この想いの偽りかた
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その日の夜はなかなか寝つけなかったから、次の日寝坊して、少し遅れていつもの待ち合わせ場所に向かった。
そこには草原にポツン座る、イエローの姿。
この時間ならレッドもゴールドもとっくに来てると思ったんだけどな…。
「イエロー!遅くなってごめん!」
「あ、イミテさん!おはようございます。」
「おはよう。……レッドとゴールドは…?」
「ゴールドさんは寝坊みたいですけど…、レッドさんはシロガネ山に行きました。」
少し悲しそうに笑うイエロー。
「シロガネ山?何でそんな遠いところに…。」
「本格的に修行するんだ、って言ってました。泊まりこみだから一週間は帰ってこないそうです。」
「ふーん…。」
レッド、急に修行なんて…。
前は一番に私に言ってくれたのに…。
私だけがレッドのこと知ってて、それを皆に伝えていたのに…。
いつの間にか、イエローにとられちゃったの?
こうなったのは全部、イエローのせい?
イエローがいなかったら…、レッドとの関係も変わらなかったの?
そう思うと、イエローに対して、なんだかすごくイライラして…。
「ねえ、レッドが修行してる間連絡ってどうするの?ポケギアで電話とか?」
「いえ、シロガネ山は電波が届かないらしくて…。」
「じゃあイエローが会いに行くの?」
あれ?
「いいえ、レッドさんに危ないからくるなって言われたんで…。」
「え…、じゃあ一週間も会えないんだ。」
私、どうしてこんなこと…。
「そう、ですね…。」
「連絡もなくて、会いにくるなって言われて…。……それで付き合ってるっていうんだ…。」
どうして……?
自分でもびっくりした。
何て、トゲトゲしい言い方なんだろう。
なんで私、こんなこと言ってるの…?
私って何て、醜いんだろう。
「…………」
イエローは怒ることもなく、シュンと俯いていた。
どうして、私、こんなに優しいイエローに意地悪してるんだろう…。
こんなこと言うつもりなかったのに…。
「でも…、」
少し戸惑ってはいるものの、力強い、イエローの言葉。
真っ直ぐ私を見つめる、大きな黒い瞳。
それにとらえられた私は、動けない。
もう、目をそらせない。
「彼はそういう人ですから。それに僕、レッドさんのこと信じてるからいいんです。」
まるでレッドのことが全部好きと言っているような言葉。
レッドの全てを分かってるような言葉。
私に、レッドのことを教えるような…………、その言葉。
少し頬を赤らめながらそう言ったイエローは、すごくすごく綺麗に見えて…、
それと対象に、私はすごく汚く思えた。
「そっか。イエローが幸せならいいんだけどね。」
イエロー、アナタは綺麗すぎるよ。
「イミテさんは優しいですね。ありがとうございます。」
可愛いらしく笑うイエロー。
私、優しくなんかないよ。
イエロー、アナタに意地悪しようとしたんだよ?
ひどいこと言ったんだよ?
それなのに私のこと全く責めないなんて、むしろ優しい言葉をかけるなんて…。
笑っちゃうほど、アナタの心は綺麗すぎる。
ああ、やっぱりそんなアナタに嫉妬してしまう。
なんで?
私もそんなふうになりたいよ…。
イエローみたいに、可愛く、優しくなりたい…。
そんなとき、
「すいません!遅れて!」
ゴールドがはあはあと息をきらして走ってきた。
「なんかあったんスか?」
うっすらと頬を流れる汗を手でぬぐいながら、ゴールドは心配そうに聞いてきた。
「いえ、何も。…あ、レッドさんが修行にでたんで、しばらく帰ってこないそうです。」
「修行に!?へー…ま、とりあえずしばらくは俺らだけでバトルの練習しますか!」
ゴールドは暗い表情の私に笑いかけた。