「薬を飲むときは、水が必要ですね」
カイは机上のコップを手に取った。常温の水だ。
コップの縁を絵に押し当て、舌を出している口元の空洞に流し込んでみる。
水は、絵の中へ静かに注がれた。
次の瞬間、絵から勢いよく水飛沫があがる。
「っ!」
ケイジは素早く後ろに下がり、カイもサイドステップを踏んで回避した。
俊敏な動きに、ケイジがわずかに目を丸くする。
「……ぼんやりしてると思ってたけど、反射神経は悪くないみたいだね」
「そうでしょうか」
二人はそのまま絵を観察したが、とくに変化は見られなかった。
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