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グレイ「なーつ、早く起きろよ」
ナツ「んんん…あと24時間…」
グレイ「一日寝る気かよ」
気温が低くなり暖かい布団から出るのが辛い朝
寒さに強い…というか平気なグレイが全く起きようとしないナツを優しく揺さぶっていた
グレイ「はぁ…しかたねぇな
せっかく今日は外でなにか旨いものでも食いに行こうと思ったのによ」
ナツ「めし!」
飯のためならどんな気温だろうが瞬時に目が覚める
先程までの様子と打って変わってパッチリと目を覚ましたナツは勢いよく起き上がった
グレイ「おまえなぁ…」
オレよりも飯の方が大事かよ
という言葉は無視し、早く朝飯を作るように催促するナツだった
ナツ「あぐんぐんぐ…ん?どうしたグレイ?」
グレイ「ん?なにが?」
ナツ「んー…なんか嬉しそうっていうか…企んでるというか…何か考えてる?」
パッと見はいつもと変わらず朝飯を食べてる
けど、よく見ると心なしか口角が上がっていて目尻がほんの少しだけさがってる気がする
グレイ「あーまぁ…確かに少し考えてたな」
ナツ「なに考えてたんだ?」
グレイ「んー…その前に、今日なんの日か覚えてるか?」
えっと今日は…
ナツ「ん?何日だっけ?」
グレイ「そっからかよ!今日は11月22日だ」
ナツ「あーそっか
えーっと…いちいちにーにーだから…いいにーに…良い兄ちゃんの日…とか?」
グレイ「ぐふっ!」
ナツ「うぇっ!?どうしたんだよ突然!?」
グレイ「ナツの口から『にーに』とか聞けて幸せ…じゃなくて!おまえ本当に知らねーの!?」
ナツ「は?何がだよ」
本当に今日が何の日か分からないらしくキョトンとした顔で首を傾げるナツにグレイは深いため息を吐いた
グレイ「分かってた…ナツが知らないって可能性は十二分に考えられたんだ…むしろ絶対知らないとすら考えてたよ
でも期待しちまうだろ
もしかしたら知ってるかもって!」
ナツ「はー食った食った!」
先程までナツ曰く楽しそうだったグレイはどんよりとした雰囲気でブツブツと呟いているが、ナツは特に気にすることもなく朝ご飯を食べ終え幸せそうに口元を拭い立ち上がって扉に向かった
ナツ「…グレイ」
グレイ「あ?ってうおっ!?」
呼ばれて顔を向ければ突然投げてよこされたモノを慌てて受け取る
グレイ「えっ…これ…」
受け取ったそれは、小さな包み紙
中を開くと不揃いで黒い部分も見えるが明らかにクッキー…しかもおそらくナツの手作りの
ナツ「オレ…今日何したらいいのかわからないし、まともに料理とかできないし、グレイの欲しいものとか良くわかんねーからさそんなものになっちまったけど…
けど、何かしらしたかったんだよ
た、大切な……だから…」
段々小さくか細くなる声で最後はよく聞き取れなかったし、顔は扉の方を向いてるから今どんな表情をしているのかもわからない
けど、桜色から覗く真っ赤な耳と首筋から想像はつく
サクッ
試しに1つ口にしてみた
口にした瞬間ボロボロと崩れるしザラザラする
焦げてるせいで苦味もある
けど…
ナツ「なっ、なにか言えんっ!?」
何も言わないオレに痺れを切らして振り向いたナツの顎を少し上に向かせて唇を重ねた
驚いて開いた唇に舌を差し込むと待っていたかのようにそこにある熱い舌に絡める
ボロボロで苦いクッキー
けど、熱くて思考がドロドロに溶けてしまいそうなほど甘い
ひと口食べてしまえば止められない中毒性のある甘味
愛しい愛しいmy wife
これからもずっと離れないで