短歌
どうしても思い出せないパスワードあの日の僕は他人のようで
薄紅が
オムライス ケチャップで書く君の名をスプーンの背中の丸さで潰す
何年後何分何秒生きている保証のない吾はただ空を見る
あの人のおかげで好きになった曲 嫌いになるのもあの人のせい
大人にはなりたくないと言った春 安心しろよ なれないからさ
寿命とか命の残数知りたいと思わないまま蒼穹あおぐ
犬じゃないプレーリードッグ猫じゃないミーアキャットとごっちゃになった
憂鬱が重なり知ったシャンプーは腐るんだとかそういう些末
いつだって否定しないと知っていて「愛してる?」と訊いた