A.I know
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ドアを開けると、部屋にはピアノの音が響いていた。
ーーーーあの子だ…
奏でているのは、この間聞いてからずっと頭の中から離れないあの曲。
楽しそうな表情でピアノを奏でる彼女は、息をするのも忘れるくらい綺麗で。
がちゃっ、とドアが閉まる音と共にピアノの音が止んだ。
「お待ちしてました!お忙しいところすみませ…えっ…?」
彼女が言い終える前に、ボクは彼女の手を引いて、再びピアノの前に座らせた。
彼女の目が驚いたようにボクの目を見つめている。
ドキッ……
なんだろう、この動悸。
「あ、あの…」
「もう一回さっきの曲、弾いて?」
「は、はいっ…」
彼女はなぜか少し顔を赤らめて、再び弾き始めた。
気づけば、ボクは曲に合わせて歌っていた。
ずっと頭のなかでループしていたから、だいたい覚えてしまった。
ボクが歌い始めると、彼女は少し驚いたように、でもとても嬉しそうに微笑む。
ボクの歌も、彼女の演奏も、徐々にノってきて、初めて合わせたとは思えないほどだ。
曲が終わると、彼女は目を輝かせてボクを見つめる。
「ボク、この曲かなり好きみたい」
「あ、ありがとうございます‼︎」
「これ、なんていう曲?」
「これ、美風先輩に書いた曲なんです。例の新曲の。」
「…ほんと?この曲が、ボクの…」
「はい!美風先輩をイメージして作ったんですけど、最後イメージがまとまらなくて…。でも今、先輩と合わせて、完成しました!」
彼女は流れるような手つきで、あっという間に五線譜に音符を書き込んだ。
「出来ました」
こんなに綺麗な目は初めて見た。
楽譜を受け取る。
「何かありましたら、教えてください」
「…歌詞、書いてくるから」
そう言うと、彼女は笑顔で頷いた。
ボクは早速歌詞を書こうと、自室に戻ろうとした。
でも、ドアを開けたときに思い出したことが一つ。
「キミ、名前は?」
「あ、すみません!夢中で名乗り忘れてました。名無名無しです。」
「そう。
ありがと」
ボクは高鳴る鼓動の理由もわからず、自室に足早に戻った。
なんだろう、この気持ち。