「檜佐木副隊長」

夜の飲み会の話をし終えて帰ろうとしていた檜佐木を呼び止める。

「どうした、暁」

「今日は非番なのにありがとうございました」

死覇装を着ていない檜佐木に頭を下げて見上げる。

「あの、二人で出掛けるというお約束、今日これからでもよろしいですか？」

「マジで！？」

今日この一日を、自分と過ごすとは思ってもいなかった。

少しは期待していいのだろうか。

「死覇装でデートも悪かないけど、折角だから着替えて来いよ」

「はい。では後で」

笑って別れて自分の部屋に戻って着替える。

死覇装を掛けて感慨深げに見つめる。

もう着る事はないだろう。

捕捉不可能な義骸ならば、姿を眩ませてしまえばいい。

虚に食べられるのはやはり、痛いのだろうか。

隊舎の前に檜佐木が腕を組んで壁に凭れて待っていた。

「どこに行きたいんだ、暁は？」

約束を果たす事しか頭になくて、考えてもいなかった。



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