操り人形
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涙が込み上げてきた時、そっと壊れ物を扱うように片腕で優しく抱き締められる
密着した体からは潮の香りがした
海軍の男なのだろうか
耳に口付けられて男の顔を見上げれば、力強い優しい眼差しに捕らわれる
吸い寄せられるように、二人の距離がなくなっていく
ハッとして背伸びをやめ、顔を背ける
『私、明日結婚するんです。…何も知らないまま、このままでいさせて下さい』
何も知らないままなら、いつかは忘れる事が出来る
「…シャンクスだ」
囁かれた名前に顔を見れば、優しく口付けられた
姫の目から涙がこぼれ落ちた
知らないままなら、この淡い気持ちも無視出来た
もう、はっきりとシャンクスが胸に刻まれて忘れるなんて出来ない
出逢った時にもう、捕らわれていたのだ
抱き合って互いに舌を絡ませて口付ける
『…っはぁ、もう行かなきゃ…』
離れたくはないが、行かなければ変に思われる
現実に、戻らなければ…
「向こうの人間には、少々眠って貰ってる」
『どういう、事ですの?』
突如発せられた剣呑な言葉に体が固まる
海軍だと思っていた目の前の男は、おどけた様子で自分は海賊だと告げた
『海、賊…?』
「覇気に当てられて皆、気絶しちまったからな。逃げるなら今だぜ?」
少年のように笑うシャンクスに、恐怖は感じない
「俺は海賊で右腕しかないけどさ、それに年も大分離れちまった親父だけどな」
おどけていたシャンクスが年の事を言うと、ズーンと落ち込んだ
それでもすぐに立ち直って真顔になる
「お前を守ってみせるから一緒に来ないか?姫」
『…私、は、戦う力も何も出来ません。それでも貴方は連れて行って下さるの?』
声が震える
目の前に自由があるのに、シャンクスの足を引っ張るのが目に見えて一歩が踏み出せない
「出来る事はあるさ。頭の俺の横で花のように笑って、俺を愛してくれ」
涙を流す姫の胸に、シャンクスの右手が伸ばされる
「ここに強い望みがあるだろう?」
何もかもを諦めたような顔をしながら、眼には強い輝きを自由への渇望を宿していた
その凛とした姿に一目で落ちた
心から欲しいと思ったからこそ、ここまで奪いにきた
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