まとめ



 「ごめんね」と「ありがとう」とを丸めてはおやつの団子を頬張る夕焼け(太閤左文字)


 寂しさを集めて早し最上川 流れ流れて君に辿り着く(髭切)


 流れゆく鳥と魚と波と雲 名など知らずに風に吹かれる(五月雨江)


 品定めガイドブックをめくる手は理想の旅を求め彷徨う(小竜景光)


 魂や命の在処ありか 違えどもいま隣り合う熱こそ愛だ(加州清光)


 道草と戯れ過ごす十一時 吹き抜けていく夏の始まり(五月雨江)


 居並ぶはペットボトルの乱反射 効きゃあしねぇがなんか腹立つ(南泉一文字)


 ぱちぱちと拍手にも似た炭酸を汗拭き喉に流し込む午後(愛染国俊)


 浮かんでは弾ける気泡 海原へ駆けてく君の手にソーダ水(北谷菜切)


 まだ青い果実が熟れて食える日を迎えるためにおれは死なねぇ(肥前忠広)
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