kiing field
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
徐々に闇が増えてきた世界でも、レスタルムの日差しはやっぱりきつい。薄暗いカフェの中へ入り◯◯◯は息をついた。奥のテーブルに向かう。席についているのは二人。
「おはようございます」
おはよう、とコルが傍らの椅子を引いてくれる。隣に並んで座ると、壁の方を向いていた青年がこちらを向いた。見覚えのある人物に◯◯◯は目を瞬く。
「ロキ?」
「久しぶりだな」
一応イケメンの部類に入る整った顔立ちにでかい態度、ニフルハイム帝国のロキ准将だ。生きてたんだ、と心の中で呟く。アラネアから途中で別れて生死不明と聞いていた。
「えーと……元気してた?私は元気だよ」
「見れば分かる……その馴れ馴れしさは何なんだ」
「だって無事で良かったって言うのも変だけど、死んでほしかったわけじゃないし」
敵であったしルシス滅亡に関与してもいるのだが、今こうして顔を合わせても憎しみが湧いてこない。◯◯◯は人の死を簡単に望めない性質だった。気まずい沈黙を、コルの咳払いが破る。
「ロキも今回の任務に関係してるんですか?」
「帝国の基地跡で、魔導兵が暴走しているという情報が入った。それを鎮圧してほしい」
広げられた地図の一点をコルの指が示す。インソムニアからやや離れ、あまり馴染みのない地域だ。
「基地のことなら俺が詳しい。貴様は俺の指揮下に入って働け」
「現地近くの拠点にハンター達がいるが、戦力的に心許ない。合流してサポートしてやってくれ」
「あ、はい。分かりました」
同じ内容で言い方がこうも違うのかと驚きながら頷く。アラネアよりも帝国に忠誠心の強い彼を、監視する意味合いもあるだろう。
ふんとロキが鼻を鳴らして傲然と顎を上げた。
「人手不足と聞いていたが、まさか二人で行かせるとはな。道中、俺がこの女を背後から斬るとは考えないのか」
随分な言い草だ。やっぱりこいつは死んでた方が良かったかもしれない。
コルが首を傾げた。
「◯◯◯が遅れをとるとも思えないが。まあ仮にそうなった時は、俺が地の果てまでもお前を追って、切り刻んでやろう」
どこまでも冷静な口調がかえって怖い。ロキが何かを言いかけて、悔しそうに黙り込んだ。
どちらが車を運転するかで、早くも揉めた。
「下働きと言ったろう。貴様がやれ」
「運転するのは全然構わないけど、言い方がムカつくからヤダ」
「何だと!」
騒ぎを見兼ねてシドニーが、物資輸送のついでに乗せてくれることになった。幌のかかった荷台へよじ登り、荷物の間に腰を落ち着ける。エンジンがかかってすぐに動き出す。
「ところで、お前はルシス人なら魔法は使えるのか?」
「いや全く」
「ふん、脳筋女め」
「あんた本当になますにされるよ……お前じゃなくて◯◯◯ね。ちゃんと名前で呼びなさいよ」
随分と失礼なことを言われているが、さっきの脅しにめげない姿に怒りよりも呆れが勝った。この坊ちゃん、考えが全部口に出る。
「そういう自分こそ魔導アーマーに乗ってなくても戦えるの?」
「当然だ。栄えある帝国軍人として、一通りの武術は押さえている」
「あそう」
いちいち栄えあるとか付けてくる所が鬱陶しく、こちらの方が背後から斬りたくなってくる。げんなりと天を仰いで、それから一つ思い当たった。
「ロキさ、帝国軍人のステータスを前面に押し出すのやめた方が良いよ。ニフルハイムを良く思ってない人、まだいっぱいいる。ルシス軍には特にね」
今回、基地攻撃にやや戦力としては弱いハンターを当てるのは、コルなりの配慮もあるだろう。王の剣と帝国軍准将を引き合わせると彼がリンチに遭いかねない。
「まるで自分は違うとでも言いたげだな」
「私はコル将軍の命令が第一だから」
*
「着いたよ。気をつけてね」
荷台から降りるとニヤニヤしたシドニーに肩を叩かれた。
「喧嘩しないようにね。◯◯◯の方がお姉さんなんだから、我慢して」
「何で急に子供を諭す調!?」
「俺をガキ扱いするな!」
「はいはい、また後で迎えに来るからね。じゃーねー」
軽快にクラクションを鳴らしながらトラックは去って行く。それを見ていたのだろう、近くに張ってあるテントから男が出てきて◯◯◯たちの方へ歩いてきた。
「助っ人が来ると聞いてたんだが、君だったのか」
「そ、よろしく」
顔見知りのハンターは、傍らに立つ人物に目をとめて怪訝そうに首を傾げる。
「彼は基地に詳しい人」
「ロキだ」
説明するのも面倒で適当に言ったのが不満だったらしく、ぎろりと睨まれる。他にどう言えば良いのか、やれやれと溜め息をつきながらテントへ入り、他のメンバーとも顔合わせを済ませた。ベテランが揃っている。
「山を背にした基地で、地上から確認できる施設は小規模なものだ」
机の上に広げられた手書きの地図を見て、ロキが頷く。
「ここは地下はない。岩盤が硬く、掘削が出来なかった。見えているものだけで全てだ」
「……君は帝国の人間か?」
「言ったでしょ、基地に詳しい人って」
ハンター達がちらちらと目配せを交わす。結局、ぼかして紹介した意味はあまり無かった。雰囲気が険悪にならない内に話を進めた方が良さそうだ。
「で、魔導兵の数は?」