『猛毒の赤』

 
 母さんは家に男を呼んでは下品に喘いでいる。

 僕はそれがどうしようもなく嫌で、部屋に閉じこもってヘッドフォンをつける。

 からっぽで、中身のない歌。

 でもそれが返って心地好く、僕は膝を抱えたまま真っ白い壁だけを長時間見つめていた。
 
3/6ページ
スキ