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番外編


「俺は…なんてことを、してしまったんだ……」
へし切長谷部はごとりと手に持っていた物を落として呆然と目の前に映る光景を見つめていた。
「どうして、こんな…なぜ、俺は…!」
頭を抱えて「嘘だ、」「ちがう、」と言葉を弱々しく紡いでいく。
その姿はいつもの毅然とした姿の彼から掛け離れている。

「長谷部?」
襖が開き、そこから顔を覗かせたのは自分の主だった。
「主っ…!」
「どうしたの、何かあった?」
「主、主…!おれは…私は、私は一体どうしたら…!!」
自分の主に縋りついてぽたぽたと涙を零していく。
「え…?」
彼女は長谷部が見ていた物を見て目を見開いた。
そして彼がこうなってしまった原因がソレだということにも気付いた。
「長谷部そんなに落ち込まないで。誰にだって間違いはある」
「ですがっ…!俺はあいつらに顔向けできない…!」
「大丈夫、またみんな長谷部についてきてくれる」
だから泣かないで。ゆっくりと長谷部の背中を撫でれば長谷部はまた涙を零して呟いた。

「すまない、すまない…!ピクミソ!!!」

泣いている長谷部とそんな彼を慰める女審神者の前にあるテレビ画面にはゲームオーバーの文字が映し出されているピクミソ2のゲーム画面であった。




「へえ、ピクミソってゲームは自分の連れているピクミソが全滅するとゲームオーバーになってしまうんだね。知らなかった」
「私もぜんぜん知らなかったよー」
リビングで蜜柑を剥きながら歌仙兼定と女審神者はピクミソをやる長谷部の姿を視界に淹れながら蜜柑を口に放り込む作業である。

「クイーンチャッピーの倒し方が分からなくてとりあえず横からピクミソを投げたら、クイーンチャッピーがゴロゴロって転がってきて、連れてたピクミソ100匹全部潰された結果、ピクミソ全滅ゲームオーバーしたらしい」
騒ぎを聞きつけて歌仙もその場にやってきたわけだが、長谷部が号泣している理由があまりにも下らなくて一瞬で死んだ目になった彼は悪くない。
「で、攻略本買ってあげたんだ」
「うん。なんかすごい泣いてて可哀想だったから」
今長谷部は買ってもらった攻略本を熱心に読んで進めているらしい。
因みに歌仙は最初は攻略本無しで進んで二週目以降は攻略本を読みながらやり込み要素をやっていくタイプである。
「主!俺はピクミソ達の仇を無事に取りました!!」
「おー、良かったねえ」
クイーンチャッピーを無事に倒したらしい。長谷部の輝かしい笑顔である。
「100匹の仲間の命を奪ってしまった俺にまだついてきてくれる。
俺はもうこいつらを裏切りません…!」
まあ、データだしな。ピクミソ反抗期とかになったらオリマー涙目だよ。
宇宙船直せなくて一生帰れないよオリマー。
「…うん、がんばれ。長谷部」
「主命とあらば!」

べつに主命じゃないけど。

 
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