君にあげよう
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*バレンタインの話
「年上の人へのバレンタインて、何あげればいいんだろ」
そう零すと、ビールをグラス半分ほど一息に飲んだクロウがニヤニヤした。
「コル将軍への?」
「そう」
そりゃお前、とリベルトがテーブルを叩いた。ぐっと親指を立てて片目を瞑る。
「手作りだよ。なあニックス」
「そうだな。まあ『◯◯◯の』手作りを食べたいかは別問題としてな」
「ぶった斬るよ」
「すいません」
「買った方が美味しいのに、本当に手作りがいいの?大体さ、手作りって言うけど再加工じゃない」
リベルトがdamn it!と天を仰いで嘆きのポーズをした。
「いいんだよ、カカオから作ってくれなくても!味が問題じゃないんだよ!彼女がとにかく何か手をかけてくれたってのがいいんだよ!なあニックス!」
「初めてのバレンタインだろ?手作りにしておけ。簡単なやつでいい、作るんだ」
いきなり始まった野太い声での手作りの輪唱に、たじたじとして◯◯◯は頷く。
「分かった、分かったから。信じるからね。作ってみるよ」
*
コル将軍の執務室、クレイラスからの伝言を終えてモニカが退室しようとした時、後ろから呼び止められた。
「一つ聞きたいことがある」
「何でしょう」
デスクに座った不死将軍は、顎の下で手を組み、生真面目な顔をしている。
「二十代への贈り物を探しているんだが」
それはバレンタインのプレゼントということか。『の女性』が抜けていると思っていいだろうか。頭の中でゴシップセンサーが作動した。
「どういった方ですか」
「活発だが浮ついたところはない。高級なブランド品には興味が無いようだ」
「◯◯◯ですか」
「よく分かるな」
モニカも警護隊へ入って長い。彼に女の影が無いことは知っているし、特別な関係になるとすれば側近の彼女くらいだろう。
「彼女、バイクのパーツが欲しいみたいですよ。先日サスペンションがどうのと話していました」
「パーツか……ハンマーヘッドへ行くか」
「言ってからあれですけど、バレンタインには色気がなさすぎます」
それもそうか、と将軍は再び考え込む。このままでは◯◯◯は何を貰うか分かったものじゃない。可愛い後輩のために、モニカも思案を巡らせた。
「ピアスはどうですか?シンプルなデザインなら、失敗も少ないでしょうし」
「あいつ、穴を開けてたか?」
「……将軍の目は節穴ですね」
*
「いつもありがとうございます」
バレンタイン当日、用意しておいた箱を渡すと、コルの纏う空気が少しだけ軽くなった気がした。……たぶん、喜んでくれてるんだろう。
「俺からも渡すものがある」
無造作にぽんと渡された箱は、ちんまりしているがデザインが可愛らしい。開けてみると小ぶりなピアスが入っていた。星の形の中央に、青い石が嵌っている。
「わー可愛い!」
「俺はよく分からないからな、モニカに協力してもらった」
「モニカに?今度お礼を言わないと」
がさがさ音がするので見ると、彼はさっそく蓋を開けて◯◯◯の作った菓子を食べている。恐らくリベルトとニックスの言葉は正しかった。稀に見る勢いの良さだ。
『絶対喜ぶわよ』
ということは、クロウのアドバイスも的を射ているだろう。
「今日はバレンタインですから」
ボタンを外してワンピースを脱ぐ。この日のために脱ぎ着しやすいものを選んだ。下はレースのひらっとしたキャミソール、色はもちろん黒。
目を瞠るコルの膝に飛び乗って、するりと首へ腕を回す。
「召し上がれ」
終