この想いの偽りかた
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それから数日間はレッドぬきで、3人だけで修行をした。
そしてあっという間に…、ゴールドとの約束の日になったんだ。
私は白いワンピースに灰色のレギンスを着て、薄手のパーカーを羽織った。
鏡の前で最終確認をして、にっこりと笑顔をつくる。
うん、…大丈夫…。
灰色のパンプスを履き、家をでた。
大丈夫だよ。
ただ遊びに行くだけじゃない。
それなのに、やっぱり心のどこかに罪悪感があって、足取りは重い。
やっぱり行かないほうがいいかな…。
今更、何言ってるんだろう…。
でも、なんだか苦しい…。
そんなことを考えながら悩んでいるうちに、あっという間に待ち合わせ場所に着いてしまった。
「イミテ先輩!」
嬉しそうな顔をして近づいてきたゴールド。
「遅れてごめんね、いつからいたの?」
「へーきッス。まだ時間前ッスから。俺が早く来すぎただけッスよ。」
ゴールドは無邪気な笑顔を見せる。
それを見たら、なんだかやっぱり、胸が痛くて…。
「先輩?……とりあえず今日は楽しみましょうよ!せっかく来たんスから。ね?」
「う、うん…。」
本当に、こんなことしてていいのかな……?
「行きましょ!」
そう言ってゴールドが私の手をひいて歩きだす。
握られた手をみて……なんだか切なくなった。
「まず、なんか食べますか?俺、腹減っちゃって。」
胸の高鳴りも、ときめきも、……何も感じない。
やっぱり………無理だよ。
「先輩……?」
「ごめん、ゴールド…。私帰るね!」
私は手を振りほどくと、元来た道を走り出した。
少しでもレッドのこと忘れられたら、ってそんな軽い気持ちできたけど、
洋服を選ぶ時とか……頭の中はレッドのことばかり考えてた。
もしもレッドなら…とか、さっきも目の前にいるのはゴールドなのに、レッドとすり替えちゃって…。
無理、だよ…。
ずっとずっと、胸が痛くて、苦しい…。
なんだか涙がでてきそうだったから、近くにあったお店の女子トイレに入った。
きっとゴールドは私を探してるけど、こんな弱い自分、見せたくない。
丁度その時、プルルル、とポケギアの着信音が鳴り響いた。
ディスプレイには『ゴールド』の文字。
「………」
でても何て言えばいいか分からない。
きっとごめん、って謝ることしかできない。
そのままにしていたら、やがて留守番になった。
ディスプレイには伝言メッセージ、とうつる。
『もしもし……』
ゴールドの声。
いつものハツラツとした様子は感じられない。
きっと、怒ってるよね…。
『すいません!先輩!』
……なんで、ゴールドが謝るの…?
『俺、無神経でした。先輩の気持ちも考えずに、思わず手、繋いじまって…。』
悪いのは私なのに。
『一方的かもしれないけど、今日は何もなかったことにしません?明日になったら、またいつもどおりで。じゃあ、修行来なかったら許さないッスからね?……じゃあ。』
プツッと、電話が切れた。
傷つけたのに、何で、こんなにも優しいの…?
「ありがとう……」
優しすぎるよ…。
涙がでそうになったから、慌てて上を向いた。
次の日、鏡を見れば、寝不足と泣いたせいで少し目が腫れていた。
でも…、ちゃんと行かなくちゃね。
修行場所に行けばイエロー、そしてゴールドの姿。
「イミテさん、おはようございます!」
「おはよう、イエロー。」
ちらりとゴールドのほうを見れば、にっこりと笑ってくれた。
「おはよっ!」
しばらく修行した後、
「先輩、久々にポケモンバトルしません?」
ゴールドがそんなことを言い出した。
「ポケモンバトル…?いいよ!負けないからね!」
「じゃあ僕、審判しますね。」
「ありがと。よーし…」
私はさっそくパートナーのシズクをだす。
ゴールドは、バクフーンのバクたろうをだした。
「バクたろう!『にほんばれ』!」
あっという間に空が晴れ、からっとした天気になった。
「『どくどく』!」
「かわして『ほのおのうず』!」
バクたろうは持ち前の素早さでかわす。
「シズクに『ほのおのうず』?そんなの効かないよ!」
「でも炎の威力は高まってるんスよ?それに、目的が別にあるとしたらどうッスか?」
「え…?」
ほのおに囲まれ、身動きがとれないシズク。
目的、ね…。
「バクたろう!『かみなりパンチ』!」
その隙を見て、バクたろうが走ってきた。
「シズク!下にむかって『みずでっぽう』!」
「な…!」
『ほのおのうず』から上手く逃れた。
この距離なら……、必ずあたる。
「『なみのり』!」
もちろん効果はばつぐんで、バクたろうは倒れる。
「えっと、バクたろう、戦闘不能で…、イミテさんの勝ちです!」
「途中までいい感じだったのにね。シズクの覚える技勉強して、対策たてておかなきゃダメだよ?」
「ちぇ……」
「あと相性の悪いポケモンと戦う時は、まず姿を消さなきゃ。バクたろうなら、「『えんまく』で目くらまし、だろ?」
後ろから聞こえたその声。
ああ、アナタはいつも突然現れるね。
胸が高鳴ったのは、ドキドキしたからじゃなくて、きっと驚いたからだよね?
「レッドさん!修行終わったんですか!?」
イエローが嬉しそうにレッドの元に駆けていった。
反動で金髪がキレイに揺れる。
「訳ありで少し早くきりあげてきたんだ。」
「そうですか…。おかえりなさい!レッドさん!」
「ただいま、イエロー。」
二人して笑いあう。
「よかったね!イエロー!」
私もにっこり笑って見せた。
少し胸が痛んだけど、私、笑えた。
大丈夫、きっと、忘れられる。
時間が全て解決してくれる。
きっとまた前みたいに、心の底から笑える日がくる。
胸が痛まなくなる日がくる。