この恋の終着点
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「俺は…、」
ああ、聞こえていたみたい。
レッドも小さく口を開く。
「今でもイミテが好きだ。」
一瞬、時が止まったように思えた。
レッドの口から初めてきいた気持ち。
やっと分かった、彼の本心。
「…ツバサ、〝つばさでうつ〟!」
私は何の合図もせず再び試合を始める。
ツバサはしっぽはそのままで翼だけ動かした。
レッドは一瞬ひるんだけど、すぐに余裕の表情を見せる。
「ニョロ、〝れいとうビーム〟!」
ツバサの翼がぶつかる前に、ニョロの〝れいとうビーム〟が炸裂。
ツバサは数メートルとばされた。
「勝負あり。俺の勝ち…、だな。」
レッドは笑ったけど…
「まだだよ!ツバサ、〝はかいこうせん〟!」
ムクッとツバサが起き上がり、すさまじい威力の攻撃がニョロに命中した。
「なに…!?」
ニョロはバタリと倒れ込む。
それを見て私はツバサをボールに戻した。
「最初のほうに〝こうそくいどう〟ですばやさを高めたでしょう?そのおかげで素早く反応してよけられたの。」
命中したように見えた〝れいとうビーム〟は実はかすっただけ。
「私の勝ちね。」
「はは、すげえな…。」
レッドはニョロをボールに戻す。
私が彼に勝ったのはこれが初めてだ。
今まで何度もバトルしたけど負けてばかりで。
今回勝てたのはきっと心情が関係しているなんて安易に想像できることで。
それでも…、
「いいバトルだった。ありがとな。」
「……うん。」
言い訳ひとつせず変わらない笑顔を見せるレッド。
レッドがためらうことなく差し出した手を握り握手をする。
「(あ…)」
…その手は離されることなく、そのまま力がこもったのが分かった。
「…バトルの時の言葉、聞こえただろ?」
「…うん。」
「なあ、イミテ。好きだった…って言ったよな?それって今は何とも思ってないってことか?」
悲しそうに、切なそうに。
彼の目が少し細くなる。
握られた手には少しばかり、熱がこもっている。
「俺、ゴールドにイミテのことが好きなのかって聞かれて、なんか恥ずかしくなって好きじゃないって答えたんだ。」
夜の風は少し冷えてて、そのぬくもりが余計に温かく感じる。
「その後からイミテとゴールドは両思いなのかもしれないって思い始めて、邪魔しないためにイエローを好きだって思いこんだ。」
キラキラとした夜空は、アナタと私の顔を照らす。
「でも無理なんだ。諦めるなんてできなかった。」
さっきまで真っ暗だったのに、もう遠くのほうは少し明るい。
「自分の気持ちに気づくの、だいぶ遅くなったけど、とにかく伝えたかったんだ。」
(ああ、夜が明けた)
でもね。
朝がきても、
私の心は真っ暗で。
そこだけ、闇に覆われてるみたい。
レッドが好き
でもイエローも好き
ゴールドも好き
傷つけたくない
泣いてるとこは見たくない
皆、みんな
大切な人達だから
私は、きっといつか
この選択をしたことを後悔する
涙を流して
悔やむだろう
でも、
もう決めたんだ
「ごめんなさい。」
覚悟はできてる
(ちっぽけな、)
(自己満足でできた覚悟だけれど)
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