彼と彼女の
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「将軍、十三時からの会議は私だけ出ますか?」
◯◯◯に声をかけられて、読んでいた報告書から顔を上げる。
「いや、俺も出よう」
二人で執務室を出てエレベーターへ乗った。操作パネルの側に立つ彼女の背筋はぴんと伸びて、白い頸へ繋がる。
昨夜も目に残った、その肌の白さ。
シーツの上に四つ這いにさせて、後ろから責めながら背中を撫でると、身体が震えてのけぞった。
喘ぐ合間に掠れた声がコル、と呼ぶ。将軍、までつける余裕がない時、たぶん無意識に。
首筋に舌を這わせる。薄暗い部屋の中にぼんやりと白い肌が浮かび、ランプの明かりが肩の間に影を作る。肩を噛む。◯◯◯の身体からは甘い匂いがして、それが更にこちらを煽る。
コル、と呼ばれて顔を上げると、艶めかしく潤んだ瞳とぶつかった。
軽い音がしてエレベーターが止まり、コルは追想から覚める。黒い花崗岩で作られた廊下を歩きながら、◯◯◯が伸びをした。
「眠いなあ。長引くとやばいかも」
「そうか」
伸びをしてがら空きの脇腹を掴むと、変な声を出して跳び上る。
「ななな何なんですか!?」
「眠気が覚めるかと思ってな」
「絶対もっと他のやり方ありますよね!?」
抗議の声はさらりと無視して、会議室へ向かう。眠いのは昨夜のせいだろうとは、本人には言えない。
*
コルがディスプレイを凝視する。思案するように顎に手を当てて、目は忙しく動いて文字を追う。
隣で画面を見るつもりが、つい彼を見てしまう。
鋭い目と高い鼻、薄い唇。
全体的に硬い印象だけれど、唇だけは柔らかいことを知っている。
ふっとそんな考えが浮かび、◯◯◯は目を逸らした。
耳朶を噛まれ、そちらへ気を取られている隙に指が◯◯◯の内奥へ入れられた。
予想もしていなかったタイミングで弱い部分に触られて、ぞくりと快感が身体中を駆け巡る。
コルがほくそ笑む。息が耳にかかる。
額から頬骨、顔の輪郭をなぞる。彼は目を閉じていて、長いまつ毛が影を落としている。指先で皮膚と骨の感触を確かめ、唇へ辿り着くと、目を開けたコルが◯◯◯の指を口に含んだ。
吸いつく唇の柔らかさに身体が痺れる。青い目が暗闇の中で、じっとこちらを見つめる。
「いい案だ。よく練られている」
低い声で◯◯◯は我に返る。昨夜の記憶を振り払って、自席へ戻ろうと立ち上がる。
「じゃあこれで進めていきますね」
「頼んだ」
続けて何かを言いかけて、思い直したのかコルは口を噤んだ。
「将軍?」
「いや、何でもない」
自分の机で作業を進めながら、ちらりとまた昨日の光景が頭をよぎる。集中しようと急いで打ち消した。
隙あらば顔を出す夜の記憶。
何でもないふりをして、昼の世界をやり過ごす。
終