!」
しょんぼりしてるところ悪いが、そんなに食いたいならサイダー買ってあげるから自分でご飯ぶっこんでくれ。私は責任取らないぞ。どんなに不味くても!!
「マーボーカレーがいい」
「おう。普通のラインナップを言ってくれて嬉しいぜ」
今夜はマーボーカレーです。
「国広、夜ご飯!」
「っは!」
「うん。RPGって時間忘れるよね。もう夜ご飯の時間なんだよ実は」
「すまない…つい手が止まらなくて…」
「そうだよね!深淵面白いよね?!ね?!」
「兼定の顔が雅じゃない」
「ああ。RPGというのは、奥が深いな…」
さすが主人公顔だぜ。主人公操作する系ゲームが好きなんですかね。
「はいはい。分かったからさっさとご飯食べなさい」
大乱闘がポーズ画面で止まっていたしチャンネル変えても平気そうだ。
「なんのアニメが見たい?」
そう問えば全員が全員バラバラでした。知ってた。
「深淵!」
「主命とあらば!」
「ショーバイロック」
「何でも良いです」
「銀魂!!」
「なんでもいい」
声を上げた順番は、この離れに来た順です。とだけ報告しておきます。
「何でも良いが3票だったので、ハガレン見よう」
「結局主の好みじゃないか!」
「勘の良い刀剣は嫌いだよ」
ハガレンは私の聖書ですしおすし。
山姥切国広くんがやってきて5日目。彼は3日目に始めていたテイルズオブ深淵をクリアしていた。
「ルーク…お前も写しだったのか……」
そして写しなりに自分の行動を選択した。
山姥切の写しである国広と本物のルークのレプリカだったルークくんに何か感じたらしく、国広はコントローラーを握りながら泣いていた。
とても綺麗な涙だと思ったけど、結局はゲームで泣いてるからねこの子。
「そんな泣くなって…ほら、気に入ったなら二周目やりなよ」
肩を叩いてやれば国広はテレビ画面に向き直った。
そしてオープニングで涙腺崩壊するからもうどうしようもなかった。
彼を慰めてもらおうと兼定に頼ったら兼定も一緒になって泣き出すからどうしたら良いのか本当に分かりませんでした。
深淵ってそんなに泣けちゃう?思い入れ強いと泣いちゃうのは分かるけどさ。
「泣きすきだろお前ら!近所迷惑だから泣き止みなさい!!」
「響き合うほうのOVA見て泣いてた主に言われたくない言葉だよ」
「ギクッ」
仕方ないだろ!まさかOVAで主人公の父親が主人公の頭撫でるなんて思わなかったし何より主人公が父親に抱きつくとか思わなかったんだよ!
ゲームでさらっと流される親子関係だったから更に涙腺を刺激されたんだよ!!
「まあ、国広が深淵の一周目を終えたことだし、スターリッシュを揃えよう」
「そうだな」
さっきまで黙々とポップソしてた大倶利伽羅先生が素早く立ち上がった!
大倶利伽羅先生目がガチです!流石ダンスの鬼!!
雅は死んだ:一ノ瀬歌仙
主命を選べ:一十木長谷部
ダンスの鬼:神宮寺伽羅
和睦(物理):聖川江雪
あざと全開:来栖浦島
根暗主人公:四ノ宮山姥
以上六名でお送りします。
「伽羅ってなんだ」
「いや…神宮寺大倶利伽羅って…語呂悪すぎてそうなりました」
「山姥……」
「全員上の銘で言ってるのに兼定と国広だけ下の銘ってどうなの?って思ってそうなりました」
それにしても本当に酷い配役だわ。許されるのは江雪と浦島だけだよね。他全員アウト。
これ歌王子様好きな人達に殺されないか心配になる。大丈夫?ねえ大丈夫?
月夜ばかりと思うなよ。っという深淵の幼女の言葉が蘇る。背後には気をつけようと思います!!
彼らの勇姿を収めるために超高性能ビデオカメラを購入することが決定しました!
余談ですが、この乙女ゲームのヒロインは私だよね!って言ったら全員にゴミをみるような目で見られました。審神者、泣いても…いいよね……?
ブラック本丸で楽しい審神者生活6
(ついに六人揃いました!
次はなにをしようか)
鍛刀場に居るのは兼定と浦島くんである。
全員行くっていう勢いだったけど鍛刀場が狭い上にそんなぞろぞろ連れて本丸のほうへ行きたくはない。っていうことで、兼定と本丸初となる浦島くんを連れてきてみた。
浦島くんはきょろきょろと物珍しそうに周りを見ている。そんな彼がふらふらと出歩きそうなので私は浦島くんの手を引いてここまでやってきた。
「打刀と太刀レシピ、どっちにするんだい?」
「太刀から現れるという1:30の呪いを信じる」
「それ江雪くんが来た時も言ってたよね」
「やめろ、思い出させるんじゃない」
今度こそ私は1:30を狙うのよ。そう、今ならいける!!
声を上げながら私は資材を片っ端から突っ込んでいく!
「オラオラオラオラ!!!」
「あるじさま、ジョジョ立ちしてたほうがいい?!」
「勝手にしてろ」
「わかった!」
彼はジョジョ立ち待機となった。
どの立ち方なのかは皆様の想像力で補ってください。彼に似合いそうな立ち姿を思い浮かべていただければ幸いでございます。
鍛刀場の妖精さんにお願いします!と言って現れた時間
1時間30分
「…!!」
コロンビアポーズである。神が私の味方となってくれたのである。付喪神だけに。
手伝い札を使って現れたのは自分が待ち望んでいた1時間30分の打刀。
「兼定、この刀は本丸にある?」
神気という便利なオーラで感じ取ることが出来るらしいので兼定に感知してもらう。
どきどきと結果を待つ。受験生の気分だよ!
「大丈夫。本丸にない刀のようだよ」
「おっけー!浦島くーん帰るよー」
未だにジョジョ待機してた浦島くんに一声掛けて私達は離れへと撤収した。
「?なに見てるの?」
そんな時なんだか中庭のほうを見ている兼定に声を掛けた。
中庭大きな木があって、たぶん桜だと思う。庭にも桜の木があったと思うし春になればそれは見事な光景になるんだろうねえ。と思いつつも外には出ないでゲームだろうなーと確信した。
兼定の雅な心()を擽られたのかな。
「いや、なんでもないよ」
「山姥切国広だ。……何だその目は。写しだというのが気になると?」
「正統派…王子キャラ、だと……?」
新しくやってきた打刀はなんと王子でした。
「っていうことで、離れに住んでいるので本丸側に兄弟や知り合いが居たとしても会わせてあげることは難しいので、そこんところ宜しくお願いします」
「別に構わない…どうせ俺は写しだ…ここで静かに過ごしたほうが似合っている」
……静か…?
ちらっと背後の皆を見れば全員がそっと首を横に振った。
だよな!ぜんっぜん静かじゃねえよな!
本丸にときどーき行くときに聞こえてくる短刀達の笑い声とか縁側で茶飲んでる刀達のほうがよっぽど静かに、穏やかに過ごしてるよな!!
「それにしても、この布どうにかならない?」
被ってる白い布をぺらっと捲ってやると金髪が覗く。うぐっ…美人ンンン
「やめろ。これがあれば本物の山姥切と比較されなくて済む」
ぺちんっと手を払われて布を掴んでいた手が離れて手持ち沙汰になってしまった。うーん、それにしてもこの子暗いわ。大倶利伽羅とは別の暗さだし…
その大倶利伽羅くんは現在ポップソやってるし。
「綺麗な顔してるのに勿体無い」
「綺麗とか、言うな…」
恋に落ちる音がした㍍つ
そんな曲が頭の中を駆け巡っていく。イケメンじゃん…ただのイケメンじゃん…
写しとか言いながらも写しでありながらも国広の最高傑作というプライドを持っていて、だがしかし本物と比べられる事を嫌がる。そして金髪碧目。ただの!イケメンじゃん!!性格めんどくさいけど!!
「山姥切ってばめんどくさいね…」
「それはやはり俺が写しだからか?俺を捨てるつもりなんだろう?」
「捨てないけど」
ねえ待って!この子めんどくさすぎる!誰か助けて!!
そういう目で彼らを見ようとしたら兼定・長谷部・江雪・浦島が大乱闘始めてた。なんなの!なんでそういう時に限ってお前らそんなチームワーク見せてくるの?!大倶利伽羅は愛用ヘッドフォンして完全シャットアウトだよっ!!
「あと、山姥切って呼ぶな…」
「えー?じゃあ国広ね」
「あっちに居るかは知らないが、俺には兄弟が居る…あいつらも俺と同じ国広という名を持っている」
なんだよ!じゃあお前らは一体なんて呼ばれたいんだよ!!
「いい、国広ね」
「話聞いてたか…?」
「写しとか兄弟とか知らないけど、私が最初に手に入れた国広は山姥切国広だから」
なんだその顔。っていうか兼定お前なに笑ってるの。肩揺れてるぞ。
「国広に決定!異論は認めない!
あと、はい。国広用のコントローラーね」
「こんとろおらあ…?」
何するのかって?決まってるだろ、新人歓迎大乱闘だ!!
大倶利伽羅も何かを察したのか音ゲーをやめてテレビの前にやってきた。
うむ、その大乱闘に忠実なところ審神者嫌いじゃないよ。
「写しの俺でも、出来ることがあるんだな…」
大乱闘やカートマリオを一通りやらせた感想が、これである。
「そうだよ、国広。君にだってやれることがあるんだ。
だからそんな卑屈にならないで前を向いて歩こうよ…?」
「…ああ。俺は俺のできること(ゲーム)をしよう」
彼は生まれ変わった。そう。New国広くんなのだ。
「ゲームを気に入ってくれたようで何よりだよ」
分からない言葉はこの便利なモノを使って調べてね、と電子辞書を渡す。
そして気になることがひとつだけ。布。
「ほら、やっぱりその布取っちゃいなよ」
「これは、駄目だ…」
「よく考えてみて?大乱闘で1位争いのためにサドンデスに入った時、何かの拍子にその布が落ちたりしたら…そしてカートマリオで目の前にアイテムボックスがあるというのに、その布が目の前に来てしまってアイテムを取り逃したりしたら……」
「……!!」
この世の終わりみたいな顔してるけど、これただのゲームだからね。別に大乱闘で1位にならなくても、カートマリオでアイテム取り逃したりして世界なんて終わりませんから。
「分かった。布は取ろう」
そう決めた山姥切国広くんは布を取りながら今まで見たことがない程の凛々しい顔をしていました。布取ると決めただけなのに謎のかっこよさでした。
そして現れる金髪に私は目がぁぁぁあああっと叫ぶこととなったのです。
顔だけ見れば君は王子だよ。中身はゲーム大好き根暗くん。
こんな主人公顔の根暗がいてたまるか。
「国広くん、これやらないかい?」
「兼定は新入り来るたびにテイルズオブ深淵を布教するな!!」
「いいじゃないか!同じゲームを共有するっていうことは大事なことだよ!!」
そうね!一人で楽しむより同じ話題を持ってたほうが楽しいね!!
「でもお前のせいで浦島くんが面倒な状況になってたことを忘れたとは言わせない」
「それは…まあ…うん……誰もが通る道だよ」
「頑張っても鳳凰天駆とか譜歌とか使えないから!!」
ソーサラーリング欲しいって言われた時はコスプレグッズにあったソーサラーリングを通販してちゃんと浦島くんに渡してあげたよ!それを見てた大倶利伽羅がゲーセンに置いてある初音ミクのアーケードゲームを強請ったのは流石に却下しました!!!
大倶利伽羅がものを強請るのはとっても珍しいことだったけど流石に無理です!だからそんな怒ることないじゃん!刀抜くことないじゃん!あれまやっちまった?なんか酷いこといった?っていうところまで曲が流れてきたわけですね、はい残念!
この曲通じる人居るのかな。居るといいな~…
「これは?」
「RPGってやつさ。この主人公を操作して話を進めていくんだ。これは本当に面白いから、是非!是非とも!やってくれないか!!」
「あ、ああ…わかった」
「ちょっと兼定、国広引いてるから。やめたげてよ!」
あんたのそのテイルズオブ深淵への情熱どうなってんだ!私は響き合っちゃう方のテイルズが好きなので相容れない存在ですね!!
「国広、攻略本使う?」
「……いや、とりあえず何も見ずにやってみる」
「わかった。まあ、分からなくなったら兼定に聞くと良いよ。こいつのやり込み具合マジキチだから」
兼定はやり込みあると燃えるタイプだからな…私は気に入ったものはやり込むタイプ。一回やってまあ良いか…ってものはそのまま一周で終わらすよ!
「RPGって総じて長いし何よりも深淵って更に長いんだよね…」
テレビは新入りがやってきたら暫くは新入り優先というルールがある離れです。長谷部が来た時に無双やりたい兼定とピクミソをやりたい長谷部の対立が凄かったのでそういうルール作りました!!
テレビは一個追加したからそんな凄い争いにはならないと思うんだけど。
「深淵やるなら私の執務室(オンラインゲーム室)にあるほうのテレビ使ってね。
リビングの大きめのテレビは兼定達が適当になにかやると思うし」
「分かった」
いそいそと深淵のディスクを入れに行くのを横目にこっちのテレビは仲良く使いなよーっと声をかけて私はオンラインゲームをするのと、国広の様子を見るために執務室のほうへ向かう。
浦島くんは狩人の漫画を10冊ぐらい抱えてこっちの部屋に来た。
「リビングで読まないの?」
「えー、だってなんかあっちで大乱闘始まったから不穏な会話が飛び交うじゃん」
「あー……」
対戦ゲームの鉄則:汚い言葉が飛び交う
「落ち着いて漫画読めないからこっちで読む!」
「まあいいけどさ」
リビングよりは狭いけど執務室もそれなりの広さあるし、なんら問題はない。
パソコンをつけながらチラリとテレビ画面を見ればオープニング中でした。
赤髪主人公とその赤髪さんその2って顔が似てる!って言われてもいまいちピンとこない私っておかしいのかな。なんか、そこまで顔が似てる気がしないんだよね。
雨の中髪が崩れたA君とA君を襲う主人公L君の切り合いで、パーティーの人達が「え…同じ顔?!」みたいに驚いてるシーン、共感できませんでしたごめんなさい!似てる…?うん…似てるような…そうじゃないような…ぐらいの気持ちでした。
「チュートリアルで戦闘の仕方とか出るから、まあ気にせず適当に話を進めて大丈夫よ」
こくんっと頷く金色の頭はどうも見慣れない。
浦島くんは金色っていうかオレンジだもんね…あんなキラッキラしてないもんね。
眩しいでござる。
「……」
そーっとコップに水を入れてきた浦島くんを見ながら私は言う。
「浦島くん、君には念の素質ないと思うから水の変化確認しなくていいと思うよ」
「ばれた!」
コップに水入れて力を込めるってそんなの完全に水見式の念能力判断じゃないですかヤダー
「パッと見…君はたぶん強化系」
「あるじさんも強化系っぽいよね!」
「単純と言いたいのか貴様」
「てへぺろ!」
「あざと可愛い(確信」
「夜ご飯何がいい?」
「サイダー飯!」
「なんでテイルズ作品の美味しそうな料理が所狭しと並ぶ中、ゲテモノオブゲテモノを注文するかな君は」
フルーツ焼きそばもありえないゲテモノだと思うけどサイダー飯は無いわ。
「気になる!」
「気になるのは凄く分かるけど食いたいとは思わないよ」
「あるじさんも一緒に食べる?」
「だから食わん!」
しょんぼりしてるところ悪いが、そんなに食いたいならサイダー買ってあげるから自分でご飯ぶっこんでくれ。私は責任取らないぞ。どんなに不味くても!!
「マーボーカレーがいい」
「おう。普通のラインナップを言ってくれて嬉しいぜ」
今夜はマーボーカレーです。
「国広、夜ご飯!」
「っは!」
「うん。RPGって時間忘れるよね。もう夜ご飯の時間なんだよ実は」
「すまない…つい手が止まらなくて…」
「そうだよね!深淵面白いよね?!ね?!」
「兼定の顔が雅じゃない」
「ああ。RPGというのは、奥が深いな…」
さすが主人公顔だぜ。主人公操作する系ゲームが好きなんですかね。
「はいはい。分かったからさっさとご飯食べなさい」
大乱闘がポーズ画面で止まっていたしチャンネル変えても平気そうだ。
「なんのアニメが見たい?」
そう問えば全員が全員バラバラでした。知ってた。
「深淵!」
「主命とあらば!」
「ショーバイロック」
「何でも良いです」
「銀魂!!」
「なんでもいい」
声を上げた順番は、この離れに来た順です。とだけ報告しておきます。
「何でも良いが3票だったので、ハガレン見よう」
「結局主の好みじゃないか!」
「勘の良い刀剣は嫌いだよ」
ハガレンは私の聖書ですしおすし。
山姥切国広くんがやってきて5日目。彼は3日目に始めていたテイルズオブ深淵をクリアしていた。
「ルーク…お前も写しだったのか……」
そして写しなりに自分の行動を選択した。
山姥切の写しである国広と本物のルークのレプリカだったルークくんに何か感じたらしく、国広はコントローラーを握りながら泣いていた。
とても綺麗な涙だと思ったけど、結局はゲームで泣いてるからねこの子。
「そんな泣くなって…ほら、気に入ったなら二周目やりなよ」
肩を叩いてやれば国広はテレビ画面に向き直った。
そしてオープニングで涙腺崩壊するからもうどうしようもなかった。
彼を慰めてもらおうと兼定に頼ったら兼定も一緒になって泣き出すからどうしたら良いのか本当に分かりませんでした。
深淵ってそんなに泣けちゃう?思い入れ強いと泣いちゃうのは分かるけどさ。
「泣きすきだろお前ら!近所迷惑だから泣き止みなさい!!」
「響き合うほうのOVA見て泣いてた主に言われたくない言葉だよ」
「ギクッ」
仕方ないだろ!まさかOVAで主人公の父親が主人公の頭撫でるなんて思わなかったし何より主人公が父親に抱きつくとか思わなかったんだよ!
ゲームでさらっと流される親子関係だったから更に涙腺を刺激されたんだよ!!
「まあ、国広が深淵の一周目を終えたことだし、スターリッシュを揃えよう」
「そうだな」
さっきまで黙々とポップソしてた大倶利伽羅先生が素早く立ち上がった!
大倶利伽羅先生目がガチです!流石ダンスの鬼!!
雅は死んだ:一ノ瀬歌仙
主命を選べ:一十木長谷部
ダンスの鬼:神宮寺伽羅
和睦(物理):聖川江雪
あざと全開:来栖浦島
根暗主人公:四ノ宮山姥
以上六名でお送りします。
「伽羅ってなんだ」
「いや…神宮寺大倶利伽羅って…語呂悪すぎてそうなりました」
「山姥……」
「全員上の銘で言ってるのに兼定と国広だけ下の銘ってどうなの?って思ってそうなりました」
それにしても本当に酷い配役だわ。許されるのは江雪と浦島だけだよね。他全員アウト。
これ歌王子様好きな人達に殺されないか心配になる。大丈夫?ねえ大丈夫?
月夜ばかりと思うなよ。っという深淵の幼女の言葉が蘇る。背後には気をつけようと思います!!
彼らの勇姿を収めるために超高性能ビデオカメラを購入することが決定しました!
余談ですが、この乙女ゲームのヒロインは私だよね!って言ったら全員にゴミをみるような目で見られました。審神者、泣いても…いいよね……?
ブラック本丸で楽しい審神者生活6
(ついに六人揃いました!
次はなにをしようか)