死人に梔子
壁の絵は、それなりに大きかった。
ケイジが両腕を広げ、ようやく端から端まで届くサイズだ。
眉を寄せた男の子が「べーっ」と舌を出している。
背景は、カプセルや錠剤の形をした、多種多様な薬の模様だった。
「薬を嫌がる子どもの絵……でしょうか」
「まあ、たいていの薬は苦いからね」
絵を見上げながら首を捻るカイ。ケイジは、壁の前に置かれた机を見た。
机上には、いくつかの小物が置かれている。
コップ一杯分の水。
透明感のある、焦げ茶色のゼリー。
イチゴの乗ったショートケーキ。
「薬を飲む手助け、とかかな」
「舌を出している口元……よく見ると空洞になっています」
「そこに、どれかを……?」
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