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番外編

「あるじさん、俺もそろそろ卍解が出来ても良いと思うんだよね」
私は食べようとしていたエビフライをぽろりと落とした。
と思ったら、そのエビフライを大倶利伽羅に掻っ攫われた。酷い。
「いや…俺も、って…誰も卍解なんて習得してないぞ…?」
ねえ、みんな?そう言いながらちらりと見れば全員が不自然に目を逸らした。
あ、こいつらが犯人か。

「だって歌仙さんも長谷部さんも大倶利伽羅さんも江雪さんも、卍解を使えるって言ってたんだ!!」
「なに純粋な浦島くんに吹き込んでるのお前ら!?」
「だから俺も卍解を使えると思う!」
「謎の自信!!」
卍解よりも先に始解を使えるようにしないと駄目だと思うよ!!

あ、これは違う気がした。


「そっか、始解を使えないから卍解が出来ないのか!」
「Oh…納得されてしまった…」
胸が痛むぜ。ごめんね浦島くん。

でも始解とか卍解とか、あれって自分の刀に名前を聞くんじゃないっけ?
お前ら刀じゃん?本人じゃん?名前分かってるじゃん??
いや、そういう問題ではないか。あれは二次元である。だから普通に考えて無理なんですよぉぉおお!!!だから浦島くん自分の刀を持って語り掛けないで!!自分の名前が刀の名前そのものだからああああ!!!


「え、ええっと…ほら、名前が分かってるなら、知るべきものは、口上?みたいな…
散れ千本桜とか霜天に坐せ氷輪丸とか咆えろ蛇尾丸とか…それを知らないと無理だと思うんだよ、だから諦めよう浦島くん!」
「えー!それが分かればいいんだから、もっと頑張る!!」
だからぁぁぁあああそれは二次元の話なのでぇぇえええ無理ですぅぅぅううう
「うん…頑張ってね……」
とは言えずに私は力なく応援の言葉を口にした。
おい、卍解が出来るとか言いやがったお前らも同罪だぞ。



「あるじさまー!俺、インディグネイションしたい!!」
「歌仙兼定、犯人は貴様か」
「いや…テイルズオブ深淵を勧めたらどうやらそれが面白かったらしくて魔法を使ってみたいと言い出してね…無理だよとは、言えなかった…」
「ねーあるじさまーそれが無理なら魔神剣でもいいからー!」
「…きっと、練習したら使えるようになるよ!」
「!!よーし!頑張るぞー!!」

私は考えることを放棄した。

 
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