xxxo
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*戦友の世界です
標までまだ遠く、野営をしようと目星をつけた建物は学校だった。
「この間の避難で廃校になったみたいですね。そこまで荒れてない。電気も水道も止まってますけど」
◯◯◯と二人、一通り校舎内を見て回る。上の方のフロアにある教室が比較的綺麗で、一晩過ごす分には何とかなりそうだった。火は使えないが、幸いこの辺りは温暖な気候だから凍えることはない。
「周りの住宅もそれほど荒廃していなかったしな。あまりシガイが出ない地域なのかもしれない」
「念の為、ドアは塞いでおきましょうか」
手分けして、教室内に残された机を出入口へ積む。この程度のバリケードではシガイの侵入を防ぐことは出来ないが、時間稼ぎにはなる。◯◯◯が空いたスペースへ余った机と椅子を引っ張ってきた。あ、と小さく声を上げる。
「将軍、これ見てください」
天板に鋭利なもので文字が彫ってあった。学生の落書きだろう、古びて縁が滑らかになったものから、まだ彫り跡も新しく木の白さが目立つものもある。
i luv u!
「……どういう意味だ?」
「えー!知らないんですか?I love youのスラングですよ!」
luv……と頭の中で発音してみる。四文字を三文字に省略することに意味はあるのか。
「俺の頃には無かった」
「今、世代を感じました」
それはそうだ。コルと彼女では二十近く歳が離れている。学生時代の方が世代間の差は大きい。
「私たちの頃はこれよく使いましたね」
◯◯◯が別の落書きを指す。窓から射し込む夕日が、彫られた文字の陰影を濃くした。
love ya xoxo
「xがキスで、oがハグって意味です」
「……よく思いつくな」
「将軍の頃はどういうのが主流だったんですか?」
「単に何々は誰々を愛してる、とかだった気がするが。あまり覚えてないな」
「『◯◯◯はコルを愛してる』」
無邪気な口調で◯◯◯が言う。後から気恥ずかしさを覚えたのか、取り繕うように話題を変えた。
「こ、これを書いた人たちは無事に避難できたんでしょうか」
「そうだと良いな。確かレスタルムへ収容したはずだ」
そっか、と白い指が文字を撫でる。
「何か、懐かしいな……」
郷愁を覚えるということは、彼女も同じことをしていたのか。◯◯◯の腰を引き寄せる。誰へ向けて書いたんだ?聞く代わりに唇を塞ぐ。
xとo。
……過去に嫉妬するほど若くない。
出会う前のことを考えても意味はないと、分かっている。
ただ何となく、面白くない。
◯◯◯の手が腕を撫でる。教室でクラスメイトとキスをした経験はない。そういうことに憧れた記憶もない。でも彼女は?考えまいとしても、脳は勝手に疑問をあげつらう。
振り払おうと、もっと深くキスをする。
蠱惑的な光を湛えた瞳が、息のかかる距離からコルを見た。
「……ん、もうちょっと」
「欲張りだな」
もっとも、愛してると言われても過去に妬く方が強欲だ。己の貪婪さに呆れながら、満たす為にキスをする。
机にはお前の全てが欲しいと刻んでおこうか。
終