死人に梔子


 ぽってりとした花弁の奥に黄色いおしべが覗く椿。
 こんな状況だというのに、自然と目が吸い寄せられるほど優美だった。

「……墓に椿とは、少し不吉な感じがしますね」
「首から落ちるとかで、縁起が悪いんだっけ」

 ケイジは椿の花を手に取った。
 墓石の形をした花瓶に置いて様子を見る。
「……とくに変わらないね」
「はずれでしょうか」
 カイも残念そうに呟いた。


 他の花を選ぶ 72ページ

 他の壁を見る 42ページ
76/93ページ