あの日の約束
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今度こそ駄目かもしれない。
そう思いながら、コルはまた一歩足を踏み出す。歩くたびに全身が悲鳴をあげ、もう無理だと訴えた。このまま地面に横になって、死を待ってしまいたい。
そうすれば楽になれる。傷の痛みも、仲間を失う心の痛みも全て無くなる。
爆撃のあとはまだ砂塵が舞い、ものの焼ける臭いが漂っている。煙が目に入って涙が滲んだ。
こんなに苦しい思いをして、戦う意味あるか……?
警護隊に入隊した頃は戦場の過酷さを知らなかった。今は違う。死が一つの安寧であると知るくらいには、色々なものを見た。
歩くのをやめればいい。帰還しなければいい。そうすれば楽になれる。コルが戦死すれば家族には遺族年金が出る。少しは生活の足しになるだろう。犬死にだが、兵士はたいていそうだ。自分だけが特別に華々しく死ねるなんて思わない。
──それなのに。
痛みに呻きながら、コルは一歩ずつ歩みを進める。頭の中に彼女の声がする。
『絶対に生き延びて』
生きていたら、そうしたら。
『いつか会えるから』
たった半日一緒にいただけなのに。もう顔も上手く思い出せないのに。それでもその声は、コルを叱咤し、奮い立たせる。
「絶対に、生きて帰る……」
あの日の約束がコルを生かしている。
終