Bangarang
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その時、地面にふっと影が差した。
いつの間にか上空にもう一機、揚陸艇が浮かんでいる。
赤い揚陸艇。その搬入口が開いている。人間が立っているのが見える。
はっとして◯◯◯が走り出すのと、その人間が跳ぶのはほぼ同時だった。
「将軍!」
コルがこちらを見る。彼を押し退ける。黒い鎧の女が降ってくる。◯◯◯の刀と、女の槍が音を立ててぶつかった。途轍もない衝撃に足が地面にめり込むかと錯覚する。竜のような兜の向こうで、女が笑った。
「久しぶり、最近見ないから死んだと思ってたよ」
「勝手に殺さないで、よ!」
◯◯◯がぐっと押し返すと相手は逆らわず、後ろへ跳んでロキを庇うように立った。こちらもコルの前へ立ち、刀を構える。
「知っているのか」
「王の剣だった頃に散々やり合いました。アラネア、帝国の武将です」
「初めまして、コル将軍。今回はうちの坊やがとんだご迷惑を」
誰が坊やだ、と後ろで喚くのをアラネアはどこ吹く風で、悠然と腰に手を当てた。
「この若さで准将に昇進して、ちょっと浮かれちゃったんですよ。あたしがよく言って聞かせるんで、今回は見逃してくれません?」
「そんな理屈が通ると思うか」
「通しますよ」
乾いた音がして◯◯◯の足元の土が抉れた。
「うちには優秀な狙撃手がいるんでね」
アラネアの揚陸艇は高度が高く、あそこでは地上から攻撃するのは難しい。逆にあの距離から当てられるのは確かにかなりの腕で、悔しいが状況はこちらが不利だった。コルが舌打ちする。
「……見事にひっくり返されたな。さっさとその若造を連れて行け」
「助かります」
アラネアが合図をすると縄梯子が降りてきた。彼女は◯◯◯達から目を離さないまま、先にロキに上るよう促す。彼は梯子に手をかけながら憎々しげにこちらを睨んだ。
「覚えていろ、この借りは絶対に返してやるからな」
「ものすごい負け犬の遠吠え!」
「◯◯◯、それは思っても口に出すな」
視線で人を殺せるならそうしてやりたいという顔をして、ロキは梯子を上っていった。口元を引きつらせて笑いをこらえていたアラネアが、彼に続く。
「それじゃ次は戦場で」
彼女が艶やかに笑むと、さっと縄梯子が引き上げられ揚陸艇は高速で遠ざかっていった。元々ロキが率いてきた小隊もそれに続く。誰からともなくほっと息を吐く気配がして、それで張り詰めた空気が緩んだ。
「俺たちも撤収するぞ。負傷者は手分けして車へ運べ」
コルの指示のもと、がやがやと皆が動き出す。◯◯◯も彼と並んで装甲車へ歩き出した。
「何とか撃退できましたね」
「ああ。しかしここまで帝国軍の接近を許したのは問題だ。陛下にも報告せねば」
そういえば、とコルが呟いた。
「お前の予想は当たっていたな」
終