まとめ



 人の手が口が心が生み出した僕らは笑う人間みたいに(一文字則宗)


 人間の手の熱を知る俺たちは最も人に近い神様(鯰尾藤四郎)


 雨音が掻き消す嗚咽 叶うなら俺のことまで消してくれよ なあ(不動行光)


 濃紺の緞帳どんちょう落ちて「また明日」今日の終幕おわりを告げる星月(薬研藤四郎)


 おひたしのほうれん草の鉄分に問うは「僕たち刀ですよね」(堀川国広)


 花びらをちぎって分ける「好き」「嫌い」最初はただの「愛」だったのに(加州清光)


 膝を抱き雫ひとすじ伝う頬 涙じゃないよ汗だよこれは(浦島虎徹)


 美味い飯 綺麗な景色 知るたびに ふと思い出す 前の主を(愛染国俊)


 「すまない」も「ありがとう」とも言えぬままゴミの袋を静かに捨てる(静形薙刀)
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