まとめ



 枕にも付喪の神が宿るかなぬぐった涙は俺らの秘密(鯰尾藤四郎)


 枕にも付喪の神は宿るのか?……いつも涎を垂らしてごめん(包丁藤四郎)


 言の葉を夜半の底に敷き詰めた寒さ寂しさしのげるように(不動行光)


 薄明にまどろむ残月「おやすみ」と労をねぎらい今日が始まる(三日月宗近)


 〇×まるばつをつける朱墨しゅぼくが指に垂れ正解のない戦場思う(一期一振)


 昔日を惜しむ斜陽の断末魔 蝉声せんせい降った遠い夏の日(秋田藤四郎)


 合戦だそこのけそこのけ遡行軍 血煙あげて我らが通る(源氏組)


 古箪笥 動かし見えた床板に箪笥の形の埃が残る(泛塵)


 「左様ならば」後に続ける一言を見つけられずに「さよなら」と言う (小夜左文字)


 ひとひらの花びら降って天仰ぐ 落としましたよ うろこ雲さん (秋田藤四郎)
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