指先から恋が始まる
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「で、どんなデザインがいいんだよ。」
後日、私はネイルセットとネイル雑誌を揃えて翔ちゃんを部屋に招待した。
「これがいい」
私はピンク色の清楚なデザインを指差した。
「ふーん…いいぜ。早速やるぞ?」
「お願いしまーす」
翔ちゃんは私の手を取った。
「なかなか綺麗な爪してんじゃねーか。」
「そ、そう…?」
そんな素で褒められると、なんだか少し照れてしまう。
「お、おう。爪は整えてあるな。甘皮もオッケー。じゃ、塗ってくぞ」
一本ずつ丁寧に、仕上がっていく。
翔ちゃんの横顔は真剣そのもので、一生懸命してくれてるっていうのがなんだか嬉しい。
「翔ちゃんってさ」
「ん?」
「まつげ長いよね。」
横顔を見てて気づいたこと。こんなに至近距離で見たことなんてなかったから。
「そ、そーか?なんか、女子みたいであんまり嬉しくねえけど…」
「そんなことない!羨ましい」
「そうか…?…ってか、そんなに見られると恥ずかしい…」
作業から目を離さないまま、少し赤くなる翔ちゃん。
「あ、ごめん。」
「いや、謝んなくていい」
なんだか気まずい空気。
なんか、鼓動が速い。
「…よしっ、できたぞ。」
「ありがとう。うわぁ、すっごく綺麗!」
自分の爪とは思えないくらい、ピカピカで、おしゃれになっていた。
「あ、おい!あんま動くな。乾くまでじっとしとけ。」
「え、まじで?」
「当たり前だろ。」
「う~。じっとしとけって言われたら動きたくなるー。しかもなんか手が動かせないっていじらしい…」
「だめだ。じっとしとけって。乾燥機ねーし。」
「え~。乾くまで暇じゃん。楽譜ちょっと直したりしちゃダメ?」
「ダメに決まってんだろ。あーもう、そんなに動こうとする奴は……こうだ。」
立ち上がろうとした私を、翔ちゃんは急に後ろから抱きしめた。そしてソファに戻される。
ソファに戻されても、翔ちゃんは離れなかった。
「翔…ちゃん…?」
恐る恐る問いかける。
「じっとしとけって言ってるだろ。」
いつもより、翔ちゃんから男らしさを感じる。
「……」
何も言えず、沈黙が続いた。
いつもなら、ぽんぽん言い返すのに。
「…きだ」
「え?」
「だから、好きだっつーの。」
抱きしめられたまま、耳元で囁かれた。普段聞かない、真剣な声。
突然の言葉に、さらに鼓動が速くなる。
「翔…ちゃん…」
「いつも、バカ言ってふざけたりしてるけど…。ずっと、好きだった。俺、素直じゃねーから、お前の顔見ると天邪鬼なことしか言えなくて」
「好き…」
「えっ…」
「私も翔ちゃんのこと、好き。すごく、大好き。」
「なっ…///」
「実はこのネイルのカラーも、翔ちゃんのイメージカラーを意識して選んだの。」
翔ちゃんが私の肩口に顔を埋める。
「ほんと、お前には敵わねーよ。」
「翔ちゃん、顔見たい」
「今はダメだ。すっげー情けない顔してる。」
「いいじゃん。見たい」
すると翔ちゃんは、抱きしめる腕を少し緩めてくれた。
後ろをゆっくりと振り返る。
その時、急に引き寄せられて、唇に柔らかいものが触れた。
それは、翔ちゃんの唇で。
ゆっくりと離れて、今度は正面から抱きしめられる。
少し見えた翔ちゃんの顔は、赤くて。
「翔ちゃん、顔真っ赤だった。」
「…言うな。お前も耳真っ赤だ。」
「翔ちゃん、震えてる…?」
抱きしめている翔ちゃんの体は、少し震えていた。
「…なんか、すげー緊張してる」
普段の威勢の良さからはかけ離れた翔ちゃんの姿に、少しときめきを感じる。
気持ちが、溢れる。
「そういえば、貸し1使っちゃった。」
「バーカ。ネイルなんていつでもしてやるよ。」
翔ちゃんの優しさがこもった声。すごく好き。
「しかも、今日から俺はお前の彼氏なんだから、俺にできることならなんでも叶えてやるよ。何かあったら、すぐ駆けつけるし。」
私の頭を撫でながら、少し体を離して翔ちゃんが微笑む。
やっと顔が見れたけど、やっぱり赤い。
翔ちゃんの透き通った目に映る私も、赤いけど。
「じゃあ、女装してって言ったらしてくれる?」
「やるかよバカ」
「えー、なんでもしてくれるって言ったじゃーん」
「お前の前でだけは、カッコつけさせてくれよ。」
そういうと再び、翔ちゃんはキスを落とした。
今日の翔ちゃんはなんだか、すごく男らしいです。女装の時とは違って。
「おまえそれ以上女装のこと言ったら…」
「ごめんなさいもう言いません。」
END. ずーみん様へ→