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番外編


「なにやってんのあんたら」
右手を抑えて蹲る大倶利伽羅とオロオロとそんな大倶利伽羅の周りを歩く兼定と長谷部。
「なんだよこれ」
私はこの謎の状況に頭を抱えたいわ。


「六爪流…」
ぽつりと呟いた彼の目に映るのは戦国婆娑羅と呼ばれる戦国アクションゲームである。
そんな彼のお気に入りのキャラクターは勿論前の主である伊達政宗公。
自分の知る伊達政宗ではないが、やはりお気に入りとなった。
せんむそと云われるほうの戦国ゲームでも伊達政宗がお気に入りなのだ。
そして今回の婆娑羅のほうの伊達政宗は右手に刀三本、左手にも刀三本を持つというとても無理矢理設定のある武将である。
しかし気になった。伊達政宗の真似、してみたい。
それを手伝ってくれたのはなんと歌仙兼定とへし切長谷部の両名。
初対面時はなんともいえない険悪な仲ではあったが、ゲームを通じて三人の絆は深まった。

「うん、真似をしたい気持ち、よく分かるよ」
「俺達は打刀だからな…長さは不揃いとなるがそれで良いのなら貸そう」
「ああ…感謝する……」
この大倶利伽羅は素直である。
ゲームを通じて深め合った絆と3vs1の恐怖により彼は一人で戦うとは言わなくなった。他の本丸の大倶利伽羅とは違うのは主にそこであろう。
自分の刀を大倶利伽羅に渡して大倶利伽羅はそれを受け取り、右手に三本持ってみる。
「……」
無理だ。これは絶対に無理。
持てないわけではない。仮にも男の人型をとっている身だ。持てないわけではない。だが、無理。
「それ、絶対に振り回せないよね」
歌仙と指摘に無言で大倶利伽羅は首を縦に振った。
どこか顔が引きつっているような気がするのはたぶん気のせいではない。
持てないことはないけど、右手が攣りそうなのである。
「あ」 攣った。

大倶利伽羅は刀を落として右手を抑え蹲る事態となった。


「あんたらアホか」
「仕方ないだろう!やってみたくなったんだ!大倶利伽羅を責めるな!!」
「そうです主。大倶利伽羅を責めないでやってください。
刀を貸した我々にも落ち度はあります…!」
「やめろ…俺が試した結果だ…」
三人で庇いあう姿に私は謎の疎外感を覚える。
「なんであんたらそんな仲良いの」
私にはよくわかんないよ。男同士の友情ってやつですか。

「これで我慢しなさい」
私は眺めの定規を6個注文して大倶利伽羅に渡してやった。
大倶利伽羅はどことなく嬉しそうな顔でそれを受け取ると6個を装備してきらきらしている。
「良かったな大倶利伽羅」
なんでそんな息子を見るような目で見てんだ兼定と長谷部は。

 
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