09 犠牲あっての幸福
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「ごめんなさい!ボーッとしてて…。」
「いや、俺も避けきれなかったし…。」
少々はにっこりと可愛らしく笑った。
「!//」
「ありがとう。じゃあね。」
少女は手をふり、タタ…と走りさる。
「(ありがとう…って、支えてくれてって意味か?)」
それにしてもかわいい子だったなあ…、と、レッドが目で彼女を追うと…
「え!?」
少女は路地裏に入っていった。
「君…!路地裏は危険だって…!」
レッドはあわてて追いかけて、急いで後を追って角を曲がったが、
ドンッ!!
また誰かとぶつかった。
「いたた…。」
「ちょっと、急に走ってこないで…、えっ…レッド?」
「イミテ…!今、俺達と同い年ぐらいの女の子、走って来なかったか?」
「女の子…?ううん、誰ともすれ違ってないけど。」
「あれ?確かにここに入ってったんだけどな…。」
「レッドさんの知り合いですか?」
イエローが不思議そうに尋ねる。
「いや、そういう訳じゃないんだけど…。」
「「?」」
イミテもイエローも、煮え切らない彼の様子に首を傾げる。
「…って、イミテとイエロー、今路地裏から出てこなかったか!?」
「え、うん…。路地裏のがすいてたから。」
「路地裏は危険だって聞いたぞ!?怪我は!?」
「え、ああ、別に平気…。」
レッドの焦った様子に、イミテは少し戸惑いながらも答えた。
「イミテさんが凛とした態度だったから、襲われずにすみました。」
すごくかっこよかったんですよ!、とイエローは嬉しそうに話す。
「まあ、何もなかったならいいけど…。」
「あ…。でも1人、不思議な子がいて…ちょっとあせったなあ、あれは。」
「え?」
「私達と同い年ぐらいの、黒い手袋をはめた赤髪の男の子。見間違いかもしれないけど手袋から黒いもやみたいなのが出て…」
「!」
イミテの言葉に、レッドは目を見開いた。
会長が別れ際にチラリと言っていた、マチスの手下の特徴とぴったり一致する。
「危なくなったから、コレ見せたの。」
イミテはバッジを取り出す。
「それって、」
「ニビシティの王の家来を示す、グレーバッジか。」
「グリーン!」
レッドの後ろから現れたのはグリーン。
「イミテ。しまっとけ。誰かに見られたら厄介だ。」
「あ、うん。」
確かにニビシティの軍人から脱獄者がでたと噂はいつ広まるか分からないから、他者にバッジを見られたら面倒なことになる。
「でも…、」とイエローが控えめながらも口を開く。
「大丈夫じゃないですか?ニビシティからクチバシティまではけっこう距離があるし。」
「そうでもない。ここは港町だから、その分早く情報が伝わるんだ。……現に、もう最新の情報が伝わってる。」
「それってどういう意味…、」
イミテが聞こうとした時、「ニュース、ニュース!」と言いながら、新聞屋の身なりをした人が彼らの前を横切った。
「ニビシティの軍人から裏切りものがでたってさ!捕まえた奴には褒美がでるって!」
「まじかよ!?」
「今も逃げてるの!?」
一瞬にして、ガヤガヤと辺りが騒がしくなる。
「こういう意味だ。イミテ、ここに来てお前がバッジを見せたのはその男だけか?」
「…うん。」
「おそらくそいつが他人に言いふらすことはない。他のヤツに先に捕まえられたら、褒美がもらえなくなるからな。」
だが…、とグリーンは続ける。
「褒美欲しさに、きっと血眼になってお前のことを探すだろう。」
「…だろうね。」
「だったら落ち着くまで、いったん身を隠そうぜ。近くに宿があったはずだ。」
彼らは脇道を通り、目立たないように移動しながら宿を目指した。
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