イベント
今日は1ヶ月前にあったイベントのお返しの日
そう、つまりホワイトデー
本命の人にチョコを渡した女の子はお返しに何を渡されるのかドキドキしてソワソワしている
ホワイトチョコレート?キャンディ?それとも…
なんて、ドキドキソワソワしているのは実は女の子だけじゃなかったりする
既に昼時、いつもなら既にギルドでバカなことしてるか仕事いってるはずのその人物は挙動不審という言葉がぴったりなほどソワソワオドオドしてるかと思えば何度もズボンのポケットに入ってるものを確認するように手を突っ込んだり、頭を横に振ったかと思えば来た道を戻ろうとしてやはりギルドに向かうなど通報されたら問答無用で連行されそうなほど挙動不審であった
けれど、そんなことをしていても進んでいれば目的地には到着するらしく、気づけば目の前には見慣れたギルドの建物
扉は開かれたままで中の喧騒が外にまで聞こえてくる
チラッと中の様子を見れば探し人はすぐに見つかる
探し人である桜色はカウンターの席でミラちゃんと楽しそうに談笑していた
くそっ、こっちは悩みに悩みながらここまで来たっていうのに…
あんな楽しそうな顔を見たらここまで悩んでいた自分が馬鹿らしくなりズンズンとカウンターまで歩いていく
すると、話していたナツはその音に気づいたのかこちらを見る
ナツ「あっ、ようグレイ遅せぇじゃねーか」
グレイ「よっ、楽しそうに何話してたんだ?」
ナツ「ん?グレイの話してた」
グレイ「オレ?」
ナツ「悪かったか?」
悪い悪くないは話の内容によるが…そんな話をしていたらこのポケットの物を渡し損ねそうな気がして、オレはそれには答えずポケットの物をナツに押し付けるように渡した
ナツ「えっ…なんだこれ」
グレイ「お返し
んじゃ、オレ家帰るから」
と、来たばかりなのに踵を返してギルドから出て行ってしまうグレイに首を捻る
ナツ「ん?なんなんだあいつ」
ミラ「ねぇ、それより開けてみたら?
中に何が入ってるのか気になるしね」
ミラにそう言われて改めて渡された物を見る
渡されたのは手のひらサイズと言うには少し大きめの青い箱
開けてみると中には市販のビニールに包まれた一口サイズのチョコやマシュマロが入っていた
ナツ「菓子?…あれ、これは…」
中身を箱の外に出していくと奥の方にキラリと光るものがあることに気がついた
初めはお菓子のラッピングが光っているかと思ったがどうも違う
お菓子を1つずつ出すのも面倒くさくなって箱を逆さまにしてまとめて出すとお菓子と共に流れ出てきたのは小さな金属の輪
ミラ「ふふっ、あらあら」
面白いものを見れたと言わんばかりに微笑みながら仕事に戻るミラ
そんなミラにオレは何も言えずに金属の輪をゆっくりと拾い上げる
おそらくそういう意味なのだろう
それをゆっくりと指に通すとすんなりと収まる
まるであるべき場所に収まるかのように
ナツ「…あのバカ露出魔」
と、悪態をつきつつもナツの顔は恥ずかしそうに真っ赤になっていた