09 犠牲あっての幸福
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「ここがクチバシティか。」
ハナダシティの件から一週間が立ち、レッド達はクチバシティにたどり着いていた。
遠くにはきらめく海が見え、大きな船が数隻停泊している。
「まずは港に行って、聞き込みするか。」
「ああ。」
彼らが聞こうとしていることはもちろん、王達を裏で仕切っているサカキ…彼は何者なのか、そして何が目的なのか、である。
港を目指し歩きだしたのはいいが、人が多くてなかなか進まない。
「さすが港町だな…。皆ちゃんといるか?」
「うん。今のところは。…あれ?イエロー?」
イミテがキョロキョロと辺りを見回せば、遠くにイエローの姿があった。
背の低いイエローからは人ごみのせいで皆がどこにいるのか分からないらしく、その場から動けないようだ。
「私、イエロー連れて後から追いかけるから二人は先に行ってて。」
「女だけじゃこの辺は危ないって、」
レッドの静止もむなしく、イミテは人ごみに消えた。
「行くぞ、レッド。」
「二人だけにして大丈夫なのか?クチバシティは物騒だって聞いたけど。」
「路地裏が危険なだけだ。この辺りの大通りは問題ない。」
「ならいいけど…。」
まあイミテがついてるなら大丈夫か、と彼らはまた歩きだした。
「イエロー。」
「イミテさん…!」
それからしばらくして、やっとの思いでイミテがイエローの元にたどり着いた。
「よかった。レッド達には先に行ってもらったから。さ、行こう。」
「はい!」
そう言い進もうとした二人だったが、人が多くてなかなか思ったように進まない。
「このままじゃ拉致があかないね…。」
「!イミテさん。ここならすいてますよ?」
イエローが指差したのは薄暗い路地裏。
「でもやっぱり路地裏は危険ですよね…。なんだか気味悪いし。」
イエローはそう言ってしゅんとうつむく。
「行ってみようか。こっちのが早く進めるだろうし。」
「えっ、危なくないですか?」
「平気。危なくなったら逃げればいいんだから。ちゃんとイエローのことは私が守るよ。」
「!」
「行こっか。」
「はい!」
イミテはイエローの手をひき、路地裏へと進んでいく。
案の定、そこはガラの悪そうな若者の溜まり場となっていた。
ピアスをいくつもしている者や、明らかに未成年なのにタバコをふかしている者などが、地べたに腰を降ろしている。
そんな中を歩くイミテとイエローはやはり目立つようで、路地裏にいる彼女達以外の誰もが2人を目で追っていた。
イミテはそんなこと気にせずさっそうと歩いていたが…、
「お嬢ちゃん達、二人でどこ行くんだい?」
やがて数人の男に道をふさがれてしまった。
「俺らと遊ばない?」
「嫌なこと全部忘れられるぜ?」
ニヤニヤとした笑みを浮かべながら、舐めまわすようにイミテ達を見ている。
気持ち悪い…、とイミテは顔を少々歪ませる。
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