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巻き込まれないよう距離をとる。ロキの操るキュイラスが、片手のチェーンソーで魔導アーマーの腕を切断した。地面と激突して轟音が響き渡る。
─予定通り。
出撃前、ハンターへの指示を出した後、ロキは地図の中の一点を指した。
「格納庫に魔導アーマーがあるはずだ。それを起動して、魔導兵を蹴散らす」
あ、と思って無線を繋ぐ。機械の駆動音に負けないよう、声を張り上げた。
「ロキ!今日は爆発禁止だからね!」
「そう仕向けてるのはお前らだろうが!」
キュイラスのスピーカーから怒声が飛び出して、鼓膜がびりびり震えた。慌てて耳を塞ぐ。次はちゃんと、無線の方から声がした。
「こいつは本体の上部に基盤がある。俺を足場にして移れるか」
「いいよー、任せて」
助走をつけて前腕部へ跳ぶと、肩へ投げ上げられた。体勢を立て直し、暴走する機体へ飛び移る。キュイラスと魔導アーマーの腕がぶつかり合った。衝撃で振り落とされそうになる。
「落ちるなよ!」
「だったらもっと上手くやってよ!」
「減らず口の多い奴だ!」
「お互い様でしょ!」
金属の出っ張りを掴んで身体を持ち上げ、立方体の形をした本体によじ登る。装甲の一部にボルトで固定された場所を見つけた。切りつけると火花が散る。
「あー、刃こぼれしそうで嫌だなあ」
鉄を斬るには力任せでは駄目で、コツが要る。上手くやらないと刃がぼろぼろになって、シドにどやされる。息を吸って刀を振りかぶった。
どん、と横から衝撃がきてバランスを崩す。舌打ちが漏れた。
「◯◯◯!」
「……大丈夫」
周りの音が消えた。柄を握る手と、刀が一体になる。ゆっくりと動くしんとした世界の中で、鉄の表面に線が見える。何も考えず、一気にそこ目がけて振り下ろす。
すっぱりと装甲が斬れた。
「おー、最高の出来!」
「いいから早くしろ!」
本当に偉そうな奴、と毒づきながら切れ目に刃先をねじ込んで、こじ開けると大量のケーブルが繋がった基盤らしきものがあった。何度か刀を突き立てると容易くヒビが入り、割れる。同時に暴れていた機体が動きを止めた。
「よし、魔導兵の方へ向かうぞ。肩に乗れ」
「はいはい」
近づいてきたキュイラスの肩部分に飛び乗り、適当に出っ張った所を掴む。風を切って動き出すと太陽の光がちょうど当たって目を細めた。遠く、基地の入口近くに、小さな人影が動いているのが見える。
*
「あれ、もう終わっちゃった?」
ようやく魔導兵を片付け終えて、やれやれと一息ついた頃、アラネア率いる一隊が現れた。日は西へ傾き始めている。
「手伝いにきてくれたの?ちょっと遅かったね」
「あんたの彼氏に、心配だから様子を見に行ってくれって頼まれたんだよ。こっちは帰ってきたばかりなのにさ」
愛されてるね、と言われて◯◯◯は照れ笑いするしかない。彼氏?とロキがこちらを向いた。
「ビッグスとウェッジ、どっちだ」
「ねぇねぇ今日一日の中でそれっぽい場面が一瞬でもあった!?」
「そいつが心配してアラネアが動くとなると、この二人しか考えられないだろ」
「違うわよぉ」
アラネアがニヤニヤしながら◯◯◯の肩にもたれかかる。鎧の金具が刺さって痛い。
「コル・リオニス♡」
「ちょ、アラネア、ハートは要らないから」
「なに照れてんのよもう」
脇腹を肘でぐりぐりされて、何か尖ったものが刺さる。い、痛い……。
「コルだと?それこそ、今日一日の中でそれらしい場面が……あっ」
ロキが凍りついた。
「切り刻むって言われてたじゃん」
「どういうこと?まあ予想はつくけど」
「たぶん合ってるよ」
「愛されてるー!」
「恥ずかしいって!あとさっきから何か刺さって痛い!」
アラネアとわあわあ騒いでいると、低くロキが何か呟いた。
「ん、何て?」
「つまり俺は、お前らがいちゃつくのを目の前で見せられていたのか……」
「何言ってんの!?」
「まあそういうことになるんじゃない」
「アラネアも何言ってんの!?」
適当な相槌にも関わらずロキが憤怒の形相になった。予想の斜め上をいく展開に◯◯◯は一人で焦る。
「コルめ……どこまで俺を馬鹿にするつもりだ」
「濡れ衣だよ、落ち着いてよ」
「やっぱりムカつく奴だ……!」
「ロキー!」
無責任にアラネアが爆笑している。敵愾心に火のついたらしいロキの姿に、どっと疲労感が押し寄せて◯◯◯は頭を抱えた。
世界の危機より厄介かもしれない。
終