死人に梔子


 儚い薄ピンクに染まった桜の花。
 こんな状況だというのに、見惚れてしまいそうなほど綺麗だった。

「桜の樹の下には」
「……死体が埋まっている、でしたか」

 ケイジは桜の枝を抜き取った。
 墓石の形をした花瓶に差して様子を見る。
「……とくに変わらないね」
「はずれでしょうか」
 カイも残念そうに呟いた。


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