A.I know
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自室のパソコンの前に座る。
しかし、手が一向に動かない。
なんだろう、この気持ち…
こんなに素晴らしい曲を貰って、嬉しい気持ちだけが先走る。
少し、風にあたろう。
そう思ってテラスに出たり、必死に思考を巡らせたけど、答えは出なかった。
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次の日の早朝、歌詞を考えようと散歩に出かけた。
まだ日が昇っていない湖のほとりに座り込む。
こんなのは初めてだった。
今まで作業が進まないことなんてなかった。
なんで。
思いがまとまらないことが、原因なんだろう。
でも、今の気持ちが、自分でもわからない。
「これがスランプっていうもの、か…」
「美風先輩…?」
突然朝の澄んだ空気を震わせたのは、彼女の声だった。
「ごめん。行き詰まってる」
「そうなんですか」
彼女は責めることも、同情することもしなかった。
「美風先輩の今の気持ちを、音にしてほしいんです。誰かに、伝えたいことを音に…」
「ボクの、気持ち…」
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数日間考えたけど、状況は変わらなかった。
ただ彼女の表情と、言葉だけが頭に浮かんで。
仕事の合間も、常にそのことを考えていて。
「アイアイ!お~い、アイアイ?」
収録が終わってから、楽屋でレイジに呼ばれ、ふと我に帰る。
「ごめん。何?」
「何?じゃなくて!アイアイも案外わかりやすいんだね~。悩み事なら、人生の先輩であるこの嶺ちゃんになんでも打ち明けちゃいなよぉ~」
「悩み事…。まぁ、レイジは一応年上だし、話してみてもいいかも。」
「うんうん!一応って言葉が引っかかるけど、言ってごらん!」
ボクは、彼女に出会ってからの自分の状況を話した。
この感情のわだかまりについて。
「教えてあげようか、その感情のこと」
「うん」
「それ。恋、だよ」
恋…?
恋、とは。男女が互いに恋い慕うこと…
ボクは、彼女のことが好きなの?
「アイアイのそのモヤモヤな気持ちに、恋って当てはめてごらん。」
こんなに悩むのは、彼女が好きだから…?
彼女に出会ってから、ずっと彼女のことを考えてるのは好きだから…?
この鼓動は、好きだから…
好き…
彼女が好きだ
「これでもう、歌詞のテーマは決まったね。また行き詰まったら、嶺ちゃんに相談してっ…て、おーーい!アイアイ!」
レイジが何か言い終わる前に、走り出していた。
寮に急いで戻り、パソコンに向かう。
考えるのは、彼女のことだけ
できた
彼女に、講堂に来て、と連絡をして、ボクは走った。